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カテゴリ:旅の記録
途中いくつかの港による。室津の港は「鳩子のてんぷら」というのが売られていた。NHK「鳩子の海」の舞台だったのだ。しかし、未だにそれが名物になっているなんて。あれは40年位前の作品なのではないか? 室津で隣に座ったおばあちゃんに話しかけてみる。 「船の中から上関原発工事現場は見えますか。」 「見えるよ。女の人は陸から工事しているし、台船というクレーン船で石を運んで海を埋め立てている。」 曇りで工事現場は良く見えなかった。私は勘違いしていたのだが、原発は祝島に出来るのではないのだ。1982年に中国電力が山口県上関町四代田ノ浦に出力135万キロワット級の沸騰水型軽水炉2基の建設計画を発表した。原発建設予定地は祝島の対岸、海を隔ててわずか4キロ先だ。もしここに原発が建設されれば、祝島の島民は毎日原発と向かい合って暮らさなければならない。また、祝島と建設予定地との間は豊かな漁場で、祝島の漁師さんたちの生活基盤になっている。いや、漁師さんたちだけではなく、祝島の島民はみんな、ここで獲れる新鮮な魚や貝や海草を毎日のように食べているのである。だから今、祝島は反対派(9割)と推進派(1割)に二分され、対立するという不幸な状態が続いているという。 祝島の港に上がって直ぐのところに、このような掲示物を見かけた。歴史を感じさせる。 予約していたみさき旅館に入る。一人旅でも快く泊まらせてくれたので、どのような部屋か心配していたのだが、とっても広い部屋だった。これで一泊二食付き6900円は安い。(食事もとっても満足) 暗くなるまでの約一時間半。村を散歩することにした。雑貨や恵比寿屋の横には、田ノ浦ニュースとかが張られている。2月16日のニュース。おばあちゃんは「毎日反対に行っているよ」と言っていた。 さあ、石積みの練塀にご対面。島内では強い季節風を防ぐためにこのようになっているらしい。そういえば、軒が低い家が非常に多い。 この練塀の特徴は、一般の塀と家自体の塀が一体になっているという点である。 練塀の中は一軒だけではなく、数件の家が軒を連ねていることがある。別に親戚同士ということではなく、昔の強いつながりがあった家同士が共同体として助け合っている名残だと思われる。 こんな練塀もある。 小学校の上に上がる。此処まで高台に上がれば、どんな津波も大丈夫。10分で上がれる。 宮戸八幡宮に上がる。島内では唯一の神社らしい。非常に古い神社で、趣があった。 石の信仰がある。翌日えびすやの奥さんに聞いたところによると、海にあった石を力持ちが上げたそうだ。 神社の裏では一般的な祠以外に石そのものが祀られていた。 島のガスは総てプロパンガスである。プロパンガスの置き場所をこのように作るのは久し振りに見た。家と家との距離が近く、通路に置くことを避けるためだと思われる。 板塀のところになぜか鍵穴があった。これは完全に謎の鍵穴。 夜が迫ってきた。宿に帰ろう。 夕食はサヨリの煮付けと鯛とたこの刺身、煮しめとささみのソテーだった。これに鯛の澄まし汁がつく。肴は総て祝島の特産。刺身はこりこりとしていて、美味しかった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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