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FX自動取引が人気 「プロの技」で売買、リスクも
2015/12/12 6:30 IT(情報技術)の発達で外国為替取引が大きく変貌している。経済指標や金融政策を見ながら売買する手法よりも、最近はコンピューターが過去の値動きから最適な売買を選択してくれるシステムトレード(自動取引)が主流になってきた。個人が中心の外国為替証拠金(FX)取引でもシステムトレード人気が高まっている。ただ手軽さが魅力的な半面、コンピューターが想定外の相場の乱高下に対応できずに思わぬ損失を被るケースも出ている。 為替売買の分析手法には、経済情勢を見極める「ファンダメンタルズ分析」と、過去の値動きから先行きを予測する「テクニカル分析」の2種類がある。このうちシステムトレードはテクニカル分析を使う。FX会社が提供する複数のプログラム(戦略)から自分に合ったものを選ぶと、コンピューターが自動で売買してくれる仕組みだ。プロの為替ディーラーが使う戦略を使えるため、初心者でも気軽に高度な取引ができるとして人気を集めている。 システムトレードの魅力は取引が簡単なことだ。スマートフォンなどでFX会社が提供する戦略から自分に合うものを選び、あとはコンピューターに売買を任せる。外為市場は週末を除き、24時間ずっと相場が動き続けているが、眠っている間も自動で売買を続けてくれる。 戦略を選ぶ際に手がかりになるのは過去の実績だ。取引回数や勝率などのデータが参照でき、為替取引の経験が浅くても勝率の高さなどを見て戦略を選べる。為替取引は心理面で売買の判断を誤ることが多いとされるが、感情に左右されず、冷静に取引できる点も支持を得ている。 システムトレードで世界的に人気が高いのはインヴァスト証券などが扱う「ミラートレーダー」だ。為替取引で高い実績を上げている世界中のディーラーが提供する大量の戦略の中から、自分で複数の戦略を選んで取引モデルを組むことができる。 楽天証券などが扱う「メタトレーダー(MT)4」の利用も増えている。こちらは自分でプログラミングをした戦略をモデルに組み込むことができるFX上級者向けの仕組みが人気だ。FX取引だけでなく、値動きが為替相場と連動しやすい株式取引も組み込んだ独自の取引モデルを構築するつわものもいる。 システムトレードは気軽に取引ができる半面、弱点もある。最大の弱みは相場の乱高下やトレンドの変化に迅速に対応できないことだ。例えば12月15~16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では米連邦準備理事会(FRB)が9年ぶりに利上げに踏み切るとの見方が広がっており、相場のトレンドが大きく変わる可能性がある。これまで勝率が高かった戦略も、トレンドの変化で成績が急激に落ち込む可能性を否めない。円相場が一瞬で急反発した8月下旬のチャイナ・ショックのような不慮の出来事に即座に反応できない場合もある。 コンピューター任せの取引は手軽だが、どの戦略を選ぶかの判断が難しい。勝率が高い戦略に人気が集中し、その戦略をヘッジファンドが逆手に取って狙い撃ちするケースもある。「相場は生き物で、組み込んだ戦略の論理通りに動かないケースもあることを理解することが重要だ」(岡三オンライン証券の武部力也投資情報部部長)。システムトレードと自己売買をうまく組み合わせることがリスクを抑えたFX取引のコツと言えそうだ。(佐伯遼) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015.12.27 07:25:55
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