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カテゴリ:07読書(ノンフィクション)
「週刊東洋経済」という雑誌が、現代の労働問題を執拗に追い、すぐれたルポをたくさん書きだしている。その中の中心的な記者の風間直樹氏が「雇用融解~ これが新しい「日本型雇用」なのか ~」(東洋経済新報社)という本を出した。
ここでいち早く「偽装請負」問題に鋭いメスを入れてきて、クリスタルという偽装請負の巨大帝国を自主解散までに追い込んだ(グッドウィルが業務を引き継いだ)経過もよくわかる。また、本書の白眉は「過労死は自己管理の問題」といってブログ上で物議をかもした、ザ・アール社長(労働政策審議会労働条件分科会委員)の奥谷礼子氏のインタビューである。今年一月に週刊東洋経済に掲載して批判が出ると、そのご「真意が伝わっていない」と言い訳をしていたので、この本では、インタビュー形式のままで忠実に再現したそうだ。だからできたら図書館でも借りて全文を読んだほうがいいのだが、ここではそのほんの一部だけを書き写してみる。 --いわゆる格差論議に関しては 下流社会だのなんだの、言葉遊びですよ。社会が甘やかしている。自分が努力するとか、自分がチャレンジするとか、自分が失敗するということを、そういった言葉でごまかしてしまっている。そうした風潮に対して懸念を抱いている。そう言って、甘やかす社会を作るのかということです。いじめだってそうです。社会人だっていじめはあるわけだから。そうでしょう。いじめというものがあるという前提に立って、それは小学校や中学校でトレーニングしながら社会へ出て行くわけでしょう。いじめはないなんて言うこと自体、ナンセンス。 すべてがこんな調子。真意は十分に伝わる。 派遣の問題、外国人研修生問題、フリーター・パート問題、労働法番外地に置かれる個人請負問題、まさに現代の労働問題の現実を扱った渾身のルポ。読み応えがあった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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