カテゴリ:食物アレルギー情報
最近、お米に対するアレルギーをもつお子さんが増えています。日本人の本来の主食であるお米に、なぜアレルギーが増えているのかを考えてみました。
1.現代の食生活の変化? 食生活が欧米化することにより、今まであまり食べなかったもの(油脂類、糖分の多いもの、肉類、乳製品など)をたくさん体内に入れるようになりました。そのため、腸内環境の細菌バランスが変化し、善玉菌とされる乳酸菌などが少なくなり、 カンジダ菌などの悪玉菌が増えていることが考えられます。カンジダ菌は米などの穀類を栄養源としており、米アレルギーを悪化させるイーストコネクションの原因となっています。このカンジダ菌に関しては、これまでの日記内に書いているので、参考にしていただけたらなと思います。 秋&カンジダ(カビ) カンジダ(カビ)対策 No.1 カンジダ(カビ)対策 No.2 離乳期からの対策:食物アレルギーとカンジダ(カビ) 2.供給安定と旨みを求めた結果? 米をはじめ、多くの穀類や野菜類などは、市場供給への安定性および農家の生活の安定性を保障するために品種改良を行い、病気や悪天候になるべく強い品種を求めて改良を重ねてきました。もちろん、品種改良には、味の旨みの追求が目的であったことはいうまでもありません。その品種改良により、本来食べていた米タンパクの組成とは異なるものができ、酵素の機能が新しいタンパクにあわなくなり、消化能力が劣るようになった可能性が考えられます。これが北海道の某先生を中心とした研究グループが、米アレルギーにはゆきひかりが良いと報告している背景ではないかと思います。 現代の米の主流はコシヒカリを親とした品種です。コシヒカリを先祖にもたない、つまり、それより上位の品種もしくは酒米やササニシキなどのように別系統の品種だと、米アレルギーの発症が抑えられている場合が多いそうです。これは、コシヒカリ系統は餅米のねばねばの特徴であるアミロペクチンの含有量が多くなっているそうで(餅米は100%アミロペクチン)、ゆきひかり、酒米などはアミロペクチンの含有量が低く、パサパサしている傾向が高く、アミロースの含有量が多いそうです。 でも、この品種による症状改善はすべての方に効果があるわけではなく、個人差が大きいものです。それは糖質に対して体質があわない場合や、やはり、最初に書いたように、タンパクそのものがアレルゲンとなっていることが多いからです。日本人は米を主食としている分、タンパクの約20%は米から摂取していると考えられています。そのタンパクが本来の日本人の体質にあわなくなってきているので(品種改良の結果)、未消化のタンパクとして、吸収される比率が増えているのかなと考えています。 これは、前回の日記で書いた大豆・小麦アレルギーが増えた要因と関連していることではないかなと思います。 3.多食が原因? 食物アレルギーの原因は、祖先が特定のものを多食していたことによリ発症することも考えられています。祖先といっても、遠い祖先というよりは近くの祖先が大きな影響を及ぼしていることが少なくないようです。特に、食物アレルギーのある子どもからみた親世代(私たちの世代)、祖父母の世代(私たちの父母世代)です。 聞いた話によると(まだ仮説的な部分もありますが)、本来のアレルゲンの場合は、からだを鋭く突いてくるような強い症状が出て、親もしくは祖父母世代の多食が原因の場合は、周囲から包まれるようなじわじわとした症状が出るようです。この場合、多食したことによってアレルゲンとなったものを、親子2(~3)代にわたって中和するような形となり、子世代に発症することが多いそうです。 日本人は弥生時代頃(最近、それ以前という説も出ていますが)から稲作が行われており、米を先祖代々食べてきた農耕民族のように考えられています。しかし、どうも庶民一般が米を主食としてたくさん食べられるようになったのは戦後の話のようで、それまでは芋類、稗や粟などの雑穀などが主食であったように思います。 もちろん、上流階級の人は米をずっと食べていたかもしれませんが… そのため、本当に米をたくさん食べているのは、私たちの父母世代(私のように少し歳をとると、親世代が終戦少し前の生まれだったりしますが、若いママ・パパ達の父母世代)からではないかと思います。そして、私たち世代。もちろん、時代とともに、米の消費量が減っているようですが、多食から考えると、こういう理由も考えられるのかな?と思ったりします。さらに、2.で書いたように、昔からの品種ではなく、品種改良をしたものをたくさん口にしてきたのですから… ただ、米の消費が減り、パン食やコンビニ食がメインとなり、味覚的に変調をきたしている人が多いとされる世代が親になる頃は、また新たなアレルギーなどの問題が子世代に起きるかもしれませんが… 4.農薬の問題 最後は、前回の日記で書いた大豆・小麦アレルギーが増えた要因と同様に農薬の問題です。 米の外側部分に残った残留農薬のため(その観点では、玄米が危険)、アレルギー症状が出ている場合も少なくないようです。米アレルギーでとても悩まれた方が減農薬米にすることにより症状が改善したことから、さらに無農薬米にすると、まったく症状が出なくなり、無農薬であれば、胚芽米であろうが、玄米であろうが、平気で食べられるようになったという話もあります。そのため、米アレルギーで悩まれている方の中には、本来の米タンパクに対する反応ではなく、こういう農薬などの化学物質に対する反応の場合もありうるということを念頭においてほしいなと思います。 以上が、米アレルギーが増えてきた理由だと考えていますが、主食であるため、本当頭の痛い悩みです。そのため、米アレルギー予防をするためには、離乳初期の進め方でも書きましたが、重湯の開始を焦らず、8~10ヶ月頃で充分で、すでにアレルゲンと判明しているのであれば、1歳頃以降の開始にすると、早めの除去解除になる傾向が高いという話も聞いています。あとは家計の問題がありますが、なるべく無農薬または低農薬の米を選ぶことです。特に、授乳中のママは米を子どもと一緒に除去することは、とても辛いことです。そのため、低アレルゲン米を食べることになりますが、上記に注意をし、米の摂取量を減らし、野菜や芋類をたくさんとることで、空腹感を満たすなどが良いのかなと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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