ただいま「怪人フーマンチュー」を読んでいる。黄色人種運動を先導する悪しき天才フーマンチューと「全白色人種」のために戦う英国政府高等弁務官の対決を描いた小説なのだが、捧腹絶倒でばかばかしい。しかし、なぜこれで笑えるかというと、黄禍論そのものを荒唐無稽と思っているからで、真面目に黄禍そのものを憂えるのであれば、もっと別の読み方もあるだろう。この小説が発表された1913年には、本気で黄禍を憂える人々がいたのだろう。その後もこれはシリーズ化され、映画化も何度かされており、一番最近の映画化は1980年だという。ただ、最近ではハリウッドも人種差別には神経質になっているので、今度映画化されるときはフーマンチューは白人で、対決する善玉ヒーローは東洋人になっているかもしれない。
さて、この間、ニュースサイトをみていたら、ロシアではかなりの人がコロナを生物兵器と信じているという記事があった。調査がないだけで、ロシア以外でも、コロナ生物兵器説を信じている人はいるだろう。そしてそのコロナで欧米は大きな被害を被り、いちはやくコロナ禍を克服した中国はますます発展している。お行儀のよいインテリはそんなことは考えないだろうけど、大衆レベルでは21世紀の黄禍論といったものが出てきているのかもしれない。最近、アジア系に対するヘイトクライムが頻発しているという報道もあり、そうなると笑い事ではない。
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