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「拝啓。益ご清適ご起居成られ、珍重斜ならず賀し奉り候。随て小生義海陸滞り無く、先月九日パレース着。同二十九日同所出立、当月二日ロンドン府着仕り候。」(文久二年(1862)、島津祐太郎宛、岩波文庫『福沢諭吉の手紙』) この本は、「候文独特の漢字の語順は、読み下して表記」し、「読みやすく」してあります。そのお陰で、編者がどう読んだかが分ります。 「益ご清適ご起居成られ」と編者が読んだ個所の原文(写真)は、「益御清適御起居被成」(『福沢諭吉百通の手紙』)となっています。この編者は、「被成」を「成られ」と読んでいます。ところが、『福沢諭吉百通の手紙』の編者は「なされ」とルビを振っています。 岩波文庫『蕪村書簡集』の編者も、「益(ますます)御安全被成御座(ござなされ)」とルビを付けています。私は“理屈抜き”で「なされ」でしょう……と思っています。 無理に“理屈”を付けてみると、 【為す・成す】(『角川古語辞典』) 他サ四 (1)(ある行為・動作を)する。行なう 【る】(『角川古語辞典』) 助動下二型〔活用〕れ-れ-る-るる-るれ-れよ 〔接続〕四段・ナ変・ラ変動詞の未然形に付く。〔意味・用法〕(4)尊敬の意を表わす。「給ふ」などに比べると敬意は低い。…られる。お…になる。 【成す】は、サ行四段活用(成さ 成し 成す 成す 成せ 成せ)で、その未然形「成さ」に、助動詞【る】がつながって【成さ-る】になり、助動詞が活用して【成さ-れ】になったものと素人考えをしています。 【らる】(『角川古語辞典』) 助動下二型〔活用〕られ-られ-らる-らるる-らるれ-られよ 〔接続〕四段・ナ変・ラ変以外の動詞の未然形、助動詞「す」「さす」「しむ」の未然形に付く。〔意味・用法〕(4)尊敬の意を表わす。「給ふ」などに比べると敬意は低い。…られる。お…になる。 助動詞【らる】ならよさそうですが、これは「四段・ナ変・ラ変以外の動詞」に付くようですから、四段活用の【成す】には続かないのだろうと思います。(面倒なハナシです。) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008/09/09 04:31:29 PM
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