前回の話の続きです。
現金取引は、預金取引との比較において、その取引履歴が通帳に記入されない(自動的に作成されない)ことから、管理が難しいということを書きました。
現金は出たり入ったりを頻繁に繰り返しますから、いったん残高が合わなくなると、その原因を究明することが困難です。そこで比較的簡単にお金の入りと出を管理する方法をご紹介したいと思います。
1 お金の流れを一方通行にする
例えば売掛金の回収として入金した現金を経費の支払に充てた場合、現金の入りと出が交錯し、現金の管理が難しくなります。そこで入金したお金については、専用の金庫(菓子箱でも構いません。)を用意してその中に収容し、次の日(翌日が難しい場合には一定の期間ごと)にそのまま預金口座に入金します。入金した現金を経費の支払に充てず入金する、即ち現金の入りと出の交錯を遮断することにより、現金の管理を単純化します。菓子箱に入金したお金を収容する際には、入金の理由をメモ書きして伝票を起票しておきましょう。また通帳への入金をその原因別に複数回に分けて行った場合(例えばA商店からの売掛金の回収額とB商店からの売掛金の回収額とを分けて預金口座へ入金した場合)には、通帳にも入金の原因別に取引金額が記録されますから、管理がよりいっそう簡単になります。
2 定額資金制度を活用する
小口経費を充てるための現金(例えば10万円)を銀行からおろしてきます。そのお金を専用の金庫(菓子箱でも結構です。)に入れてもらい、経費が発生する都度、領収書と引き換えにその金庫から現金を引き出します。そうすると金庫の中身は、現金の残高と領収書の金額との合計額で、常に10万円となります。1週間とか2週間ごとに、領収書の金額分だけ預金から現金を引き出してきます。そうすると金庫の中身は当初の金額(例えば10万円)に戻ることになります。伝票の起票は、経費の発生が翌年度にまたがる場合にだけ注意すれば、預金の引き出し時に一括して処理しても問題はないと思われます。
3 現金の過不足を記録する
上記のような管理をしていも原因の分からない現金の過不足は多少出てくると思います。例えば出金用の金庫の中を除いてみると領収書の金額の合計額は9万円なのに、現金残は9千円しかなかったとか。その場合には、不足額1千円分については出金処理をしてあげて、相手科目欄又は摘要のところに現金過不足と記録し、帳簿の現金残高を実際の現金残高に合わせてあげます。現金過不足の部分については、決算までの間に、その原因を調査しますが、それでも原因が判明しなかった場合には、実際の現金残の過大部分は雑益として収益に計上し、実際の現金残の過少部分は雑損失として費用(損失)の額に計上することになります。
4 期末の現金残をゼロにする
決算に際しては、入金用の金庫や出金用の金庫に残っている現金を全て預金に預け入れてしまいましょう。そうすると決算書上の現金残高はゼロということになり、バランスシートがすっきりしますね。(笑)
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上記のような処理を完全に行っている小規模会社は少ないと思いますが、お金の入りと出の交錯を遮断するだけでも随分と違ってくると思います。取り敢えず空箱を2個用意してもらえば、容易に実践することが出来ますから、現金の記帳がグチャグチャで収拾がつかないという方には、お勧めします。(笑)
先日あるお客様から、「ブログを見ました」という言葉をかけて頂きました。ちょっと恥ずかしかったですね。(笑)
東京の勤務先の事務所や東京で開業している税理士の友人にもばれてしまいましたし、アクセス数も1万件を超えて、いよいよこのブログも全国区になったということでしょうか。(爆笑)
これに懲りず、月数回のペースで、日記の更新を続けていきたいと考えておりますので、定期読者の全国20名(内友人知人15名)の皆様、今後ともよろしくお願い申し上げます。(笑)