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    弥々*とはず語り   

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2006.08.04
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カテゴリ:語り日記

春の交通安全週間以来の語り日記ですねん

茨木のり子さんの詩集『倚りかからず』の中から

懲りずに、またしても語りまする

茨木さんの思想が好きですねん

最後は茨木さんの詩の中に

己の矛先を発見するばかりなり・・・


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☆.。.:*・゚☆.。.:*・゚☆♪☆゚・*:.。.☆゚・*:.。.☆♪☆.。.:*・゚☆♪☆.。.:*・゚☆.。.:*・゚☆♪☆゚・*:.。.☆゚・*:.。.☆



マザー・テレサの瞳 

マザー・テレサの瞳は
時に、猛禽類のように鋭く怖いようだった
マザー・テレサの瞳は
時に、やさしさの極北を示してもいた
二つの異なるものが融けあって
妖しい光を湛えていた
静かなる狂とでも呼びたいもの
静かなる狂なくして
インドでの徒労に近い献身が果たせただろうか

マザー・テレサの瞳は
クリスチャンでもない私のどこかに棲みついて
じっとこちらを凝視したり
またたいたりして
中途半端なやさしさを撃ってくる!

鷹の眼は見抜いた
日本は貧しい国であると
慈愛の眼は救いあげた
垢だらけの瀕死の病人を
――なぜこんなことをしてくれるのですか
――あなたを愛しているからですよ
愛しているという一語の錨のような重たさ

自分を無にすることができれば
かくも豊饒なものがなだれこむのか
更に無限に豊饒なものを溢れさせることができるのか
こちらは逆立ちしてもできっこないので
呆然となる

たった二枚のサリーを洗いつつ
取っかえ引っかえ着て
顔には深い皺を刻み
背丈は縮んでしまったけれど
86歳の老女はまたなく美しかった
二十世紀の逆説を生き抜いた生涯

外科手術の必要な者に
ただ包帯を巻いて歩いただけと批判する人は
知らないのだ
瀕死の病人をひたすら撫でさするだけの
慰藉の意味を
死にゆくひとのかたわらにただ寄り添って
手を握りつづけることの意味を

――言葉が多すぎます
といって1997年
その人は去った



昇天



記:2006.08.04 15:59:30

2005年の今日












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Last updated  2006.08.04 15:59:30
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Comments

 ドーナツ党首@ Re:3歳のぽっつら・・・『 知命 』 『 落ちこぼれ 』 (語り41)(01/22) おはようございます。どちらにコメントを…
 @弥々@ どこぞのさんへ どこぞのさんへ これまた、一昨年の台風…
 @弥々@ Yのトランクさんへ 気付くのが遅れてすみませぬ<(_ _)>…
 Yのトランク@ Re:長男坊の意地と親心(03/16) すみません。こちらから送信出来るのか分…
 どこぞの@ Re:長男坊の意地と親心(03/16) ご無沙汰してます! 台風のニュースを見て…
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