4865815 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

文春新書『英語学習の極意』著者サイト

全146件 (146件中 11-20件目)

< 1 2 3 4 5 6 7 ... 15 >

美術館・画廊メモ

Mar 30, 2016
XML
カテゴリ:美術館・画廊メモ
 この小説は、男女関係もからんでいて、テレビドラマにすれば視聴率が取れるだろう。主人公の片瀬画廊社長・片瀬真治をコテンパンにするファンドマネージャーの江波志帆は、北川景子さんに演じてもらおうか。

 ドラマ制作の過程で、小説の設定に出てくる数多くの美術品(日本画、油画、現代アート)を美術さんがアーティストに下請けに出すから、アーティストにも仕事ができる。

 美術という、価格があってないような一点ものにまつわりつくドロドロを描くが、その一方で現代アートへの世間の関心を高めて、マーケットに金持ちを誘導もしそうだ。マーケットの一部は活性化して、いいものが動くだろう。



 著者・里見蘭さんはアートのことをよく勉強しているし、アートへの愛が端々に感じられるね。

≪現代アートはもはやたんに美しさを鑑賞するための美藝ではなく、哲学的な内容を持ち社会状況を反映したコンセプト抜きには語れない知的なゲームという側面のほうが大きくなっている。コンセプチュアルな部分でのプレゼンテーションは必須。≫ (128頁)

≪よくもわるくも美術史は彼ら(=西洋)が作ってきたんです。そこで勝負するなら彼らのルールを理解するしかない。
〔中略〕
コンテクストへの理解やコンセプトの裏打ちなしに美術史にインパクトをもたらすことはできない。
〔中略〕
欧米の研究家や評論家に“発掘”されることで、それまで忘れ去られていたムーヴメントや作家の価値が再評価され、マーケットに火がつくという現象も起こり得る。≫
 (132頁)

≪中国人はマネーの力でマーケットに既成事実を作り、それによってコンテクストにまで働きかけているが、作品そのものが欧米に評価されていればこそマネーも影響力を発揮できるのだ。

アジアのアートの価値を決めるのはアジア以外の評価システムであり、アジアにおいてそうしたインフラを確立できないかぎり今後もそうした状況は変わらないだろう。

アーティストもコレクターもアートワールドでこれほどの存在感を見せる中国の国内には、美術批評が存在しない。アーティストや美術館は批評家に金を払って自分たちに都合のよい記事を書かせている。美術館に権威はなく、資金も不足していて、アーティストは金さえ払えばそこで展覧会を開くことができる。美術館が日本の貸しギャラリーのようになっているのだ。≫
 (133頁)






最終更新日  Mar 30, 2016 09:05:07 AM
コメント(0) | コメントを書く
Mar 24, 2016
カテゴリ:美術館・画廊メモ
 このひとは、カラヴァッジョが好きにちがいない。個展初日の画廊にご本人がいらして、聞けば、そのとおりだった。
仙石裕美個展「いくつもの空をつなぐ人たちの話」 @ Niche Gallery(銀座三丁目3-12)
 扉を開けて目に跳びこむこの作品に圧倒された。

280323 空と海が溶け合うところ.jpg
仙石裕美 「空と海が溶け合うところ」 “Where the sky meets the ocean”

 人類は、人間のからだをこの姿勢で、この角度から描いたことが、これまでなかったのではなかろうか。
 思い切りのよさが、四肢の末端のかたちにくっきりあらわれて、この女性の左手のかたちなど、ほれぼれする美しさだ。手をこの角度から描くことも稀だろう。
 手と足が赤みを帯びているのも、人間の「気」が満ちていることを連想させて、健康美なのですね。

 空間全体は白い雲の存在によって大空になっているはずなのに、絵のそこここで白い波浪に変わる。雲から波へ、波から雲への遷移が巧みで、見る側をみごとに だましてくれる。
 ぼくにとって「きれいに だましてくれる絵ですね」は最高の褒め言葉。

 跳び込む女性がまとう白い雲の色のスキャンティに行きつくまで、作家は試行錯誤を重ねたのだそうだ。
 最初は赤い水着だった由。紆余曲折を経て白いスキャンティ姿に行きつくわけですが、では現実に海で白いスキャンティ姿で跳び込むかというと、それはないわけです。

 跳び込む彼女の姿がいきなり「ありえない姿」だからこそ、そしてそれでいて描かれた雲や白浪、女性の四肢がリアルに「写実」されているからこそ、「ありえなさの写実」は見る者の脳を一気にワープさせる。

280323 空と海が 部分1.JPG
仙石裕美 「空と海が溶け合うところ」 [右側中央部分]

280323 空と海が 部分2.JPG
仙石裕美 「空と海が溶け合うところ」 [左下部分]

 泳ぐ男の水面下のからだの見え具合の描きっぷりも、おみごと。
 ものをよく見ながら、それを写真的に写実するのではなく、油画の筆致に落とし込むにはどうするか、作家が研鑽を重ねているのがよくわかります。

 「空と海が溶け合うところ」は美術館入りしてほしいですが、お金持ちになったら買いたい作品リストの上位に載せました。

280323 胸に世界の果てをもつ者は、世界の果てまでいかねばならぬ.jpg
仙石裕美 「胸に世界の果てをもつ者は、世界の果てまでいかねばならぬ」
“You should go to see the world's end, if you have it in your heart”


 鎌近(かま・きん)所蔵の 松本竣介 「立てる像」 を即座に想起しました。
 すっくとした思い切りのよさ。すがすがしさ。

 松本竣介「立てる像」も仙石裕美「胸に世界の…」も、人物のスケール感が見る者を「だまして」くれる。
 どちらも人物が巨人のように見えるけれども、では「巨人」として描いているかというとそうではない。
 「巨人じゃないのに、なんで巨人に見えるんだろう」という自問が尾をひく。

280323 Good shoes take you to a good place.JPG
仙石裕美 “Good shoes take you to a good place”

 白い靴のなかに大空。立体作品です。すてきな遊び心。靴は廃品利用ではなく、紙粘土で制作したもの。

仙石裕美個展は平成28年4月2日まで Niche Gallery で開催。10時~6時半。日曜休廊。



 仙石裕美さんは平成26年12月にも同じ Niche Gallery で個展を行っていて、そのときの作品+シェル美術賞展の作品を画像紹介したブログがあるので、併せてご覧ください:
仙石裕美個展 @ Niche Gallery(銀座三丁目)~12/27 フォルムとしての純粋肉体
http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/201412270000/






最終更新日  Mar 25, 2016 07:43:41 AM
コメント(0) | コメントを書く
Mar 17, 2016
カテゴリ:美術館・画廊メモ
鹿児島でがんばっている純朴なパンダ絵師、あごぱん さん。ぼくは個展で6回ほどお会いしているのですが、まだご本名を聞けずじまい。
六本木七丁目6-5 の Shonandai MY Gallery で 3月22日まで「あごぱん展 ―神輿をかつぐ―」が開かれています。

今回はこれを購入。ブロードウェイ・ミュージカルのような華やぎが気に入りました。

280316 飛ぶ神輿.jpg
あごぱん 「飛ぶ神輿」

販売価格の 35,400円は、神輿の「ミ・コ・シ」に引っ掛けた由。

今回の個展で「神輿」をモチーフに据えたきっかけは、昨年あごぱんさんが宮島に行ったときに、建物がお神輿を彷彿とさせてイメージがふくらんだのがキッカケだそうです。
そこで、個展のメイン作品はこちら。販売価格は「ミ・コ・シ」に引っ掛けて 354,000円となっております。

280316 パンダ宮島の神輿祭り.jpg
あごぱん 「パンダ宮島の神輿祭り」

絵のそこここでいろんな出来事が起こっていて、おもしろいです。曼荼羅といいましょうか、人生双六といいましょうか。

280316 パンダ宮島 部分1.JPG
あごぱん 「パンダ宮島の神輿祭り」 [左上部分]

280316 パンダ宮島 部分2.JPG
あごぱん 「パンダ宮島の神輿祭り」 [左下部分]

窓にうつるシルエットがなかなかおもしろい効果をあげています。ぼくが買った「飛ぶ神輿」もビル群の窓にシルエットが浮かんでおりますな。
昨年の「あごぱん展」@ The Artcomplex Center of Tokyo で、あごぱんさんの ある作品に描かれた窓のシルエットがおもしろく思えて 褒めたことがあるのですが、それが今回、あごぱんさんの背中を押したそうです。

280316 パンダ宮島 部分3.JPG
あごぱん 「パンダ宮島の神輿祭り」 [中央部分]

パンダたちは燕の背に乗って空を飛んでいます。
ぼくが買った「飛ぶ神輿」も、ご本尊が燕さんです。

さてこちらは対照的に、珍しくモノトーンの「和」の作品。じつは、これも買いたいなァと心が動いていました。

280316 おばけみこし.jpg
あごぱん 「おばけみこし」

いっぽうこちらは、西洋のテイスト。

280316 おはなみこし満開.jpg
あごぱん 「おはなみこし満開」

あごぱん作品は総じて色彩がじつにヴィヴィッドですが基本は和のテイスト。
「おはなみこし満開」のような西洋の花卉の色は、じつは あごぱん作品には珍しいものです。

あごぱんさんに帝国劇場ロビーのステンドグラスを作らせたら、これはもう、みんなアッと驚くだろうなぁ。
世界でも あごぱん さんだけのユニークな世界が、パブリックアートの場で展開されたら、どんなに楽しいことでしょう。






最終更新日  Mar 18, 2016 12:09:42 AM
コメント(0) | コメントを書く
カテゴリ:美術館・画廊メモ
ギャラリーじゅう全部買いたくなる作品に時たま出会う。山際マリさんの幻想画は、そういう作品。ぼくのストライクゾーンど真ん中に来ました。
日本橋三丁目2-9 の Masataka Contemporary で3月19日まで2人展が開かれています(新、アーティスト展 vol.3 FROM WEST: 八太栄里(はった・えり)+山際マリ)

ぼくが購入したのは、この作品。今のぼくとしては、かなり奮発しました。

280303 Fragment of Nostalgia.jpg
山際マリ Fragment of Nostalgia

サービス精神いっぱいの丁寧なコラージュ。
えてして、画面上でやりすぎてしまう作家がいるものですが、山際さんはちゃんと止めどころを知りつつ、あふれるような多彩なイメージで心を満たしてくれる。それでいて作品の奥には、はるかかなたまで広がる空虚が感じられる。

オモテの華やぎと、そのウラにある切ないほど虚しい渇き。そのふたつが、ひとつの平面上に展開しています。

280303 Grow into Yourself.jpg
山際マリ Grow into Yourself

山際マリ作品を見ていると、ダークなミュージカルの世界にも入っていけそうです。

280303 Daydream.jpg
山際マリ Daydream

コラージュが平面にとどまらず、キッチュなモノたちの饗宴をつくりだしています。モノたちの立体感は画像では伝わりにくいですが、左のほうにロマ人(びと)の色糸の房も見えますね。

280303 Connection with the New World.jpg
山際マリ Connection with the New World

細部までおろそかにしない丁寧なお仕事です。

280303 Plastic Dolls.jpg
山際マリ Plastic Dolls

異なる作風。Trevor Brown さんのウィットを感じます。トレヴァーさんほどグロテスクに走らない、しずかな きれいさが好きです。

280303 Into the Woods.jpg
山際マリ Into the Woods

Into the Woods は、有名なミュージカルです。この作品を公演ポスターにできたら、なんとすてきでしょう。

280303 Banquet.jpg
山際マリ Banquet

この女の子の表情・仕草、好きです。ステンドグラスのような背景もすてきです。

280303 Who is the Master of Puppets.jpg
山際マリ Sacrifice

左腕のタトゥーの色味は、タトゥーにありそうでない色です。こういう細部が幻想感を高めてくれるのです。

山際マリさんは昭和46年生まれ。美大出身ではなく、キルト作家として活動したあと(絶妙のコラージュのセンスはキルト制作の修業が育てたものなのかも)33歳で絵画制作を本格的に始め、37歳のときニューヨークで個展を開きます。最近は大坂の乙画廊やアートスペース亜蛮人で個展をなさってますね。今回、すばらしい作品に東京で出会うことができて、とてもしあわせです。






最終更新日  Mar 17, 2016 10:48:09 PM
コメント(0) | コメントを書く
Mar 1, 2016
カテゴリ:美術館・画廊メモ
 ことしの藝大卒展(第64回東京藝術大学卒業・修了作品展、平280126~31)に行って収穫だった作家のひとり。京橋三丁目の Gallery b. Tokyo で3月5日まで個展を開いている。

 藝大卒展では彫刻棟に足をのばすか逡巡した。しかし、一室を漆黒の暗闇にし部屋の中央と壁面にステンドグラスの立体人物像を置いて内部から照らし出した佐宗乃梨子(さそう・のりこ)さんの作品展示を見て、来てよかったと思った。

280229 佐宗乃梨子 KAGUTSUCHI.JPG

佐宗乃梨子 “KAGUTSUCHI” (修士課程修了作品。カグツチは記紀神話の火の神)

280229 佐宗乃梨子 UTERUS.JPG

佐宗乃梨子 “UTERUS” (修士課程修了作品。「子宮(uterus)」の形が産みの神となったか。)

 Gallery b. Tokyo に作家本人がおられたので、ステンドグラスの彩色について聞いた。ガラスの一片一片に手作り感があり、色も単色ではなくまるで絵具で裏から着色したように見えるが。

「着色ガラスは輸入品を買いました。平面やランプシェード型のステンドグラス作りをしているひとはそれなりにいるので、その人たちのために着色ガラスが売られています」

 着色ガラスが買い物だからといって、佐宗作品の価値が下がるわけではない。
 油絵だって、いまどき鉱物の粉を練るところから絵具づくりをする作家は稀だろう。それと同じで、着色ガラスはもちろん買い物でよろしい。

280229 Half man 1.JPG

佐宗乃梨子 “Half man”

 個展で床の中央に置かれた酒飲み男は、渋谷の路地裏のバーに置いてみたいね。
 こんなところに置いてみたいなと あれこれ想像がふくらむすてきな作品群だ。

280229 Half man 2.jpg

佐宗乃梨子 “Half man”

280229 Half man 3.JPG

佐宗乃梨子 “Half man”

 下の作品は、学部卒業作品だそうだ。ステンドグラスの表面にウジ虫がわく、ちょいと「おどろ」な作品。

280229 Living Dead.JPG

佐宗乃梨子 “Living Dead”

 佐宗乃梨子さん、今後ともご活躍を!







最終更新日  Mar 1, 2016 08:10:37 AM
コメント(0) | コメントを書く
Feb 29, 2016
カテゴリ:美術館・画廊メモ
 平成28年2月18~28日に国立新美術館1~2階で開催された五美大展(東京五美術大学連合卒業・修了制作展)
 注目した3人の女流日本画家をご紹介しましょう。
 (武蔵美油絵の横田晶洋さんについては別途 こちら に書きました。)

■ 中嶋彩乃 (女子美・日本画) 「佇む光の行く先は」


 港に停泊する船舶、ゆったりとたゆたう波、それらを浮かび上がらせる光の諸相を、絹本の大画面に岩絵具で描いて日本画の正統をしっかり引き継ぐ人としてデビューした。

 日本画のいのちである輪郭線が直線も曲線もしっかりしている。色塗りも、筆あとが残っているわけではないけれど筆のちからが伝わってきて、見ていて飽きさせない。
 夜景ながら、色が濁っておらず、きれいだ。

280224 中嶋彩乃 佇む光の行く先は.jpg

中嶋彩乃「佇む光の行く先は」

 これほどの逸材は、女子美の日本画では10年に1人いるかいないかだろう。腕前は東京藝大級だ。
 なまじっか東京藝大の日本画に行くと指導教官に歪んだのがいるから、色が濁った暗い絵を描かされる。間違って女子美に入ってしまったような感じもするが、ご自分の好きなモチーフを追究して天分のままに技を磨けたのは良かった。

 中嶋彩乃さんのホームページを見ると、やはり船の絵だ。人物は描かないひとのようだが、これだけの写実力をもってすれば人物をどんなふうに描くだろうかと興味津々。
 ご本人にメールを送ったところ、返事が来た:

≪「佇む光の行く先は」では、港の風景をベースに日が沈みきる直前の海の青と光のゆらぎの美しさを表現することを大切に制作しました。

満足いく作品がまだ多くないことや、小作品などは載せていないためHPの作品数が少ないのですが、こうして作品を見ていただける機会の大切さを胸に、精進したいと思います。この先も絹本の美しさを生かした海や船舶の作品を描き続けていきたいと思っています。≫


 中嶋彩乃作品を見ていると、多摩美日本画 院修了の青木香保里さんにつながる。青木さんもやはりオーソドックスに絹本に岩絵具で、ひたすらに水母(くらげ)の諸相を描く作家だ。
 厚塗りの岩絵具で洋画を描いて日本画と称する作家があまりに多い今日、青木香保里さんや中嶋彩乃さんのような正統派の日本画家はじつに貴重である。


■ 伊藤友美子 (武蔵野美大・日本画) 「秘密」

 少女と木馬、天井から吊るされたおもちゃ。各種の技法をとりまぜて展開し、おもしろい画面をつくった。

280224 伊藤友美子 秘密.jpg

伊藤友美子「秘密」

 目もと、口もと、手の指の表情が気に入った。メリハリのきいた絵が描けるひとだ。拡大してみよう。

280224 伊藤友美子 秘密 部分.JPG

伊藤友美子「秘密」[部分]

 平270417~0516に八丁堀二丁目の画廊「アート★アイガ」で4人展に参加しているようだ。そのとき わたしも伊藤友美子さんの小品を見ているはずだが、さすが五美大展の作品は ぐんとレベルアップした。


■ 都筑良恵 (武蔵野美大・日本画) 「ケモノ道」


 この「おどろ」の世界にどんなストーリーが息づいているのか、作家の語りを聞きたくなってくる。

280224 都筑良恵 ケモノ道.jpg

都筑良恵「ケモノ道」

 人物も植物もしっかりと描けるひとだ。
 たんに「おどろおどろしい」絵は、世の中に数知れずある。しかし本作は、静寂の次の瞬間に何かとんでもなく大それたことが起こりそうな怖さがある。
 光の表現が劇的。一見したところ色数が少なく見えるが、モノクロではなく、多様な闇の色を駆使している。

280224 都筑良恵 ケモノ道 部分.JPG

都筑良恵「ケモノ道」[部分]

 これだけ描ける人なら、小品もストーリー性のある人物画をいろいろ描いてくれそうで楽しみだ。作品を買いたくなる作家である。






最終更新日  Mar 1, 2016 06:44:54 AM
コメント(1) | コメントを書く
Feb 28, 2016
カテゴリ:美術館・画廊メモ
 平成28年2月18日から今日28日まで国立新美術館1~2階で開催の五美大展(東京五美術大学連合卒業・修了制作展)。武蔵野美大の油絵チームに勢いを感じました。
 注目した作家・作品をご紹介します。まず本欄では、注目度ナンバーワンのこの作品。

■ 横田晶洋(あきひろ) (武蔵美・油絵) 「末法之図」

 足をとめて見入っている人が多かった作品。この絵はぼくも買いたい。
 現代カリカチュア絵巻とも言うべく、古典的な意味での「漫画」である。コミックスふうの量産マンガとは全く異なるタッチで、画面に次々と出来事を作り出している。

 日本の絵巻なら右から見ていくのだが、油絵絵巻は左から見ていくべきなのかな。画面上の役者たちの動きも左から右に向かっているようだ。
 横に随分と長い作品なので、左部分から順を追って画像紹介します:

280224 横田晶洋 末法之図 左.jpg

横田晶洋「末法之図」[左部分]

280224 横田晶洋 末法之図 中央.jpg

横田晶洋「末法之図」[中央部分]

280224 横田晶洋 末法之図 右.jpg

横田晶洋「末法之図」[右部分]

 そこここで あるまじきことが起きている。画面全体がひとつの演劇空間として作り込まれ、個々の「事件」に照明を当てて のぞき見させてくれる。見る者は、作家と秘密空間を共有する共犯者となる。
 部分を拡大してみましょう。

280224 横田晶洋 末法之図 部分1.JPG

横田晶洋「末法之図」[部分1]

280224 横田晶洋 末法之図 部分2.JPG

横田晶洋「末法之図」[部分2]

280224 横田晶洋 末法之図 部分3.JPG

横田晶洋「末法之図」[部分3]

280224 横田晶洋 末法之図 部分4.JPG

横田晶洋「末法之図」[部分4]

 横田晶洋さんは、武蔵野美大・油絵の修士課程を今年3月で修了します。
 他の作品をこちらで見ることができる。安定した画力の持ち主です。
横田晶洋展 “What's?!” @ アートギャラリー絵の具箱 (平250528~0602)
横田晶洋展 “Are you a real friend???” @ アートギャラリー絵の具箱 (平260617~22)
横田晶洋展 “Create Soul” @ アートギャラリー絵の具箱 (平270623~28)

 今年の個展、ぜひ見に行きたい。ぜひ引続き多くの作品を描いて、アート界にポジションを築いてほしいものです。

 横田晶洋さんに注目しているブログがありました。「金田治のスケッチ日記(平280222)から:

≪五美大展は日大、女子美、造形、多摩美、ムサビの都内五美大の卒業作品の展示をする展覧会です。いつもは現実のメディアと教育との乖離を嘆いていたのですが、今年は少し様子が変わってきたように思えます。

五美大展の中でムサビ即ち武蔵野美術大学だけに熱気を感じました。
他の大学は現在の情報の混乱をそのままに、「現代美術」風という50年ぐらい前のモダンアートを真似て底の浅いアバンギャルドを演じています。
モダンアートを生み出したポロックらの 新時代への期待 といった熱気がなければ、反芸術は全てスクラップです。

今回の卒業生も4年前は皆 美術大学を目指す学生として共に学んでいたのでしょうが、大学が異なるだけでこれほどに結果が異なるのかと驚くとともに、教育の意義をあらためで感じました。
ムサビの教育では主任教授の画家 水上泰財 や 遠藤彰子 の存在を強く感じます。ハッキリとした教育目標が示されれば「末法の図」を描いた横田晶洋のような卒業生も生まれるのだなと感心して会場を後にしました。≫


 卒業生のなかでひとり横田晶洋さんの名のみ挙げておられます。
 武蔵美の専任教員をつとめる水上泰財(みずかみ・たいざい)(昭和37年生まれ)さんと遠藤彰子(あきこ)(昭和22年生まれ)に言及があるが、なるほど水上さんや遠藤さんなら若い横田さんを大いに鼓舞することでしょう。

 武蔵美にのみ熱気を感じた、と金田治さんは書きます。
 たしかに今年の五美大展は、武蔵美だけ突出して良かった。というか、多摩美が壊滅し、日大芸術学部や東京造形大と区別がつかなくなった。これが、ぼくの印象でした。






最終更新日  Feb 29, 2016 07:10:29 AM
コメント(0) | コメントを書く
Dec 4, 2015
カテゴリ:美術館・画廊メモ
 上野の森美術館で11月20日から来年1月17日まで開催の徳川期風俗画オリジナル展。東京に来るのを待ちに待っていた。
 「肉筆浮世絵 美の競艶 浮世絵師が描いた江戸美人100選」。

 「肉筆油画」とか「肉筆日本画」「肉筆佛画」「肉筆絵巻」といった言い方はない。たんに「浮世絵」というと浮世絵版画を指してしまうから徳川期風俗画の掛軸や絵巻・画帖に限って「肉筆」の2文字がつくのは、わかりやすさのため。いまのところ仕方ないか。
 しかしいずれこのジャンルは認知度を上げ、「江戸風俗画展」という言い方に収斂すべきところだ。

 それはさておき、12月初めに上野の森美術館に入場したら、非常識な学藝員がいて1階フロア全体がとんでもないことになっていた。さっそく館長殿に以下のような書信を送ったのだが、さて、善処されるかどうか。


≪上野の森美術館 館長殿

 拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 さて、開催中の「肉筆浮世絵展」に関連し、館長のお立場から現状把握・改善いただきたい点があり、以下ご指摘申し上げると共に、早急な善処をお願い申し上げます。

 昨日午後3時すぎに入場したところ、さっそく低い天井の通路に人だかりがあり、何かと思えば学藝員氏がマイクを片手に大音響で得意げに解説を行っていました。
 素通りして展示エリアに入りましたが、声は展示エリア内にまで響き渡り、気が散って江戸絵画の名品の数々に集中できません。少しでも学藝員氏の声から離れようと順路に従って足早に進みましたが、学藝員氏の声は1階フロア全体に響き渡っており、作品と静かに向き合える環境ではありませんでした。

 上野の森美術館には30年来通っており、内外の名品からVOCA展の現代美術まで数々堪能させていただき感謝しております。それだけに今回の学藝員氏のひとりよがりと配慮の無さに驚きを禁じ得ません。 

 さすがに このまま放置はできず、展示エリア入口に戻り、傍観する係員に
「1階じゅうに響いていて迷惑です。音量を下げてください」
と伝えましたが何ら改善されず、仕方がないので2階の展示を先に見ることにしました。驚いたことに学藝員氏の声は2階展示フロア入口付近まで聞こえます。

 不愉快に思いつつも2階フロアを見て回りましたが、2階フロア出口付近に来ると依然として学藝員氏の長辯舌が聞こえます。暗澹たる思いでした。学藝員氏のひとり舞台の終了後、ようやく1階フロアの作品鑑賞に入れました。

 学藝員氏は目の前の人々が自分の解説をよろこんでくれるものと信じて、自らの手柄に陶酔しつつマイクを手にしていたのでしょう。しかし、1階入場口で耳を傾けた二十数名を除き、展示エリアの鑑賞者には迷惑至極なものでした。

 ギャラリートークは、他の鑑賞者にも配慮しつつ、音が響かない大きめのホールで主に肉声で短時間に限り行うべきものです。展示エリアに隣接し、天井が低く音声が増幅しがちな場所に大音響スピーカーを持ち込み長時間にわたり “講演” する学藝員の非常識、そしてそれを放置する上野の森美術館の管理体制の失態は嘆かわしい限りです。どうか改めてください。

 美術館での解説は、パネル表記とイヤホン音声ガイドが基本です。上野の森美術館の今回の展示レイアウトではギャラリートーク実施は無理があります。美術館としての常識に立ち返り、真に鑑賞者のためを考えた運営をお願い申し上げます。   敬具≫






最終更新日  Dec 4, 2015 08:00:41 AM
コメント(0) | コメントを書く
Jul 8, 2015
カテゴリ:美術館・画廊メモ
7月6日から11日まで京橋三丁目のK392ギャラリーで、美術コレクターのコレクション展が開かれています。美樂舎の第24回「マイ・コレクション展」。

270705 K392ギャラリー.JPG

30点あまりの出展のなか、わたしも3点出しています。

270705 マイコレ泉コーナー.JPG

左の作品から すこし解説いたします。

270521 義村京子 Star Children.jpg

義村京子“Star Children” 平成22年作品 art space kimura ASK? で購入

義村(よしむら)さんが参加していたグループ展では、大作の周りを十数点の小品が囲み、画廊壁面は宇宙でした。星座のように散在する小品群から気に入りの3点を選んで組合せ、額装しました。宇宙の誕生から現在までの時間を象徴するトリオです。

額装の色づかいは作家・義村さんに選んでもらいました。画題はほんらい “Star Child”. 作家の脳には「スター・チャイルド」ということばが浮遊したそうです。
でも、ぼくも ことばには とことん こだわります。単数形では居心地が悪く、複数形にさせてもらいました。

270705 cosmic kitty.jpg

Trevor Brown “cosmic kitty” 平成20年作品 Bunkamura Gallery で購入

Trevor Brown さんは平成6年以来 日本在住の作家で、お歳は60代ではないかと思います。渋谷のBunkamura Gallery でお会いしたことがあります。銀座一丁目の Span Art Gallery とご縁のある作家さんです。

モチーフは『不思議の国のアリス』のチェシャ猫です。チェシャ猫自身は面妖な存在ですが、本作ではチェシャ猫を着ぐるみに仕立てて、その下から かわいい女の子が永遠の笑いを授けてくれる。癒されます。
浮遊する魚たちは、強運また凶運の象徴でしょう。

270521 アルフォンス井上 女友達I.jpg

アルフォンス井上「女友達 I」平成6年作品 Span Art Galleryで購入

これは蔵書票なので、サイズは小さいです。グロくないレスビアン。

他作品の中では、丹伸巨(のぶお)さん出展の池田俊彦銅版画2点に注目です。

270705 池田俊彦.JPG

池田俊彦「老腐人-R」(平成18年作品)・「翁-Q 完全防御の姿勢 f.s.」(平成17~21年作品)

不忍画廊で購入されたそうです。しびれるような吸引力のある大作です。
わたしも池田俊彦作品は「翁-Q 円錐の反乱 f.s.」という小品を持っています。



美樂舎第24回マイ・コレクション展
期間: 7月6日~11日、12:00~19:00(ただし11日は15:00まで)
場所: K392ギャラリー(中央区京橋三丁目9-2 プラザ京橋ビル1階)






最終更新日  Jul 8, 2015 08:22:54 AM
コメント(0) | コメントを書く
Jun 18, 2015
カテゴリ:美術館・画廊メモ
若いアートの殿堂 ACT で “ACT ART COM - Art & Design Fair 2015” を開催しています。(わたしは勝手に「ACT 展」と略称してます……)
きょう18日から21日(日)までです。

2階の第3室が「コレクターの狂宴」企画展となっていまして、山本冬彦さん、関一彦さん、丹伸巨さん、石堂琢己さんら最前線をゆくコレクターがイチオシ作家の作品を出品していますが、そこにわたしも加えてもらいました。

推薦する作家は、多摩美油画 院修了の橋口美佐さんです。彼女の初個展の初買上げ客がわたしで、そういうこともあって、その後どうしているかなと気になっていました。
最新作を見てみたいという動機で、今回声を掛けました。

270618 橋口美佐全体.JPG
「泉ユキヲ presents 橋口美佐」のコーナー

中央の大作は平成26年に Golden Competition 2014 優秀賞を受賞した作品です。
かつて、人間の内面そのものの内臓を美麗な曼荼羅(まんだら)のように描き展開していた橋口美佐さんが、新境地を見せてくれました。

270618 橋口美佐カタログ掲載作.jpg
橋口美佐 「警告を発する魔法の雲は少女の夢を打ち砕くか」 162 × 130 cm

この大作世界を切り取った手ごろサイズの作品がこちら。でも、すでに別のコレクターさんに売約済です。

270618 魔法の雲 VI.jpg
橋口美佐 「魔法の雲 VI」

装飾画のように展開する新作も すがすがしい仕上がりです。

270618 世界の隙間について I.jpg
橋口美佐「世界の隙間について I」

270618 世界の隙間について II.jpg
橋口美佐「世界の隙間について II」

こちらは、ややマグリットの気分。

270618 世界の隙間について III.jpg
橋口美佐「世界の隙間について III」

1万円+税のミニ作品も含め、お求めいただきやすい値段となっています。
机の上に値段表と画集(非売品)がありますので、ご覧下さい。

270618 橋口美佐机.JPG

ACT展は、規模の大きいアートフェアです。さまざまな作家が地下1階と2階の全フロアでアート作品を展示しています。ぜひお越しください。

The Artcomplex Center of Tokyo(新宿区大京町12-9
6月18日   11~15時
6月19~20日 11~20時
6月21日   11~17時






最終更新日  Jun 18, 2015 08:30:49 AM
コメント(0) | コメントを書く

全146件 (146件中 11-20件目)

< 1 2 3 4 5 6 7 ... 15 >

PR

フリーページ

平成20年 配信コラム ベスト10


泉ユキヲの観劇・観映・読書メモ 32


観劇・読書メモ 1


観劇・読書メモ 2


観劇・読書メモ 3


観劇・読書メモ 4


観劇・読書メモ 5


観劇・読書メモ 6


観劇・読書メモ 7


観劇・読書メモ 8


観劇・読書メモ 9


観劇・読書メモ 10


観劇・読書メモ 11


観劇・読書メモ 12


観劇・読書メモ 13


観劇・読書メモ 14


観劇・読書メモ 15


観劇・読書メモ 16


観劇・読書メモ 17


観劇・読書メモ 18


観劇・読書メモ 19


観劇・読書メモ 20


観劇・読書メモ 21


観劇・読書メモ 22


観劇・読書メモ 23


観劇・読書メモ 24


観劇・読書メモ 25


観劇・読書メモ 26


観劇・読書メモ 27


観劇・読書メモ 28


観劇・読書メモ 29


観劇・読書メモ 30


観劇・読書メモ 31


購読雑誌リストアップ


泉ユキヲの美術館・画廊メモ 了


美術館・画廊メモ 1


美術館・画廊メモ 2


美術館・画廊メモ 3


美術館・画廊メモ 4


美術館・画廊メモ 5


美術館・画廊メモ 6


美術展・画廊メモ 7


美術館・画廊メモ 8


美術館・画廊メモ 9


美術館・画廊メモ 10


美術館・画廊メモ 11


美術館・画廊メモ 12


美術館・画廊メモ 13


美術館・画廊メモ 14


美術館・画廊メモ 15


美術館・画廊メモ 16


美術館・画廊メモ 17


美術館・画廊メモ 18


美術館・画廊メモ 19


美術館・画廊メモ 20


美術館・画廊メモ 21


美術館・画廊メモ 22


美術館・画廊メモ 23


美術館・画廊メモ 24


美術館・画廊メモ 25


美術館・画廊メモ 26


美術館・画廊メモ 27


美術館・画廊メモ 28


美術館・画廊メモ 29


美術館・画廊メモ 30


美術館・画廊メモ 31


美術館・画廊メモ 32


美術館・画廊メモ 33


美術館・画廊メモ 34


美術館・画廊メモ 35


美術館・画廊メモ 36


美術館・画廊メモ 37


美術館・画廊メモ 38


泉幸男のブックマーク


トランクルーム 1


トランクルーム 2


旧ホームページ掲載の記事から


中国詩人 牛 漢 の作品「半身の木」


松山市周辺の新たな鉄道整備案


伊澄航一俳句館


南川 航 詩集『ハイウェイの木まで』


「平成かなづかひ」のご説明


ぼくの小学一年生ケッサク作文


日記/記事の投稿

プロフィール


Izumi Yukio

お気に入りブログ

映画『トップガン マ… New! アップラウンジさん

UDON CITY BUS その1 New! masapon55さん

憲法改正発議のため… New! seimei杉田さん

KARAのギュリの事務… New! ヨンミョン1029さん

「改憲3分の2」維持… 生王さん

ダウンタウンのカフ… Urara0115さん

山種美術館/速水御舟… みなみ*さん

思い出し日記♪5月♪ CherCYさん

毎度毎度の巡礼に、… ゆでがえるさん

働き方改革の一歩目… レジャ研所長さん

コメント新着

 http://buycialisky.com/@ Re:悪役「国際連合」がインターネット界をハイジャック?(11/08) buy cialis soft online canadian no scri…
 http://cialisb.com/@ Re:悪役「国際連合」がインターネット界をハイジャック?(11/08) para que sirve el viagra y el cialiscia…
 ペタポン@ Re:横浜市営地下鉄の 「全席優先席」 という偽善(03/16) 僕も偽善大好きです。ほんとこんなのザ偽…

バックナンバー

Jul , 2019
Jun , 2019
May , 2019
Apr , 2019
Mar , 2019
Feb , 2019
Jan , 2019
Dec , 2018

カテゴリ


Copyright (c) 1997-2019 Rakuten, Inc. All Rights Reserved.