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再出発日記

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2007年03月22日
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カテゴリ:邦画(07)
本でも、映画でも、旅のことでも、政治のことでも、書いておきたいことが山ほどたまっているのですが、今日、heliotropeさんの記事に対して私が書いたコメントに以下のように返事をしてくれていて、
>タウンミーティングやオリンピック誘致でも広告会社がべったり癒着していることが表面化してきました。すべてが利権でまわっているようで…でもそういう人たちは子どもや孫の代のことを考えないのでしょうか。

この言葉について連想していたら、つい、いろいろと考えてしまったので、急遽予定を変えて記事を起こすことにした。なんについて書くか、というと
優秀な人ほど、大切なことに気がつかない。
ということです。

私の思い出したのは、「長い散歩」という映画のことである。
(以下100%ネタバレ、そしてそのうち90%は私の解釈である。)
元校長先生の松太郎(緒方拳)は、その厳格さゆえに妻をアル中に追い込み、娘と絶縁状態にある。その贖罪の気持ちも働き、アパートの隣にすむ児童虐待にあっている女の子と、青い空と白い鳥を見に、旅に出かける。松太郎は充分理性的で優秀な男だから、衝動的に女の子を連れ出したりはしない。まずしたことは体力つくり。女の子と走っても息が切れないまでに体力をつける。女の子を施設に預けることより、一緒に旅に出ることのほうを選ぶ。もちろん、誘拐として逮捕されることは承知の上である。しかし、母親から無理やり離すことは女の子の心に傷を与える。おそらくそこまで思っての行動だろうと思う。

松太郎は女の子の気持ちを一生懸命理解しようとしている。例えば、こんなことがあった。逃げてきて、ファミリーレストランに入り、最初の食事。女の子の好きなメロンパンが無いので、松太郎は仕方なくハンバーグステーキ定食を頼む。女の子はろくな食事を食べたことが無いから喜ぶだろうと思ったからである。熱々のハンバーグステーキが出てきたとき、松太郎が食べなさいと勧めると、女の子はハンバーグの皿をひっくり返してしまう。思わず大きな声で叱る松太郎。その後すぐに悲しそうな顔になる。この女の子と心を通わせることが出来ないかもしれない、とふと不安に思ったからである。娘と最後まで心を通わすことが出来なかったように。

そんな二人だけど、旅の間にしだいと心が通いだす。ある日ひょんなことから、帰国子女でいじめにあい、様々な事があって逃避行中の青年(松田翔太)と旅の路連れになる。空き家で焚き火をし、ふかし芋を作ったとき、松太郎は女の子に食べさせようとするが、女の子は嫌う。青年は即座に、それは芋が熱いからだ、女の子は熱いのがとてつもなく嫌いなのだ、と気がつき冷まして女の子に渡す。松太郎は女の子の「熱い、痛い」という言葉で虐待のトラウマがあったことに初めて気がつく。青年は初めてなのに、女の子に本質に気がつき、松太郎は長いこと努力をしたのに、そのことに気がつかなかった。

‥‥‥タウンミーティングの教育委員会の人たち、広告会社の電通のエリート社員、朝日の論説委員たち、彼らは社会的使命と常識とのバランスをうまいこと「理屈」にし、同時に「経営効率」という「成果」も上げている人たちなのだろう。‥‥‥俺たちは何も悪いことはしていない。家族もしっかりと守っている。そのぐらいのことは思っているのかもしれない。私たちよりは賢く理性的に社会を見ているのかもしれない。けれども、そんなひとほど、「孫たちにとって一番大切なこと」について気がついていないのでしょう。

松太郎と女の子は、ある夜、枕元でこんな会話を交わす。「おじちゃん、サチのこと、好き?」松太郎、しばらく絶句して、声が出でず。滂沱の涙を流す。





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最終更新日  2007年03月22日 23時01分26秒
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