Nuclear-ENGR&LAW Seminar
先日、下記の勉強会を開催しました。 Nuclear ENGR & LAW Seminar Wednesday, October 23, 2019 6:00-8:00 PM CDT Beckman Institute, Room 2169 405 N Mathews Ave, Urbana, IL 61801 Yuki Ashina Attorney at law, a visiting scholar from Japan Federation of Bar Association “Lessons in the 2011 nuclear disaster from a view point of a Lawyer” Abstract: This presentation discusses how to deal with the damage caused by a severe nuclear accident focusing on compensation. There are lot of victims who lost everything because of the accident in Fukushima. As a one of the lawyers who have supported the victims in this accident, she introduces the present compensation system in Japan and explains the reasons the present system does not work efficiently. In addition, she proposes some ideas to improve the system in Japan referring to the system in the U.S. Kazumasa Shimada, Ph.D. Researcher of Radiation Protection,Visiting Reseacher of SoTeRiA Research Laboratory “Overview of Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant Accident and Radiation Protection” Abstract: This presentation provides an overview of Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Station Accident, focusing on evacuation situation of Fukushima residents, to provide input to open discussion on the nuclear accident compensation. To understand evacuation situation in Fukushima, we need to understand radiation dose level in the contaminated area; hence, the basic concepts and historical background of radiation protection are introduced. Particularly highlighted is research of the Hiroshima-Nagasaki Atomic Bomb Survivors. As needed, an introduction to radiation (radiation physics, human influence and radiation measurement, etc.) is briefly discussed. Prior Knowledge: This seminar is designed without assuming any prior technical knowledge. However, to establish a common ground for discussion, all participants are encouraged to check out the following YouTube video in advance: https://www.youtube.com/watch?v=cKgzIzANTSY Building Access: The building entrances may be locked after 6 PM. If you are unable to enter the building, please call or text ***at the main entrance, located on the south side of the building. Remote Connection: In case you are unable to attend the session at the Beckman Institute, a remote connection option will be provided via Skype for Business. This system allows us to share the video, sound, and presentation. If you need to use the remote connection, email to*** an invitation and instruction will be sent. Parking Information: A number of metered parking spaces are available near the Beckman Institute. There are spaces on Wright St., in the Beckman circle drive off of Mathews Ave., and in the campus parking deck just east of the Institute. All meters require $1.00 per hour. Contact: Tatsuya Sakurahara (Department of Nuclear, Plasma, and Radiological Engineering, UIUC) このとってもかっこいいチラシを作って下さったのは、UIUCにて博士研究員をされている櫻原達也さん。原子力研究のエキスパートとして私と共にプレゼンをして下さったのは、日本の研究所から客員研究員としてUIUCに留学されている嶋田和真さんです。お二人とは、日本人留学生のネットワークで繋がったのですが、お互いの研究分野を知り、お互いに驚きました。そして、ここで出逢ったのも何かのご縁ですよね、日本だとかえってお会いする機会がないし、お会いできたとしてもお互いに組織を背負って話すことになってしまうから、本音の率直な意見交換をしませんか、という話が盛り上がり、今回の企画に至りました。また、それぞれの分野でそれぞれ一生懸命仕事をしてきたけれど、余りにも巨大な東電福島事故について、縦割りでそれぞれの分野でできることをやっていく、ということで本当に良いのだろうか、何が起きたのか、どうしてこうなったのか、今後にどう繋げていくべきか、そんなことを、専門分野を横断して一緒に考えませんか、それは私たち日本の専門家の世界に対する責任じゃないですか、そんな問題意識が背景にあります。ただ、当初の私のイメージとしては、お互いがお互いの分野を知るということができれば良いので、日本語でこじんまり内輪で意見交換会をするというようなものでした。ところが、非常に優秀な研究者かつ卓越した事務処理能力をお持ちの櫻原さんが、余りにもかっこいいチラシを作って下さったため、これはロースクールの学生にも声をかけてみてもいいんじゃないか、と思い、ごくごく仲間内に声をかけてみたところ、8人もの学生が参加してくれることになりました。国籍は、日本、台湾、インドネシア、タイ、ベラルーシと色々です。この時点で、櫻原さんが、「プレゼンの公用語は英語と致します」と宣言したので(まあ、当たり前ですよね・・・)、日本語じゃなくて英語でプレゼンということになり、色々な意味で思いの外、本格的なStudy Sessionになりました。準備が大変だ、と思いつつも、原子力の専門家と法律の専門家のコラボレーションなんて日本でもなかなか企画できないことだし、そこに、各国の法律の専門家が加わるということで、どんな化学反応が生まれるんだろうということがとても楽しみで、わくわくどきどきが入り交じった気持ちで当日を迎えました。櫻原さんのお心遣いで、美味しいピザを食べながらの勉強会です!これも嬉しい!まずは、嶋田さんのプレゼンです。いつもは優しい野球好きのお兄さんといった佇まいの嶋田さんなのですが、用意して下さったスライドの枚数、内容共に圧巻でした。原子力エネルギー、リスク管理について圧倒的な知識、経験をお持ちである上に、素人にも分かりやすく説明する技量を持ち合わせていらして、英語であったにもかかわらず、また、私が高校時代に0点を取ったことがある程の超絶物理アレルギーであるにもかかわらず、嶋田さんがかみ砕いて説明して下さった内容はすっと入ってきました。東電福島事故におけるキーワードの一つである20ミリシーベルトについても、ようやく意味や制定経緯を理解することができました。本当に分かりやすかったのですが、お聞きしながら、何故このような様々な方の不安に配慮した説明を、東電福島事故発生直後の不安で仕方なかった時期に、お聞きできなかったのだろうとつくづく思いました。あの頃、様々な情報が錯綜しており、本当に毎日が怖くて不安でした。説明中の嶋田さん、ものすごくかっこよかったです!!!その後のQAセッションでは、内部被ばくと外部被ばくのリスクの違い、妊娠中の女性や子供の放射線に対する感受性、家畜の被ばく、避難指示区域の設定は今振り返るとどう評価すべきか等の質問が相次ぎ、大盛り上がりでした。続いて私のプレゼンです。ユタで一度報告はしているのですが、その後の一ヶ月で、考えたこと、思いついたこと、沢山あったので、できるだけ盛り込もうと準備しました。相変わらずまとまらない報告になってしまったこと、英語力の不足、特に後半に疲れてきてぐだぐだになるという欠点を克服できなかったのは悔しいですが、このアウトプットの機会があったからこそ整理できる思考があったこと、本当に良かったと思っています。私のプレゼンの後には、その場にいる優秀この上ないロースクールの仲間たちから、次々と鋭い質問が続きました。頂いたご質問を差し障りのない範囲でご紹介しますが、この鋭さです。もうその場で考えることばかりでたじたじでしたし、結局答えられない質問もありましたが、本当に勉強になりました。・ADRの和解案には強制的な法的拘束力がないと述べていたが、成立した和解は債務名義になるのか、強制力はあるのか(この点に関しては、私がそもそもADRを,強制効を伴うarbitration、仲裁と英訳したことで招いた混乱が大きく、正確な英訳の大切さを実感しました。ADRにおける和解仲裁は、"intermediation of settlements"が公定訳になりそうです)・東日本大震災が余りにも巨大な自然災害であることは明白であると思われるが、東京電力もまた被害者という考え方は成り立ち得ないのか(この点については、櫻原さんが国会の事故調の結論をごく簡単にご説明下さいました)・和解の成立が促進されやすいアメリカの例を紹介していたが、企業が和解を拒否する背景には、日本の訴訟システムとは別に株主に対する説明がしやすいという要素もあるのではないか・放射線被ばくにより将来生じ得る可能性のある健康被害(発がん)は立証することはできるのか、精神的被害はどのような法的構成を取っているのか・紹介があったメキシコ湾岸の原油流出事故ですら賠償規模は20billion、日本は既にその金額を遙かに超える84billionを賠償している。この金額は一企業が出せる金額ではないが、これを東電が負担するという建前になっているのは何故か・賠償金が、結局国庫の援助によって、つまり、税金によってまかなわれている一方で、国のオフィシャルな立場としては責任がないということなのか、形式と実質の不一致が生じていないか・クラスアクションは、事実の共通性が要件の一つになる筈だが、東電福島事故で、共通する事実は何だと考えるのか、それぞれの背景事情が異なり過ぎており、クラスアクションは難しい類型ではないのか二日経った今でも、嶋田さんのプレゼンをお聞きして浮かび上がってきた様々な疑問、頂いた質問やコメントへの様々な思考がぐるぐる頭を巡り、とても頭が活性化しています。大盛り上がりすぎて、2時間の予定が3時間になった、余りにも貴重な勉強会でしたが、やって終わりではなく、これを次に繋げようということで、スーパー櫻原さんを中心に、次にどう繋げていくかを既に話し始めています。留学したからこそ得られた貴重なご縁や機会を、今後に繋げていきたいと思っています。皆様、今回は本当にありがとうございました。特に、企画、司会を務めて下さった櫻原さん(下記写真で嶋田さんのお隣の方です)、何から何まで本当にありがとうございました!!!