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―――― 記事 ―――― トランプ大統領はコミー証言で「弾劾」に一歩近づいた ダイヤモンド・オンライン 尾形聡彦 8日行われた米上院でのコミー前FBI長官の「証言」は、トランプ大統領のロシア疑惑捜査への苛立ちと「司法妨害」を疑わせるのに十分な内容だった。捜査はまだ初期段階だが、トランプ政権には大きな打撃となり、大統領弾劾が現実味を帯びてきた。 朝日新聞の尾形聡彦記者がレポートする。 トランプ大統領の言葉を「私は、指示(Direction)だと受け止めた」 日本時間の8日深夜、米上院情報委員会の公聴会で2時間半にわたって証言した米連邦捜査局(FBI)のコミー前長官はこう明言した。フリン・前国家安全保障アドバイザーの件を「やりすごしてくれるように望む」という2月のトランプ氏の言葉を、FBI長官だった自分に対する「指示」だと思ったというコミー氏の話は、生々しく具体的だった。 大統領弾劾の手続きは、議会が担う政治的なプロセスで、与野党の議会構成や世論に左右されるだけに、どちらに転ぶのかはわからない。 ただ、重要なのは、大統領弾劾の対象となる罪があるかどうかだ。 コミー証言は、大統領による「司法妨害」を疑わせるのに十分な内容で、今後のロシア疑惑の捜査の行方に大きな影響を与えるものになったと思う。 浮き彫りになった「司法妨害」ロシア疑惑捜査への苛立ち まず、8日のコミー証言を整理したい。 ▽一連のロシア疑惑で2月13日に辞任に追い込まれたフリン・国家安全保障アドバイザー(National Security Advisor)について、翌14日にコミー氏がトランプ大統領に会った際、トランプ氏が人払いし、2人だけにされた。大統領からフリン氏について、 「この件を、あなたがやり過ごしてくれるように望む(I hope you can let this go)」と頼まれた。 その言葉に動揺し、懸念を深めた。大統領の言葉を「指示」だと受け止めた。 ▽3月30日には大統領からFBIに電話があり、 トランプ氏がロシア疑惑の捜査を、政権を覆う「雲(cloud)」と表現したうえで、 「雲を取り除く(lift the cloud)」にはどうしたらよいか尋ねられた。 会話のなかで大統領から、「トランプ氏本人が捜査対象でない」と公表してほしい、と頼まれた。 ▽4月11日に再び、大統領から電話があり、「大統領は捜査対象にはなっていない」と公表する件はどうなったのかを尋ねられた。それが最後の会話になった。 ▽(大統領から5月9日にFBIの長官職を解任された理由については)私のロシア疑惑の捜査の進め方が、何らかの形でトランプ氏にプレッシャーを与え、彼をいらだたせたのだと思う。それが故に大統領は自分を解任したのと思う。 ――私にはこういった点が、印象に残った。 このうち、特に重いのは、「トランプ大統領が、フリン氏の捜査を打ち切るように示唆した」2月の会話と、「トランプ氏が、『雲を取り除く』という表現で、ロシア疑惑の捜査へのいらだちを表明した」3月の会話、の二つだと思う。 トランプ大統領の弾劾手続きが具体化する場合に、その主要な部分を構成するのではないかと感じさせるのに十分だった。 捜査の進め方への不満が長官解任の理由と受け止め 1点目の「フリン氏の捜査打ち切り」については、5月半ばにニューヨーク・タイムズ紙が報じた内容を追認するものだ。 ただ、コミー前長官本人が米議会という公の場で、証言としてその内容を認めたことは非常に重い。そして、コミー氏は、トランプ氏の言葉を、大統領からの「指示」だと受け止めた、と語っただけに、大統領は「司法妨害」に問われるおそれが出てきている。 また2点目の、トランプ氏から「どうやったら、『雲を取り除けるか』を聞かれた」という3月の会話は、今回初めて明らかになった話だ。 これは、トランプ氏がロシア疑惑の捜査に不満を募らせており、2月の「放免」発言に続いて、ロシア疑惑への不満を重ねて示唆していたことを意味する。 コミー前長官が明かしたこの二つの事実は、トランプ大統領本人が、ロシア疑惑の捜査に直接的に影響力を及ぼそうとしていたことを示したものといえる。 そして、こうした大統領の「要請」にもかかわらず、捜査を続けていたコミー氏は5月9日、トランプ氏から突然解任された。 ホワイトハウスはその直後、解任理由について、ロシア疑惑の捜査とは関係ないことを強弁していたが、トランプ氏は解任の2日後のNBCのインタビューで、解任の際に「ロシア関連の捜査のことを考えた」と明かしてしまっていた。 そして、コミー氏自身も8日の証言で、「自身のロシア疑惑の捜査の進め方が、トランプ氏をいらだたせた」ことが解任の理由だろうと指摘した。 コミー氏の8日の証言を踏まえてこれまでの流れを整理すると、 2017年2月にフリン氏の「放免」をトランプ大統領がコミー氏に要請し、コミー氏は「指示」だと受け止めた ↓ 3月にも、トランプ氏はコミー氏に「(ロシア疑惑の捜査という)雲をどう取り除けるか」「自分が捜査対象になっていないことを公表してほしい」と言った ↓ 4月にも、トランプ氏は「自身が捜査対象になっていないことを公表するよう頼んだ件はどうなったか」とコミー氏に迫った ↓ 5月、それでも捜査を続行していたコミー氏を、トランプ氏が5月9日に解任。その際にロシア疑惑のことを考えていた。コミー氏も「ロシア疑惑の捜査が原因で解任された」と思った。 ――という流れになる。一連の流れとして見ると、トランプ氏がロシア疑惑の捜査を何度も問題にし、影響力を及ぼそうとしていた実態が浮かび上がる。 弾劾の焦点の「大統領の関わり」捜査への妨害疑惑に ロシア疑惑については5月のコミー氏が解任されて以来、日本でも注目が高まっている。 ただ、ホワイトハウスを取材する記者にとっては1月以来、中心的なテーマだった話だ。 私が1月以来、ホワイトハウス詰めの米主要メディアの記者たちと話してきたのは、「ロシア疑惑は大統領弾劾につながりうる。きわめて重大な疑惑だ」ということだった。ただ、旧知の米主要紙記者は「実際の弾劾につながるのかどうかは、ロシア疑惑そのものよりも大統領自身がどう関わってきたかだよね」と語り、記者たちは大統領本人がどうか関わっているのかに特に注目していた。 ロシア疑惑の捜査を、FBIなどは昨年7月から始めていた。トランプ陣営関係者と、ロシア政府関係者が何度も接触していたことがこれまでに明らかになっている。その「接触」が、米大統領選に関与することを意図した共謀なのか、そうではないのかが、今の米国内の捜査の焦点だ。いわば、トランプ大統領の周辺部の人々が、現在の捜査対象とみられている。 そして、中期的には、トランプ氏本人がロシアとの「共謀」にどこまでかかわっているのかに焦点が移っていくと見られていた。トランプ氏は、自分の陣営関係者がロシア側と接触していることを知っていたのか、そしてトランプ氏自身が疑惑にどの程度直接関わっているのか、がだんだんと問われていくと考えられていた。 ところが、トランプが5月9日にコミー氏を解任して以降、「2月にフリン氏の『放免』をコミー氏に要請していた」ことなどが、次々と明らかになった。 焦点は、トランプ氏がロシア疑惑の捜査自体を「妨害した」のではないか、という点に一気に移った。 ホワイトハウスを取材する記者たちが注目していた「大統領の関わり」が、捜査への「妨害」疑惑という形で急拡大したのだ。 議会での訴追可決に向け政治的な攻防強まる 1972~74年のウォーターゲート事件の際のニクソン大統領、1998~99年の不倫疑惑の際のクリントン大統領は、いずれも弾劾対象の罪として「司法妨害」を問われた経緯がある(このとき、ニクソン氏は下院が弾劾手続きを進めていた最中に自ら辞任した。クリントン氏は上院での弾劾裁判で「無罪」になった)。 大統領の弾劾手続きは、 米下院が過半数で弾劾訴追項目を可決し、 それが上院の弾劾裁判で裁かれる という形で進む。そして、上院の3分の2以上の賛成で「有罪」となった場合に、大統領は罷免される。 つまり、政治的なプロセスであり、そのときの与野党の議席の状況や世論に、弾劾の行方は左右されるだけに、どうなるかは見通しづらい。ただ、その前提となるのは、大統領に弾劾対象となりうる罪があるかどうかだ。 8日の公聴会では、共和党と民主党の議員の間の認識の違いも目立った。 フリン氏の件を「やり過ごしてくれることを望む」と言った大統領の言葉について、大統領を支える与党・共和党側は「あいまいな言葉で、命令ではない」という受け止めの質問を多くしていた。 これに対し、野党・民主党側は「司法妨害に当たるのではないか」という姿勢が強かった。コミー証言に対し、トランプ氏の弁護士も8日、大統領はコミー氏に対して「(フリン氏の件を)やりすごしてくれ」などとは言っておらず、捜査をやめるように求めたことも一切ない――と全面否定した。今後、政治的な攻防が強まっていくのは確実だろう。 ただ、 トランプ氏の言葉を「指示」だと受け止め、自身の解任は「ロシア疑惑の捜査についての大統領のいらだちが背景」と語ったコミー前FBI長官の言葉は重い。 弾劾の対象となりうる大統領の「司法妨害罪」を、少なくとも疑わせるのに十分な内容だった。 ちなみに、ロシア疑惑について、 最近、日本では、「ウォーターゲート事件」になぞらえて、 「ロシアゲート」と呼ぶテレビ報道が多いように感じる。 ただ、私の知るホワイトハウス記者で「ロシアゲート」と呼ぶ者はいない。 米メディアでは、「ロシアとの共謀」「ロシアの介入」「ロシアの捜査」と呼ばれることがほとんどだ。私が一度、米主要紙記者に「ロシアゲート」という言い方をしたときに、その記者は「えっ、何それ」という顔をした。 ウォーターゲート事件は、侵入事件の舞台になった「ウォーターゲート・ビル」という建物の名前からきており、米国人記者にとっては、「ゲート」はその固有名詞の一部にしか聞こえないようで全くピンときていないようだった。 米国では、 「トランプ陣営とロシア政府の『共謀(collusion)』の疑い」や、 「ロシアによる大統領選への介入や邪魔(meddling)」といった表現が多い。 「共謀」という強い言い方は、ロシア疑惑を重大な問題としてとらえている米メディアの認識をよりビビッドに表していると、私は感じる。 「共謀」の問題も今後の捜査で真相究明が進むはずだが、コミー証言は疑惑の深さを感じさせるのに十分なものだった。 (朝日新聞記者 尾形聡彦) 1 コーミーへの司法妨害なのか否か? 2 ロシアとの『共謀(collusion)』の有無 3 ロシアによる『介入や邪魔(meddling)』 これ等の解明が待たれるが、長い道のりだろう ― ― ― ― 『WATERGATE事件』の[WATERGATE]とはビルの名前の固有名詞 ポトマック河畔に昔、水門があり その近くの土地が高級地として WATERGATE COMPLEX と呼ばれ その中のビルの一つが WATERGATE BUILDINGで 事件が発生した当時、民主党の本部があった そこに、共和党ニクソン大統領の手先が(笑)盗聴目的で侵入して逮捕され それがニクソンの自任に繋がった WATERGATEは、だから、「水門」という一つの単語であって それを日本では、 「GATE」だけをを切り離して 「GATE=疑惑」みたいに使っている 日本のマスメディア! 反省しろ!(笑) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017.06.09 17:00:46
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