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さて、ダウリーの問題はさておき、女性の自立と共に「恋愛結婚」がインドでも多くなってきているのではと考えがちですが、思ったよりもそうでもないようです。
というのは、インドでは宗教とカーストの問題が現在でも歴然として残っているからです。それは、ダウリーのような一つの風習とは異なり、すぐに大きく変わるようなものではありません。いくら女性が自立したからと言っても、宗教間を超えたり、カースト間を超えて結婚することは、結婚後に親族間のつき合いで問題が生じることも多く、大変な苦労が付きまといますのでやはりまだ一般的ではありません。結婚する本人たち同士も結婚後の苦労が多いので、熱烈な恋愛でなければ、やはり親から反対されて断念することが多いようです。まだまだ恋愛結婚は、インドでは比較的教養を受けている層での結婚という段階で、一般的としては少ないようです。 先日も恋愛結婚にまつわるエピソードを耳にしましたので、取り上げてみます。いかにも典型的なインドらしいストーリーです。 男性は22歳で、大学を卒業して建築業を営む父親の会社で働いています。女性は19歳で今年短大を卒業する学生です。カーストという点では、女性の家族の方が高くて男性の家族の方が下なのですが、経済的には、女性の家族の生活が貧しいのに比べて、男性の家族は事業がうまくいっていることもありかなり豊かです。 建築業を営む男性の父親は、将来その会社を継いでくれる息子が社会に出たことから、それ相応の結婚をと考えて相手を選び、息子にその選んだ女性と結婚をするように言って結婚式の日取りも決めてしまいました。インドでは、親が結婚相手を決めてから結婚式までの間は本当に短くて、数週間くらいで結婚してしまうのが一般的です。 ところが、どうしても自分の好きな女性と結婚したいその青年は、親にそのことを話してその結婚を取り止めたいと主張したのです。しかし、親の大反対にあってどうしても聞き入れてもらえなかったその青年は、ついに結婚式の2日前に家を飛び出して雲隠れをしてしまったのです。 ビックリしたのはその両親です。結婚式場には豪華なところを予約して料理などを準備していましたし、商売柄、州の政治家や企業家の人たちなどを多く呼んでいましたので、相手の家族に対してとても失礼なことをしてしまったことにはもちろん、商売上も大きな損失になってしまったのです。結婚式の段取りは女性側の家族のすることですから、自分たちでその準備のために直接お金を支出してはいなかったのですが、その損失に係る違約金と慰謝料として、7ラック(日本円に換算して、約200万円もの大金)ものお金を女性側の家族から請求されて支払うことになってしまったのです。 その青年は、ほとぼりが収まった2週間後くらいに自宅に帰りましたが、その後はもちろん自宅監禁の状態でトイレに行くにも誰かが付いてくる状態になりました。お互いの家庭の両親はそれぞれにカンカンで、「絶対に結婚は許さないからうちの子供には金輪際会わせないでくれ」と相手の家に電話をかけては言い争っているのですが、子供たちは親のことなどどこ吹く風、影で連絡を取り合っては将来を誓い合っているのだそうです。 このようにインドではまだ恋愛結婚は難しいのですが、そうはいっても子供たちも親が相手を決めてしまう結婚には抵抗が強くなっているので、以前のように親が一方的に結婚相手を強制するのではなくて、仮に同じカースト内から婚約者を選ぶにしても、親も何人か自分たちの気に入った候補を選んでおいて、その中から子供に相手を選ばせるという方向へと次第に移行しているようです。それこそ、インドの親が決める結婚と恋愛結婚の折衷案のようなもので、よく考えてみれば日本の見合い結婚に似てきているような気もします。 最後になりましたが、最近の日本もすっかり女性主導となり、「嫁になる」という言葉は残っていても、結婚してから「嫁になって男性の家に入る」という人は本当に少数派になりました。女子プロゴルフで優勝した宮里藍ちゃんは、コーチ宅に食事に招待された時に「手伝います」と言って台所に立とうとしたとのことですが、厳しいと聞く彼女の父をしてこそ、このようにより女性的に育つのでしょうか。正月でさえ夫の実家に泊まったことがないという強者たちが夢の中のような話も耳にするのですが。 個人的には、男性にとっても女性にとっても子育てなどの家事が人生の中で一番大切な要素であるような気がするのですが、まあそう言ってしまえば、社会的な仕事にも女性がより進出してくるのに子育ても女性がするということにより、男性の居場所はなくなり男性の立場はどんどん弱くなってしまうことを肯定してしまうこととなり、男性としては自虐的なことです。最近は自爆テロのテロリストまで女性の時代ですし、インドも日本もただ男性は女性に仕えるためだけの男性総アッシーくん時代が到来してしまうのでしょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 8, 2005 11:22:19 PM
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