その当時のサイゴンの交通機関を説明しよう。
★ タクシー 戦後一時日本でも走っていたルノーの超小型車。 フォルクスワーゲンのビートルに対抗する国民車だった。 敗戦後のドイツのポルシェ博士が、フランスに設計をさせられたもの。 ★ シクロ 要するに人力車。 シクロとはサイクルのフランス語。 ガリガリに痩せて褐色に日焼けしたヴィエトナム人が座席の後ろに座って漕ぐ。 ★ シクロマイ シクロのバイク版。 バリバリ!という爆音と共に高速で爆走する男性的?な乗り物だ。 ~~~~~~~~~ バーの女性から招待を受けた私は、初経験ながらも勇敢に(自分で自分をほめるのが私の特技)このシクロマイの運ちゃんに彼女からもらったアドレスのメモを見せた。 「わかりやした!旦那!」と(恐らく)彼は答えてシクロマイを走らせた。 このシクロマイからの路傍の風景はなかなかのものだ。 前に遮るものもなく、風を切って突っ走る。 もっとも正面衝突などすれば、即死の危険度最大なのだが。 まもなく米兵相手のバーが数軒並んだ空港近くの地区に着いた。 大音響のジュークボックスと、けばけばしいミラーボール、のきらめく中で彼女は昼間より更に美しかった。 店内の客は全員カーキ色の軍服を着た米兵ばかり。 帯剣し、中には短銃を腰に下げたMP(憲兵)までいる。 グリーンベレー(特殊部隊)もいる。 戦場から、今帰ってきたばかりなのだろう。 私を認めた彼女が私を手招きでカウンターに呼び寄せた。 ~~~ 続く ~~~~~ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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