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アニメ文豪ストレイドッグスを18話まで観て、かなり気になったジョン・Sの「怒りの葡萄」を必死に読みました。
なんでぶどうが怒るの?と疑問だったんですが、その謎がとけたこと以上にストーリーが壮絶でした。 だいたいのストーリー 主人公トム・ジョードの一家は、砂嵐で耕作のできなくなったオクラホマを追い出され、カルフォルニアの果実もぎの仕事募集のビラをたよりに、改造した中古車でアメリカ横断の旅に出る。 家族は当初12人いた。トム、兄のノア、弟のアル、ウィンフィールド、妹のローズオブシャロン、ルーシー、ローズの夫コニー、おやじ、ジョン伯父、おじいさん、おばあさん、そしておっかあ。 地元の元牧師のジム・ケーシーも連れて、希望に満ちた、和気あいあいとした出発だったが、出発してすぐにおじいさんが梗塞で亡くなってしまう。おばあさんはアリゾナ州に入ったあたりで熱さや水不足で衰弱して亡くなってしまう。兄のノアはアリゾナ州の川の下流で一人で暮らすと言って、消えてしまい、ローズの夫コニーは川の上流へ歩いていったまま蒸発してしまった。貯えが底をつきそうな状態になり、国営キャンプの場所へ移動すると、トムは5日間の土木作業の仕事を得たが、それ以外の家族は仕事にありつけなかった。仕事探しに車を使うため、食費の他にガソリン代を稼がねばならず、もっと仕事の多い場所に移動しなければならず、キャンプの人達から桃摘みの仕事がある場所を教えてもらい、車で移動する。桃摘みの農家では、箱1個分の桃を詰めると5セントの給料がもらえ、一日限界まで働いて3ドルほど稼ぐことができ、新しい服も買うことができた。夜になると、賃上げ要求の抗争があり、様子を見に来たトムは巻き込まれ、運動をしていたジム・ケーシーは警備員に殴り殺され、トムは勢いで警備員を殺してしまう。トムは身を隠すため、川の近くの穴の中で暮らすようになる。賃上げ運動が潰されたため、桃摘みの給料は1箱2.5セントになってしまい、一日分の食費も稼げなくなってしまったため、母はトムに別れを言い、一家は近くの綿摘みの仕事をすることにする。綿摘みの仕事は一日3ドルほどの収入になったが、一日に新しい日雇いの人が200人もくるため、競争が激しくなり、綿の収穫はすぐに終わってしまった。綿摘みが終わると、雨の季節が来て、あとは冬がきて、春まで仕事がない。どうするか考えていたところで、長い大雨が降る。川は増水し、避難しなければ車も浸水で故障してしまう。しかしローズオブシャロンが産気づいたため、ジョード家族は避難できず、逆に川を土で埋めて洪水を回避しようといいだす。その言葉に従った人々も逃げ遅れ、車をダメにしてしまう。ローズシャロンの子は死産で、車も失った家族は、浸水した貨物列車の中で暮らし、浸水が肩のあたりまできてから泳いで脱出して町を探し、最後は小屋の中で衰弱していた親子の父にローズが母乳を与える。 という壮絶なストーリーです。マッドマックス怒りのデスロードかよ!アメリカ版半澤直樹かよ!と思いました。怒りの葡萄は人口が増えすぎたことによって仕事からあぶれた人々のことを指します。新約聖書のヨハネの黙示録において、神が天使に命じて刈りとらせる命。増えすぎた人間たちのことだそうです。カルフォルニアの葡萄のうわさ話が最序盤に出てくるから、その葡萄かと思いきや、この小説に葡萄は登場しません。聖書的には、仕事もないのに大家族でぞろぞろしてるのはよくないことなんでしょうかね。コニーやアル、トムはニートですが、伯父やおやじにはちゃんと仕事があったわけで、トラクターの普及で産業構造が変わり、労働人口が急激に必要とされなくなってしまったのと世界恐慌が重なった悲劇です。この家族はのんびりしていますが、急激に世の中が変わって、ついていけなくなってしまっただけだと思います。家族という絆が崩壊する中、困窮する家族同士の助け合い、トラックの運ちゃんによるはからいなど人情エピソードが少しだけあります。ラストのローズオブシャロンは、出産を経験して母親のような強さを得たということだと思います。家族の一部、財産の全てを失った後にも希望はあったようです。夏休みとか長期休暇で読むのにおすすめ。夏気分に浸れます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018年05月30日 00時28分59秒
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