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ブレードランナーやマイノリティ・リポートやトータルリコールでおなじみのフィリップ・K・ディックの短編集です。
・アジャストメント ・ルーグ ・ウーブ身重く横たわる ・にせもの ・くずれてしまえ ・消耗員 ・おお!ブローベルとなりて ・ぶざまなオルフェウス ・父祖の信仰 ・電気蟻 ・凍った旅 ・さよなら、ヴィンセント ・人間とアンドロイドと機械 バラエティ豊かでした。 ・ウーブ身重くはデビュー作らしいです。人間のような毛が生えていてブタにそっくりのおしゃべりで知性のある宇宙人に出会って、船長が食べようとするんだけど隊員は気が進まない……。という話。オチが怖い。 ・アジャストメントは、神(?)の宇宙の改ざんを見てしまった主人公が災難にあう話。主人公の会社の社長を30歳くらい若くしないと未来の人間の文化が危ないらしい。いや、それどーでもよくね? ・ルーグは犬にしか目視できない謎の生命体。ゴミをあさっている。 ・にせもの、は人間に化けたアンドロイドの敵を探して倒さないといけないのですが、主人公自身がアンドロイドだったという絶望の話。 ・くずれてしまえ、は大戦後の未来、モノ作りを辞めてしまった哀れな人類の生活を書いた話。なんにでも変身できる宇宙生命体ビルトングを機械にしたり食べ物にしたり……。一切の労働をしなくなった人類はもう人類とは言えないなぁ…って感じ。 ・消耗員は意味不明でした。 ・おお!ブローベルとなりて、は宇宙人との戦争の結果、一日の4分の3を宇宙人(ブローベル)の姿で生活することになってしまった特異体質の主人公が、同様に一日の4分の3を人間の女性の姿で生活することになってしまったブローベル人ヴィヴィアン・アラスミスと結婚する。結婚してみたら、人間の姿でいる時間が長い妻のほうが、何倍も稼ぐことができ、主人公はほとんどヒモ状態だった。それでも子どもは4人も生まれ、完全な人間1人、主人公とヴィヴィアンのような人間とブローベルのハーフ2人、完全なブローベル1人の割合だったので、家庭は大混乱。主人公は離婚を願うようになるが……コメディです。ブローベルは平たく言うとスライムです。人間並みの知能があるのが不思議すぎる。 ・ぶざまなオルフェウスは冴えないカウンセラーの主人公が、プライドを満足させるため、偉人のミューズになれるサービスを受けることにする。過去に飛んで偉業を成していない偉人に発明品や事業のアイデアをそれとなく出す権利が与えられるもので、主人公は今や世界的SF作家のフィリップ・K・ディックに、SF小説を書くようアドバイスする役を選択するが、失言してしまい、SF小説なんてくだらないから書かないと言われてしまい……!? ・父祖の信仰…世界大戦でアメリカが中国に負けた世界を書いたもの。共産主義で監視社会。 ・電気蟻…アンドロイドが自分の体をいじくりまわして時間感覚や空間認識をめちゃくちゃにして遊ぶ。 ・凍った旅…移民宇宙船で冷凍睡眠中に起きてしまったおじさんに、いい夢をみせてあげようと奮闘する宇宙船のAI。しかし、おじさんは子ども時代から青年時代までの記憶がみっちりとトラウマで埋め尽くされていた!!気持ちいい夢に入ったと思ったら悪夢にかわりを繰り返し、星に着くまでの500年をやり過ごすことができるのか!? ・さよならヴィンセント…リンダ人形のひみつ。 ・人間とアンドロイドと機械…作者の考察。結局、アンドロイドより優しそうな人間のほうが邪悪なんじゃね?みたいな。友好的にふるまう、人間に敵対的なアンドロイドも怖いけど。要は、どれだけ他者のために身を削れるかで善と悪って決まるよね~。みたいな~。 SF小説をかじったことある人ならどれも楽しく読めると思います。スキマ時間におすすめです。 この人の小説は時代を先取りしすぎ。デトロイトビカムヒューマンの世界が既にここにある。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019年06月01日 01時27分56秒
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