カテゴリ:🔴 【ニュース・時事・政治・経済・社会】
日本の新聞記事は主観的・情緒的であるところが特徴的だと思う。
海外の新聞、特に英国の高級紙は客観的な記事が多いし、意見・論調は署名つきのものが多く、その人の責任において主義主張を示す。 日本の新聞のみならず、夜のいわゆるテレビ・ニュース・ショー、例えばテレビ朝日のニュースステーションなど、事実の報道と分析はそれなりにあるのだが、ニュースのアナウンスが終わった直後にメインキャスターとアシスタント・アナウンサー達が、そのニュースをめぐって個人的に感想を述べあう。 厳しすぎるといわれるかも知れないが、私はニュースを読むためだけに雇用されているアナウンサーが、ニュースを扱う番組で軽々しくコメントするなよ、と言いたい。 新入社員に毛が生えた程度で、政治問題などをコメントするほどの教養と経験はまだ持っていない若いアナウンサーが、気軽に軽率に個人的な感想をのべるということは反則行為だな~と思う。 若い人の意見を聞くという別の番組であれば別だが。 政治をさかなのつまにお笑いを展開するヴァラエティー番組とは話が違うのだ。 ニュース番組の中でのニュースは真実を伝えているとなんとなく信じている人も多い中で、そのコメントが大きな影響を与えるのだから。 アナウンサーが「庶民」の声を代表しているわけでもないんだから。 ーーーー ◇ ーーーー 英米のニュース番組ではキャスターは原則として個人的なコメントをしない。 事実を淡々と伝える。 コメントするコメンテイターは別にいる。 ゲスト・コメンテイターの場合も多い。 機能・能力・役割を明確に分けて、情報を発信しているのだ。 ―――― ◇ ―――― その点、ニュースステーションの久米宏氏は自分の政治的スタンスをちゅうちょ無くニュース報道の中に織り込む。 ニュースを読んだ後に、すぐ姿勢を変えてこんどは自分自身の意見を述べる。 ニュース情報の発信と彼個人の意見の発信の両方を同時に行っている。 まあ、彼個人だけの責任ではなくてこのニュースショーという日本独特の番組そのものが、ニュース報道とニュースに対する意見番組の両方を兼ねているような混合的性格なのだ。 その結果、どこまでがニュースでどこからがキャスターの個人的意見なのか? 観ているうちにその境界を意識しなくなって、結果的にキャスターの政治的意見にニュースが上塗り・色づけされることになる。 久米氏はもっと独特の名人芸を持っている。 ニュースを読み終わった後、そのニュースが自分の気に入らない内容であった場合は、手の持ったボールペンをあたかも不潔なものであるかのようポイと投げ捨てて、すねたように横を向く表情をしてみせるのだ。 これで視聴者は久米氏が今のニュースの内容に対して不満であり、このジェスチャーが抗議の意味を持っていることがハッキリわかって、久米氏の考え方に、多かれ少なかれ誘導されるのである。 最近日本テレビが無意識の人間にある意識を誘導するサブミナル効果のある違法画像を流して問題になったが、久米氏などはとっくにこれを愛用しているわけである。 頭のいい男である。 ―――― ◇ ―――― 筑紫哲也氏もリベラルな意見を持つキャスターとして著名だ。 著名すぎて後継のキャスターが見つからない。 複数の週刊誌情報(週刊文春と週刊新潮だったと思う)によれば、番組内での彼のコメントは番組のスタッフが原稿書きをするのだという。 本当なら、養老孟司氏の「バカの壁」が新潮社の編集者がゴーストライターになって書いたという、業界のもっぱらの噂と同様の状況なのである。 (この日記を書いた後、東京犬さんからBBSに投稿があり「ゴーストライターが書いたという事実を養老氏自身が公言している」との情報をいただいた。おどろいた。) 関西ローカルではあるが「やしきたかじん」という歌手が持つ芸能界内幕暴露番組がある。 やしきたかじんは歌手が本職ではあるが、ジャーナリスティックな感覚を持っていて、関西ではなかなかの活躍を見せている。 その番組の中で、いろんなタレントが「東京キー局ではしゃべれないたぐいの暴露話」を披露する。 大阪ローカルでしゃべっても東京には届かないだろうという計算である。 筑紫氏もこの暴露話の犠牲になっていて、それによると彼はよく番組が始まる直前まで飲んでいることが多いという。 「もうそろそろ時間ですが、先生大丈夫ですか?」と聞かれても、筑紫氏は「大丈夫」と鷹揚に答え飲み続ける。 真偽の程はわからないが、そういえばときどき彼の頬がバラ色に輝いている時がある。 番組の中での筑紫氏は実に好々爺で、両側の男女のアシスタントによく面倒を見てもらって、果てはコメントの出し方まで水を向けてもらって、ニコニコとしている。 暴露番組でも言われていたが、人柄はいい人らしいから、久米氏とちがってあまり反感は感じないのだが。 筑紫氏はニュースの中だけでなく、ニュースが一息ついた後には彼の特別の「多事争論」というコメント・コーナーに移動して、今度はコメンテイターに早変わりして(市川猿之助か?)、彼の意見を述べるのである。 コメントをしていけないと言うことはないが、事実をそのまま発信する報道と、彼の個人としての主義主張という、本来は峻別されるべき性格のものが、同じ番組に二軒長屋のように存在していると言うことは日本独特ではないか? ニュースと意見番組がごった煮なのである。 ―――― ◇ ―――― VAN1977さんの「多事想論」VAN日記(2月17日付け)でVANさんがこう書いている。 ―――― ◇ ―――― そんな勇ましい朝日や毎日、プレイボーイに予想通りの「吉野家」ネタ。朝日は「吉野家の牛丼レシピ」、プレイボーイはポスト牛丼を決める「D-1グランプリ」(DはドンブリのD)を開催してました(笑)。やっぱり、日本は「平和ボケ」の国です(悲)。 ―――― ◇ ―――― 政治への関心が強いVANさんとしてはイラク派兵問題をなおざりにして、牛丼がトップになるという点を嘆いているのだが、私にすればこんなのはまだいい方ではないかと思う。 週刊現代や週刊ポストといういちおう、インテリというか、サラリーマンが読む雑誌など竜頭蛇尾という構造的特徴がある。 巻頭記事で政治外交問題を強気な大上段に振りかぶった記事で断罪しながら、ページ・記事が雑誌の中心部に進むに連れて急激に内容がやわらかくなる。 間もなく女性の裸が満載の時代劇の劇画になる。 毎回、というのは毎週だが、毎回、ある少年が様々な女性と性体験をかさねるエピソードがくわしい性描写を伴って展開する。 相手は同級生の女生徒に始まって、その母親、学校の先生、人妻、とにかくカサノヴァ並の性豪ぶりを発揮する。 その他には若い女性の性経験の告白など。 人妻の奔放な冒険の実態ルポとか。 雑誌の中心部で、巻頭記事の格調とは大違いのセックス大安売りである。 巻頭記事がビジネス街の高層ビルなら、こちらは大都会の片隅の小便臭い裏通りの軒並みの風俗店やラブホテル街を思わせる部分だ。 しばらくしてまた知性と教養の通りに出ることになって、新作映画の紹介、新刊書の紹介などと続く。 しかしいよいよ雑誌の最終部分になるとすごくなる。 まるでストリップ小屋に飛び込んだようになる。 「有名大学の女子学生のヘア・ヌード」&「人気AV嬢たちのヘア・ヌード」などなどが色彩豊かな大判の写真になる。 これが平均的サラリーマンが愛読する週刊誌の構造的現実である。 夕刊紙の、夕刊フジ・日刊現代なども、似たようなものだ。 ―――― ◇ ―――― 私はポルノ劇画などには正直全く興味もないが、その他の記事に興味が全く無いかというと少しはある。 おもわず「参考のために」むさぼるように読む時もある。 しかしこのごった煮状態は極端ではないか? ーーーー ◇ ーーーー 日本人は総体的に教育程度が高いが能力的には特に突出した層は無い。 箸にも棒にもかからない脳細胞の働きが不自由な人が比較的少ない。 (ポリティカル・コレクトネスに気をつけなければ) そのかわり飛び抜けた能力の人間も少ないと言える。 出る釘は打たれる社会で、ちょっと自分の能力を誇示すると集団が抑えにかかる。 けんそんと卑下が世渡りに欠かせない。 こういう社会では良かれ悪しかれ大物は出にくくなる。 ーーーー ◇ ーーーー 一方、欧州などは階級社会の影がまだ濃いから、教育のバラツキが大きくて文盲の人などざらである。 満足なスペルの手紙を書ける人が少ない。 その一方、上流階級やインテリ階級の知的レベルは高い。 この階級格差はメディアにも反映している。 テレビにこそ上流階級用というチャネルがあるわけではないが、新聞雑誌にはハッキリある。 英国などザ・タイムズ、デイリー・テレグラフ、ガーディアン、ジ・インディペンデンスなどの高級紙は格調高い。 英国の日経ともいうフィナンシャル・タイムズ(FT)もある。 FTはピンク色の紙面で「ピンク・ペイパー」と呼ばれる。 こう呼ぶのは労働者階級で憎しみを込めてこう呼ぶ。 階級間の憎しみはすごいのだ。 FTを読むのはシティーと呼ばれるロンドンの金融街の人間で英国の中核をなしている。 私もロンドンの空港の税関でこれを持っていたばかりに税関吏に極度に理不尽な扱いを受けたことがある。 階級的憎悪に人種偏見が加わるとひどいことになる。 特に私のような黄色い猿がFTなど読んでいて、上流英語を真似たような発音をすると狙われる。 「英国ではすべてよし」というようなことを書く英国経験者たちが楽天にいるが、私はそんなに「楽天的」には成れない。 それに各紙の政治的スタンスはハッキリあるのだが、それでも事実の報道と社としての意見の表明は、最初に述べたように署名つきの論説などで示される。 これらの新聞は上流・中流、特にインテリ階層が読者である。 一方、労働者階級・下層階級はそもそも新聞はあまり読まない。 宅配もない。 しかし読むとしたら、労働者階級向けのタブロイド紙というちょっと紙面の小さな、くだけた記事が多い新聞を読む。 デイリー・ミラー、サン、デイリー・メイル、デイリー・スターとかいう新聞がこれに当たる。 これらはだいたい夕刊紙で、あまり難しい記事は載せない。 駅売りや街頭売りが多いから、もっぱらセンセーショナルな見出しで、スキャンダル記事が売り物。 中でも労働者の敵、英国皇室のスキャンダルが得意。 第三面におきまりとして若い女性のヌード写真が掲載されていて,確か page three girl と呼ばれている。 インテリの英国人と言えど、ポルノ雑誌は読む。 変態で著名な英国人だからポルノぐらいではすまないで、同性愛・SMなど高等分野も守備範囲に入る。 ただし、その階級のシンボルである新聞にすべてを求めはしない。 ロンドンならソーホーあたりの怪しい店にそっと入って買い求める。 ―――― ◇ ―――― 日本では国民のほとんどすべてが自分は中流階級だと認識しているようだ。 収入面で中流かどうかはさておき、とりあえずは中流・・・というところではないか? 私も収入面では下層階級だが、いちおう普通の教育を受けているばかりに、中流だと思いこもうと努力中である。 教育面でもほぼ平均化されている。 バラツキがない。 だから、これは私の個人的推測なのだが、週刊誌・夕刊紙なども階級差無し、「高級紙」と「タブロイド紙」とのごった煮なのではないだろうか? 明治維新の元勲だって足軽の身分から社会の頂点まで駆け上がった。 階級分化が意味のない日本だから、大学教授でも、一流企業幹部でも、人目をしのんでポルノだけを売っている裏通りの怪しい店におそるおそる入る必要はないのだ。 電車の中で一流週刊誌の巻末をそっと開けば、一流お嬢様女子大の美人女子学生がヘア・ヌードを堂々と見せてくれるのだから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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