11万8000年以上前の石器発見、デニソワ人か インドネシア
AFPBB News 【AFP=時事】インドネシア・スラウェシ(Sulawesi)島で、11万8000年以上前の石器が発見された。オーストラリアなどの科学者らが13日、英科学誌ネイチャー(Nature)に研究結果を発表した。石器を製作した原始人類の痕跡は見つからなかったが、オーストラリアに最初に到達した人類種と関連がある可能性があるという。 スラウェシ島にある4か所の離れた遺跡から数百個に及ぶ石器時代の石器が発掘されたことにより、この島に最初にやってきた、現在すでに絶滅している人類種に関する長年の議論に拍車がかかる可能性がある。 インドネシア・スラウェシ島で見つかった石器。英科学誌ネイチャー提供(2016年1月13日提供)。(c)AFP=時事/AFPBB News © AFPBB News 提供 インドネシア・スラウェシ島で見つかった石器。英科学誌ネイチャー提供(2016… 同島近くのフロレス(Flores)島で2003年、体の小さいホミニン(ヒト族、類人猿を除く現生種と絶滅種の人類を表す用語)の化石が発見された。「ホビット(Hobbit)」の通称で呼ばれるフロレス原人(学名:ホモ・フロレシエンシス Homo floresiensis)は、年代測定検査の結果、少なくとも100万年以上前にフロレス島に到達したと判明している。 論文主筆者である豪ウロンゴング大学(University of Wollongong)の研究者、ゲリット・ファン・デン・ベルフ(Gerrit van den Bergh)氏は、AFPの取材に対し、現生人類としても知られるホモ・サピエンス (Homo sapiens) が約5万年前にこの地にやってくる以前、原始人類が居住していた島はフロレス島だけではなかったことを、今回の発見は示していると語った。 多くの科学者らが支持する説によると、ホビットは、絶滅したホモ・エレクタス(Homo erectus)の子孫にあたるという。ホモ・エレクタスは「島嶼化(とうしょか)」と呼ばれる過程を経て数百世代にわたって次第に小型化した。島嶼化は、海水位が低い時代に陸を渡って島に移動してきた動物が、海面の上昇によって島に取り残されてしまう現象だ。 ■遺伝子の交換 スラウェシ島の石器を作った人類種が、150万年以上前に近隣のジャワ(Java)島に住んでいたホモ・エレクタスから派生したのかについては、証拠となる化石がなければ知ることはできない。 だが、今回の発見によって、現在のオーストラリアとなる地域に居住した最初の人類と関係している可能性も浮上した。このことについて、ファン・デン・ベルフ氏は「非常に興味深い」と指摘しながら、「オーストラリアへ最初にやってきたグループとその子孫のDNAのごく一部は、デニソワ人(Denisovans)と呼ばれる謎の人類種から受け継がれたものであることが、遺伝学的証拠によって明らかになっている」と付け加えた。 現生人類とネアンデルタール(Neanderthal)人の両方の系統と関連があるデニソワ人は、約60万年前に現生人類から分岐し、約40万年前にネアンデルタール人から分岐したと考えられており、少なくとも4万年前まで生存していた。 その化石は、ロシアのシベリア(Siberia)の洞穴で発掘された数本の歯と小指の骨1個しか見つかってないため、どのような姿をしていたのか、科学者らにもまだ分かっていない。 だが、DNAがオーストラリアの先住民と関連していることは、一部のデニソワ人がアジア大陸の奥深くまで進出していたことを強く示唆している。 ファン・デン・ベルフ氏は「現代のオーストラリア人の祖先とデニソワ人の遺伝子の交換が起きたのは、東南アジアのどこかである可能性が高い」と説明し、「最近、年代が特定されたスラウェシ島の石器を作ったのが、デニソワ人だった可能性は十分にあると言えるだろう」と述べた。 残念なことに、熱帯気候では、DNAは極寒のシベリアほど良好な状態で残らないため、遺伝子的な手掛かりが見つかる可能性は低い。 ただ、今回の石器群を作ったのがホモ・サピエンスでないことは確かだと、論文では指摘された。「ホモ・サピエンスのものにしては、年代が古すぎる」とファン・デン・ベルフ氏はその理由を説明した。 鋭い刃を持つ片刃・両刃の石器は、石灰石のかけらから剥片を削り落として作られたものだという。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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