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先ず、幼虫を紹介しよう。以前にも書いた様に、このヨモギヒョウタンカスミカメやヨツボシヒョウタンナガカメムシ等の小さなカメムシは、大きさと言い歩き方と言い一見アリの様に見えるものが多い。成虫の場合は、翅があるのでやや平たく見えるからまだ区別が付くが、幼虫は体に丸味があり、本当にアリによく似ている。実際、コナラの葉裏にはアリも来ているので、何度かアリをカメムシの幼虫と間違えた。 成虫の大きさは翅端まで約5mmあるが、5齢(終齢)幼虫では体長約4mm、下の写真に示した若齢幼虫は3mm弱である。老眼鏡を掛けないとアリとの区別は一寸難しい。
さて、次は捕食の様子である。カスミカメムシ科にはイネその他を吸汁して被害を与える農業上の大害虫が沢山居る。しかし、中には専ら他の昆虫を捕食するものも居るし、環境によって食性を変えるものも居る。何れにせよ、口吻を突き刺して唾液を送り込み、相手を消化して汁を吸うのだから、カメムシにとっては大した違いでないらしい。
上が捕食中の写真である。困ったことに、被捕食者が何者なのかが分からない。一見、ヤノイスフシアブラムシ(ヤノイスアブラムシ)の若齢幼虫の様に見えるが、そうではない。詳しくは、後で考察する。
50秒後の写真(上)を見ると、この不明幼虫が萎んでいる。カスミカメに吸い取られたものと判断して間違いないであろう。
別の捕食の様子を2コマ(上と下)示す。3番目、4番目の写真もそうだが、何れも口吻でただ触っているだけの様にも見える。しかし、カメムシは口吻そのものを突き刺すのではなく、その中にある口針を伸ばして刺すのである。口吻は謂わば口針の鞘に当たる。 これらの他に写真は示していないが、口吻の先がコナラの葉に触れているものもある。葉から吸汁しているのか、或いは、只休んでいるのか、区別は難しい。しかし、3番目と4番目の写真から、少なくとも、ヨモギヒョウタンカスミカメがこの不明幼虫を捕食することがあるのは確かであろう。 「カメムシBBS」に問い合わせたところ、「この属(Pirophorus)の仲間は基本的にアブラムシなどの小昆虫を捕食して生活しているものと思われます」との回答があった。 なお、このヨモギヒョウタンカスミカメの近縁種であるクロヒョウタンカスミカメは、コナジラミその他の吸汁性小昆虫を広範囲に捕食する為、現在、生物農薬としての利用を目指して研究が行われているそうである。
ところで、この捕食されている不明幼虫である。一体何の幼虫であろうか。ヤノイスフシアブラムシの幼虫と似ているが、このアブラムシの幼虫には毛がかなり生えているにも拘わらず、件の不明幼虫には、次の写真に示した通り、毛が生えていないし、背面にある赤色の点列は2列しかない(ヤノイスフシ幼虫では4列)。それに、ヤノイスフシ幼虫よりもずっと小さい。 写真に示したのは、終齢と思われる最も大きな個体であるが、体長僅か0.41mmである。ヤノイスフシ幼虫の方は約1.25mmで、体長にして3倍もある。 この被捕食者が終齢とする根拠は、他のこれよりもずっと小さい同様の形態を持つ幼虫が沢山居り、また、かなり長い期間観察したにも拘わらず、これ以上大きな幼虫個体は見つからなかったからである。
終齢幼虫が居れば、その成虫や、種類によっては蛹が見つかって然るべきである。しかし、このコナラの葉裏に見られる怪しげなものと言えば、最後以外の全ての写真に写っている長径0.5mm位の黒くて中央の白い楕円形の「何か」しかない。これは一見ある種のコナジラミの蛹殻に良く似ているのだが、普通のコナジラミの場合は小さなものでも長さ1mm位はある。これはその1/2である。 それに、コナジラミの幼虫は普通は葉に固着して略円盤形をしている。こんなアブラムシの様な6本脚で歩き回る幼虫ではない(この不明幼虫と白黒円盤とは関係ない可能性もある)。 ある種のカイガラムシの幼虫はこの「不明幼虫」に似た形のものもあるらしい。そこで「日本原色カイガラムシ図鑑」で調べてみたが、該当するものはなかった。 そこで、この黒白の円盤も「カメムシBBS」に問い合わせをしたのだが、残念ながら回答は何も得られなかった。専門家も投稿するこのサイトで回答がないのだから、こちとらとしてはもうどうしようもない。精々、来年の夏に辛抱強く観察するほか手が無い様である。 葉裏の世界は難しい。しかし、正体不明のものが色々と有って、妙に好奇心をそそる世界でもある。読者は来年も葉裏の話でウンザリさせられるかも知れない。 [昆虫(カメムシ)]カテゴリの最新記事
大変興味深く拝読しました。
難しい内容かな・・・^^;と思いながら、読み始めたのですが、 面白くて、最後まで一気読みしてしまいました。 なんと言いましても、お写真が鮮明なので、 とてもわかりやすいです。 コナジラミの名前が登場した時は、思わず、 「でましたお馴染みコナジラミ☆」と、 嬉しくなってしまいました。 しかし・・・吸い取られていく様子が、 2枚にわたるお写真によって、クリアーに残されていて、 感動するほど、でした☆ ありがとうございます☆また、参ります♪(2007年12月18日 21時33分37秒)
しぼんでゆくアブラムシ??
50秒もかかるのが不思議な程、小さいのですが またこのヨモギヒョウタンカスミカメ 初めて聞いた名ですが、またまたインパクトある画像です! ここまでマクロの世界が見れてこそ、ではありますが 見れたら見れたでまた謎が、、 その1つ1つにあくなき追求を。 凄い探究心だと感心いたします。 コナジラミにはびびりましたが、、 「カメムシBBS」にも驚きました。 早速拝見してその真摯ぶりにも。 アゲハBBSとかもあるんでしょうか。 あったらいいなぁと個人的に思いますが、、(2007年12月19日 00時56分41秒)
夢のはしさん
>コナジラミの名前が登場した時は、思わず、 >「でましたお馴染みコナジラミ☆」と、 >嬉しくなってしまいました。 ----- 微小な昆虫で有名でも実際に見る機会の少ないものには、コナジラミの他に、キジラミ、グンバイムシ、アザミウマ等があります。夢のはしさんも、これらの虫に来年会えるかも知れませんね。 (2007年12月19日 13時00分10秒)
snowrun29さん
>しぼんでゆくアブラムシ?? >50秒もかかるのが不思議な程、小さいのですが ----- 消化液を注入し消化してから吸うのである程度の時間がかかるはずです。 >アゲハBBSとかもあるんでしょうか。 >あったらいいなぁと個人的に思いますが、、 ----- アゲハBBSはありませんが、一般昆虫の問い合わせが出来るサイトは探せば沢山あります。次のサイトに沢山出ています。 http://a.hatena.ne.jp/yyzz2/?gid=350848 (2007年12月19日 13時03分34秒)
1ミリ以下の虫から体液をチューと吸い取る様子は、楽しいです。その栄養でピカピカの光沢ある体を作っていくのでしょうね。触角も脚も口吻も同じくらいの太さで同じくらいの活躍ぶりなのかな?って思いました。(2007年12月19日 16時06分48秒)
あるかねっとさん
>一枚の葉の裏に、こんなに沢山の生き物が見つかるんですね。 >で、捕食する者とされる者がいて、ちゃんと生体系が成り立っているんですね。 ----- 葉裏の世界は複雑です。捕食者、被捕食者の他に、被捕食者への寄生者、捕食者への寄生者(まだ紹介していない)もあり、その他訳の分からない物も居ます。余り綺麗な世界ではありませんが、興味は尽きません。ただ、文献、Internetでの情報量が非常に少ないので困ります。 (2007年12月20日 09時35分03秒) │<< 前へ │次へ >> │一覧 │コメントを書く │ 一番上に戻る │ |