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2010年04月14日
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グラウンド・ゼロがくれた希望堤未果 扶桑社文庫

9月11日、パンドラの箱を開けてしまったのは、確かにテロリストではなくアメリカのほうだろう。けれどこの国だけが持っているものもある。

堤未果は9.11のとき、世界貿易センターの隣の世界金融センターの20階で被爆する。そこで体験したすべてが彼女を変えたわけではない。けれども、9.11が無ければジャーナリストの彼女は無かった。多感なニューヨーカーの作家が一人生まれただけかもしれない。

9.11のあと、PTSDになって日本に帰り、それでも彼女に平和活動家の通訳や講演が来て、仕事が入ったのは、一つは彼女が若い女性だったからもあるだろう。けれども彼女が独り立ちできたのは、ひとえにその感性が「まとも」で「新鮮」で「豊か」だったためだということが、やっと3年後に出たこの作文で明らかになる。9.11の16日後に朝日新聞に載った彼女の投書をよむと、そのまともな感覚はまさに9.11までに、両親から、国連などのNGOの仕事から、彼女自身から授かったものだということがわかる。彼女は9.11直後、気のいい老人たちが集まっている自分のアパートのドアというドアに暴力的なステッカーと星条旗が貼られていて、ショックを受ける。一夜あけると、老人たちが急進的な愛国者になっていたのだ。日本でにわか通訳を引き受けたとき、酒田市でアメリカの平和活動家が「広島への原爆投下について謝罪したい」といったとき、涙でしばらく通訳することが出来なかった、そんなまともな感性が彼女にはある。

彼女の本を読んで三冊目。もしかしてこれが堤未果のスタイルなのだろうか。パンドラの箱を開けて、さまざまな厄災を描いた後に彼女は最終章で必ず「希望」を語る。

彼女はあとがきで、この八年間を振り返り、「希望」を題名に入れて「本当に良かったと心から思う。本を通じて知り合ったたくさんの人に助けられ、アメリカを、世界を、目を凝らしてみようとすればするほどに結局は自分自身と向き合わされるという法則は、国連、アムネスティにいたころよりもずっと、人間の未来を信じようという気にさせてくれる。」と書いている。

その感性にぼくは、がんばれ、といいたい。





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最終更新日  2010年04月14日 17時31分31秒
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