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ラッコの映画生活

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2006.12.15
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PRZYPADEK
Krzysztof Kieslowski

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医学生のヴィテクは、息子が医者になることを欲していた父が死に、人生の目的を見失う。学校を休学してワルシャワに向かおうとして発車時刻ギリギリに駅に行くが・・・。間に合って列車に乗れた場合、駅員に静止されて乗れなかった場合、間に合わずやはり乗れなかった場合、ヴィテクのその後の人生の3つのストーリーがオムニバスで描かれる。

キェシロフスキは映画学校の教師のとき学生に、「今工場の前に一人の男がいる。これからどういう物語が展開されるか。」等と問い、答える者がいないと教室を出ていってしまったという。普段から人間観察をし、イマジネーションを働かせるられなければ映画等作れないということだろう。主人公のヴィテクが列車に間に合ったか合わなかったで、彼は3通りの人生を描いたわけだ。

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それぞれのケースでヴィテクの人生を左右するのは人との出逢いだ。スターリン時代を生き抜いてきた共産党幹部ヴェルネル、反体制地下活動をする若者や神父、彼を追って駅にやってきたかつての恋人。同じヴィテクが体制側の党員、反体制活動家、ノンポリとなる。それ自体違い過ぎると感じられるかも知れないが、望んだのではなくソ連支配下に置かれたポーランド人が、祖国に感じている思いは同じであり、どういう立場からその問題を解決するかという差があっただけではないだろうか。その意味でいかなるあり方であれ信念を持っている人物との出会いが、生きる指針をなくしたヴィテクに影響を与えたのだ。人生は生来の性格や人種など生まれの条件、あるいは単なる偶然事で左右される。 遺作となった『トリコロール/赤の愛』の最後の方で、ヴァランティーヌらを乗せたフェリーが出港し、金属の渡し板が、機械的に、ゆっくりと、しかし容赦なく閉じられる映像は、これから沈没という運命が待ち受けているわけだけれど、もうどうにも取り返しのつかない運命を暗示していて、無気味な恐い映像だったのを思い出した。

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第1話にでてくる「希望をもって人生を始めるが、結局望みは達成されずに人生は終わる」というヴェルネルの言葉。第2話で「人生の目的が欲しい」と言ってカトリックの洗礼を受け、「ただ存在だけしていて下さい」と神に祈るヴィテク。同じく第2話で語られる「死んでいく人に与えられるのは、一人ではないという思い」というマザー・テレサの言葉。第3話でヴィテクが目にする、何の具体的目的もなしに、ただただ世界最高の球投げの技に10年以上も精進している2人の男性。

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何故我々は生きているのか、人生の目的とは、そして人生における偶然の作用とは何か。スターリン時代からの弾圧と自由化の歴史と現状もテーマにはなっているけれども、むしろ『デカローグ』や『トリコロール』三部作につながる、人の生き方と運命の物語だ。また偶然なり必然として我々が感じる人生の出来事を自分の側から見るのではなく、自分自身の行動自体が多くの他者の人生に影響を与えているという逆の立場から見れば、これは『ふたりのベロニカ』の世界でもある。

3話とも決して明るい話ではないけれど、同じ主人公ヴィテクの3つの話があり、どれかが決定論として描かれていないためか、つまり列車に乗れるかどうかにまつわる偶然の結果の3の仮定として見られるためか、見た後に気分がどうしようもなく暗くなることはない。自分や人一般の人生のあり方を見直すだけだ。

ヴォイチェフ・キラル(『戦場のピアニスト』)の音楽も美しかった。

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Last updated  2007.10.16 03:46:36
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