カテゴリ:銀輪万葉
午後4時過ぎ雨も上がったので、自転車を組み立てて出発。旧戸倉町役場の前には万葉歌碑が並んでいる。一つだけ紹介して置く。 (萩の花 咲きたる野辺に ひぐらしの 鳴くなるなへに 秋の風吹く <巻10-2231>) 大正橋を渡り千曲川左岸の自転車道へ出て、万葉橋へ。上山田温泉の入口に当たる。 万葉橋西詰北側の堤に3400番の歌碑があり、南側は小さな万葉公園になっていて歌碑が沢山建てられている。 (信濃なる ちくまの川の さゝれしも きみしふみては 玉とひろはむ <巻14-3400>) (犬養万葉歌碑・中麻奈に 浮き居る舟の 漕ぎ出なば 逢ふこと難し 今日にしあらずは <巻14-3401>・後方に見える橋が万葉橋である。) ここでまたしても雷雨。しばしあづま屋で雨宿り。 小降りになったので雨衣を着て出発。 佐久屋旅館の玄関先にあるという3400番歌の犬養歌碑はパスして、自転車道を川上へと急ぐことに。 やがて雨も上がり、涼しい風も吹き始め自転車は快調に風を切って走る。 (千曲川自転車道) (合歓の木がいっぱいに花を付けていました。こんなに見事に咲いているのは初めてみました。) 快調な走りなるも、岩鼻の手前で工事中通行止め。道路がフェンスで閉鎖されている。 どうしたものかと思案していると、オートバイの青年がやって来た。、道を尋ねると、引き返して橋を渡り、反対側を行くか、峠越えの林道を行くかだと云う。 引き返すのは性に合わないので、山道を選択。林道の入口の道祖神に挨拶して、ヒグラシの時雨と鳴く薄暗き林道を登って行くことに。 目の前の山を大きく迂回しての高みの道を走る。行き合う人の誰とてもなき夕暮れの山道というのは、やはり何やら不安な気分である。昔、万葉人が「滝もとどろに鳴く」蝉の声を耳にして、家郷の大和、都のことを偲んだことなどを思い出す。 犬養孝先生はこの万葉歌に出て来る蝉はミンミンゼミだと解釈されていたという話を聞いたことがあるが(これは小生の記憶が定かではないので違った話をそう理解している気もするから、話半分ということにして置いて下さい。)、やっぱり奥山に鳴く蝉はヒグラシが相応しいし、ヒグラシの声はそういう気分にさせるものがあるように思われるのだが・・。 夕暮れて 人も無き道 ひぐらしの 声の時雨や 白き花咲く 程無く、昨日の千曲公園への道に出たので、ひと安心。左折して急坂を下ってゆくと千曲川左岸の道に出た。 この先は昨日走った道だから、それを辿るだけ、と思ったその時に「上田駅前」行きの表示のあるバスが停車しているのが目に入る。近付いて運転手さんに何時に発車だと訊くと「3分後」だという。 もう暗くなりかかっているのでバスに乗ることにする。運転手さんは「客も乗って来ないから、そのまま乗れ」と言う。折りたたまずに自転車の姿のまま持ち込み乗車。 確かに駅までの間に乗って来たのは若者一人だけであった。上田駅前に着いたらもう暗くなっていて、空腹。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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