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テーマ:映画館で観た映画(8350)
カテゴリ:洋画(05・06)
「ユナイテッド93」
ポール・グリーングラス監督 すみません。記事を書いて気がついたんですが、 結論は皆さん知っている話なので、ネタバレ全開で書いたのですが、 それが不快に思う方もいるかもしれません。 その方は見るのをスルーしてやってください。 映画を観る前は心配していた。「テロからアメリカを守った英雄的な乗客たち」という映画になってはいまいか、と。たとえば、乗客一人ひとりの描写を密にし、いかに彼らが勇気を奮い起こしたのか、ということをきちんと描けば、英雄物語は簡単につくる事ができる。でも実際出来た作品は違った。乗客の人生はほとんど描かれない。有名俳優はひとりも使わない。乗客は突然の理不尽なハイジャックにみまわれ、そしてすぐに同時多発テロの当事者であるということを知る。そのあまりにもドキュメンタリーなタッチに、我々観客も、その中に放り込まれたような気になる。乗客たちは、決してテロによって新たな犠牲者を増やすのを防ぐためではなく、「自分たちが助かるために」最大限の努力をしていく。地上が次第に近づいていく。そして暗転。見事なラストカット。英雄物語にしなかった監督に拍手。 この映画のもう一つの柱は、管制塔や軍の情報管理のあり方であろう。目の前のワールド・トレードセンターに火災が起こり、さらにもう一機が突っ込むまで、これが自爆テロだとは気がつかないでいる。情報が交錯し、のっとり機は5機であると信じられ、のっとり機がどこを飛んでいるのか、管制塔も軍も全然把握できていない。これが世界最高峰の情報管理システムを持つ国の姿なのである。 電線が切断され、首都に大停電が起きても数時間原因さえつかめなかった国なら、一日ぐらいは何がなんやらわからなくなっているだろう。 テロが起きるとき、国は無力である。そのことを如実に見せる。テロを防ぐには「憎しみの連鎖」を断ち切る以外にはない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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