2007/10/20(土)00:18
厚生労働省の出番! 酸素入りミネラルウォーターへの疑問
10月17日の台湾『自由時報』の1面トップ記事は、末期肝臓癌や尿毒症も治すと称した「ナポレオン水(奈波水)」摘発の記事だった。
ペットボトル入り600ccが740円(200台湾ドル)。
ミネラルウォーターに金属イオンアルカリ水を混ぜた代物で、台北市衛生局が食品衛生管理法違反と認定して業者に罰金を科した。
このニュースで思い当たったのが、日本でも堂々と販売されている「酸素入りミネラルウォーター」だ。
高濃度の酸素を溶け込ませてあるので、胃腸から静脈へ酸素を吸収させて身体活性化につながるという触れ込み。
それがもし本当なら、シュワシュワ泡をふくほど二酸化炭素が入っているソーダ水を飲んだら、静脈に二酸化炭素が溶け込んで体がだるくなるはずではないか……
……と思うが、どうなのだろう。
実際にどういう商品があるかといいますと、たとえば、これ。
ドイツ製の「Oxygen O2」という商品。
http://www.oxygeno2.jp/
このサイトによれば
ウサギをつかった腸からの酸素吸収実験などを行った結果
「胃や腸などの消化器官からも酸素は血液中に吸収されている。
特に整脈流での血中酸素濃度が高くなる」ことがわかったのだという。
いわく
≪今、美容・健康の面で酸素が大変話題になっています。
それは大気汚染による憂慮すべき現状大気状況(=酸素状況)が判明してきたことと、より酸素を体内に摂取することが、心身に非常に素晴らしい影響を与えることが分かってきたことによります。≫
ちょっと待ってくれ。
いくら大気汚染があるからといって、空気中の酸素の濃度が人間の呼吸に影響を与えるほど低下した地域があるか?
そもそもですな、人間が酸素を取りこみたくなったら、何度も深呼吸するのがイチバンだろう。
幼児でも実践している。
ウサギには「深呼吸しなさい」と言ってもコトバが通じないから酸素入りの水が効く(?)のかもしれないが。
もし深呼吸より酸素入りミネラルウォーターを飲むほうがいいのなら、販売者よ、おまえ今から息をするのをやめて、自分が売っている酸素入りミネラルウォーターを飲んでろと言いたいね。
普通のミネラルウォーターの酸素含有量の15倍の酸素が溶け込んでいるのが売りで、たしかにエラ呼吸する金魚鉢の金魚にやったら喜ばれるかもしれないが、人間が飲んでいったい深呼吸何回分の酸素が取りこめるのか。
売値は、別のサイトを見たら、500ml入り24本で5,998円だった。
http://www.kenko.com/product/br/br_65500501317.html
詐欺容疑で捜査をするほどでもないか……と思わせる微妙なお値段である。
これが1桁ちがったお値段だったら、台湾の「ナポレオン水」と同じように摘発の対象になるだろう。
なんとローソンでも似たようなものを販売している。
こちらは酸素含有量がふつうの12倍という触れ込み。
http://www.natural-lawson.co.jp/recommend/drink/water_060801_1/
このサイトを見ると「ユーザーの声」と称して、味覚のみならず美容効果もうたっている。
女心をくすぐる悪質詐欺ではないのか。
ローソンよ、コンプライアンス上の問題はないのだろうね?
酸素水を売る連中よ、君らの売る水を飲むほうが深呼吸するよりも体にいいのかどうなのか、責任者の口から聞かせてもらいたい。
厚生労働省も、これが社会問題にならぬうちに、先手を打って調査をはじめたほうがいい。