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小さな教会での、ソロと合唱によるクリスマスコンサートでした。
日本のうた、クリスマスにちなんだ名曲の数々に挟まって、 歌人の小島ゆかりさんが特別ゲストで、一部の終わりに出演されました。 題して「小島ゆかりの世界」 いったいどんな世界なのか想像が膨らみます。 いつも賛美歌が流れているのであろうこの空間にはおごそかな空気が流れていて、それだけでもうドキドキしながら座っていました。 小島ゆかりさんは、ひっそりと舞台下手の椅子に腰掛けて、 ごく普通に御自分の歌を朗読されました。 バックに流れたのはピアノと女声合唱団によるその短歌に つけられたメロディー。 宮崎在住の勢井由美子さんというかたの作曲でした。 演奏の最初に、あるいは間に、指揮者の指示を受けながら ゆっくりと朗読された小島ゆかりさんの声と短歌は、 合唱をじゃまするでもなく、負けるでもなく、静かに、静かに こころへ沁みてくる自然なものでした。 「小島ゆかりの世界」 ストローでまはしてごらん透きとほるソーダの中のおまへの空を 鐘りんごん林檎ぎんごん霜の夜は林檎のなかに鐘がなるなり ひとつだけあげたいものはこの母が転んだときに見えた青空 雨が降るやうにしぜんに泣けばいいおまへの顔が傘で見えない 大人には大人の不思議あるゆゑに行きたし冬の動物園へ 反抗期の子はぎしぎしと揺らぐ楡 千年のちもおまへを愛す 団栗はまあるい実だよ樫の実は帽子があるよ大事なことだよ どんぶりに顔を呑まれて下の子がうどんを食べる、食べるよろこび 白(しろ)湯気に鼻けぶらせて上の子がうどんを食べる、食べるかなしみ 希望ありかつては虹を待つ空にいまはその虹消えたる空に もう二週間近くも前のことですが、今でもまだ声が耳の底に 残っていて、繰り返し思い出しては、あたたかくて、そして 泣きたくなるような気持ちになっています。 友人と妹と三人で、終電めがげて走ったおかしさと一緒に。 とてもいい、小さなクリスマスコンサートでした。 *題詠マラソン 五首選会 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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