|
テーマ:ニュース(99469)
カテゴリ:事件・犯罪
元次官夫婦殺害事件の動機なるものは「犬のあだ討ち」といった不可解きわまるものだが、それはたまたま犯人が言葉にした動機がそれだったというだけのことではないか。
たぶん事件の背景は別にある。 大学中退、退職、定職なし、孤立状態といった犯人の境遇を知れば知るほど、この事件は政治テロというよりも、アキバの通り魔や個室ビデオ放火と同質の事件なのではないかという気がしてくる。 出口の見えない人生の蟻地獄に落ちた男が、人生を捨てて起こした犯罪。 最後の最後にニュースの主役となることで、社会から無視されてきた自分の存在証明をするための犯罪。 本当は「犬のあだ討ち」はどうでもよかったのではないのだろうか。 対象も次官夫婦でなくたってよかったのではないか。 この事件の不気味さは、こんなのは最初の波動で、これからもっともっとこの手の事件が社会に頻発するのではないかと思わせるところにある。 定職なし、社会とのつながりなし、希望なし…こうした人間を増やしてきたのが同姓のコイズミによる「構造改革」である。 特にそのコイズミ改革の被害を受けた年代層だってあと数年すれば彼と同じような状態になる。 今はまだ若く、将来も深刻に考えていないかもしれない。 親の庇護を受けたり、親の家に同居しているかもしれない。 健康で病気など考えたこともないかもしれない。 しかし、若さ、親、健康、そうしたものがいつまでもあるわけない。 彼らが親との死別などを契機に街にでてきたときに、本当の問題が起きてくることだろう。 ネットカフェ難民など若者の貧困が問題視されているが、実はこの世代の貧困はもっと深刻なのではないかと思う。親に事実上扶養されていて、貧困層としては表にでてこない「貧困予備軍」というのがかなりいると思うからである。 ところで、元次官夫婦殺害事件の犯人は子供時代は「明るく伸びやかな性格」であり、大学時代もさして問題のあるようでもなかったという。 そうだとしたら、何年もの定職のない社会から孤絶した生活が彼の性格に影響を与えていったのであろう。 現在進行形で彼のような人間が量産されているのが今という時代である。 ※ この間、近所で政治家の街頭演説があった。 雨にもかかわらず大勢の人が群がり耳を傾けていた様子が印象的だった。 格差や貧困の問題を放置しておいけば、いずれは社会も国家も立ち行かなくなる。 こんな問題意識が広く共有されはじめたのではないか。 世の中の潮目は変わり始めている。 希望的観測かもしれないけど、そう思いたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[事件・犯罪] カテゴリの最新記事
企業組織を使った詐取などのニュースを聞くたびに、どんどんエスカレートしていっている気がしてならないのに、その陰で、中高年の無職、多くの借金といった経済問題ばかりが量産されてしまうのは嘆かわしいかぎりです。
逃げるつもりはないと自首した男にとって、厚労省の元役人を狙ったのは、年金問題への不満がくすぶっていたことに対する、出口のない絶望そのものであり、多くの人をかえって不安と恐怖に突き落とすだけのものでした。 仕事、あるいは、結婚のことは誰しも問題があったら考えるのは当たり前です。しかし、こういう尊い命まで犠牲にして解決すること自体、不幸そのものでしかないのであり、社会全体を震撼させるこの種の殺人は早くなくなってほしい。本当にそう思います。 それと同時に、社会は冷たいものであり、自分さえ良ければ、という風潮ばかり目立つようになってしまったという政治の責任があります。要は、肝心の大人が哲学をもって、経済問題など取るに足らない、枝葉の問題だ、というぐらいに扱ったほうがまだ救いだというべきことだろうと思います。 (2008年11月27日 17時59分24秒)
布亀さん
昔も貧困層はいたけれども、家族もなく周囲とのつながりもない貧困層がこれほど量産されていった時代というのはかってなかったように思います。 今回はたまたま次官夫婦だっただけで、幸福そうに暮らしている人なら誰でもよかったのかもしれません。 (2008年11月28日 05時43分50秒)
>大学時代もさして問題のあるようでもなかったという
問題は大いにありましたよ。 8年間在籍して追い出されたのです。 私はこの間の交友関係、もしくは人間関係が破綻を来たした結果だったと思います。 つまり孤独に陥ったのでは、と・・・ 人間にはこの孤独程、怖い体験は無いのです。 その時の取り合えず自分が身を置く人間社会に、自分の居場所をちゃんと確保出来ないからこそ、絶望的に転がって行ったのです。 丁度群れを追われた動物には死が待っているのと同じ様に、人間には精神的な死が待っているのです。 この時の彼の心情に「格差社会」とか「フリーターの悲哀」とか在ったでしょうか? 在りはしません。 ただ人間社会に適応出来なくなったその時点から、「明日」への希望が無くなって行っただけです。 現代の人間にはこんな精神的にやわな人が実に多い! それが或いは引き篭もりになり、或いは犯罪者になり・・・ 「蟹工船」だけを営々と唱えていては、根本的に間違っています。 勿論この蟹工船問題も在るにはありますが。 (2008年12月03日 14時44分13秒)
風2534さん
そういう可能性もありますね。 急変の鍵は大学時代にあるのかもしれません。 大学もたぶん第一志望だっただろうし、決して不本意な入学ではなかったはずですが。 (2008年12月04日 06時15分28秒) |