テーマ:人生について(170)
カテゴリ:J【日本】での想い出
私のネット旧友、朱鷺子さんが楽天に登場して、興味深い昔話を毎日展開している。
【聞かせてあげる、私のお話200話だけ】 私は、ここ楽天でブログを始める前に、ある映画BBSに投稿していた時期があり、その時の【先輩】である。 先輩という意味は、つまり私が参加したときには、すでにそのBBSに棲みついていた古手(オリジナル会員)だったのである。 私は、映画知識がそれほどあるわけではない。 だから、書く内容も、昔話や社会的な話題、それに海外話題などでお茶をにごしていた。 朱鷺子さんも、失礼ながら、それほど映画知識のかたまりというほどの人ではない(と思う)。 ただ、私も朱鷺子さんもほぼ同年代である。 私の方が若いが、キッパリ。(笑) その年代の人間にとって洋画というのは、趣味娯楽のトップに近いものだった。 私もかなり洋画を見たし、それに、何でも【本からはいる】という私らしく、映画雑誌を愛読していた。 だから、実際に映画館で見たことがない洋画でも、映画雑誌でそのストーリー、出演する俳優、そのシーンや男優・女優の写真などを熟読していたから、その当時、つまり私たちの青春時代の洋画は、ほぼ頭に入っていたのである。 それに、洋画の、特にアメリカ映画の当時の風景は、私の育った環境に近いものだったのだが・・・、これは少し説明しないとわかってもらえないだろう。 私が育った地域には、欧米風の芝生のある洋館が密集した毛色の変わった住宅地があった。 そこは、敗戦後、すぐ進駐軍にそっくり接収(強制的な借り上げ)されて、将校達が家族ごと住みついた。 アメリカ人の将校クラスの人間が住むに適当な住宅など、その当時あまりなかったから、彼等にとっては願ってもない格好の住宅街だったのである。 その住宅地に入ると、まるでアメリカだった。 小さいアメリカ租界と言ってもいいかも知れない。 緑の芝生とプール 白い柵 白ペンキで塗りたくられた住宅 カラフルなオープンカーを運転する金髪の女性 マリリン・モンローのようなショートパンツの奥さん達 空気銃で私たち日本の子どもを狙ってよろこぶアメリカ人の悪ガキ こういうものを、古い50年代のアメリカ映画を観ると、想い出すのである。 ~~~~~~~~ このように昔はもっぱらスマートでバタ臭い洋画ばかり見ていたのだが、このごろは、ちがってきている。 数年前、小津安三郎の映画を観てから、邦画の魅力に目覚めた。 邦画に限らず、昔の映画は、映画としての魅力以外に、タイムマシーンとしての機能があるのである。 映画評論家の川本三郎氏が 【邦画には懐かしい昔の日本の風景があふれている それに女優達の綺麗なこと】 という風なことを書いていたが、まさしくそうなのである。 昔の、ほこりっぽい、舗装されていないだだっ広い道 そこには、きまって水たまりというものがある そこには、たまに自動車が走る そこには、頼りない電信柱が突っ立っていて、電線がダランと張られている いかにも子どもという感じのする素朴な子ども達 まだシャツは白いランニングシャツ まだ和服を着ている婦人達 まだ割烹着を着ているお母さん達 まだソフト帽をかぶっている通勤の男達 まだ浴衣にカンカン帽にステッキにゲタのおじさん 折り目正しい、美しい日本語をしゃべるご婦人 ちょっと威張っておみやげの菓子折をもって帰宅するお父さん あらゆるものがあった駄菓子屋 秋祭りで鎮守の森で買った紙の火薬付きのピストル 家具がほとんど無い、清楚な日本家屋 どの家にもついていた小さな庭 遊んでいると【ご飯だよ~】とお母さん達が子どもを呼ぶ夕焼け その頃には、どこにでも【野原】【広っぱ】というものがあって 決まって、コンクリート製の大きな土管が積み上げられていた 大晦日には、もうすぐ特別な新年が来ると思っていた 大晦日や晦日にはペッタンペッタンと言う餅つきの音がした どの家にも餅つき用の杵と臼があった 大晦日には隠れて正月用の餅をかじった 大晦日には紅白歌合戦を見ながら年越し蕎麦を食べた 【行く年 来る年】が始まると、外に出てまだ鳴っている寺の鐘の音を聞いた 【行く年 来る年】が始まると、早めにおせちの重箱をめくってつまみ食いをした 正月には、赤玉ポートワインとお屠蘇を飲んだ 正月の元旦は、近所もどこも物音ひとつしなかった 二日になると近所の人が年始に来た 女の子は正月には決まって着物に白いウサギの襟巻きをしていた 女の子は正月には決まって着物にコッポリを履いていた 女の子は正月には決まって羽子板で羽根つきをした 男の子は正月には決まって凧を揚げた 家族は正月には決まって百人一首や花札をした 冬は火鉢でお餅を焼いた 農家の軒には渋柿が干してあった 冬にはたき火の臭いがした たき火には必ず焼き芋がしかけられていた 昔は冬風が冷たかった 昔は冬に大雪が降った ~~~~~~~~ 昔のことを想い出すと、懐かしい。 懐かしいと言うことは一種の快感である。 朱鷺子さんのブログも、今のところ【懐かしい日本の私】と言った様相で、昔の記憶をひもときながら、いろんな想い出を書いている。 ただ、ときどき、それが江戸時代の想い出になるので、そんな時はさすがの私でもつきあえない。 (これはウソ) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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