★★★ 記事 サウジアラビアはなぜ西側にとって大事なのか 5つの理由 10/17(水) 12:22配信 サウジアラビアはなぜ西側にとって大事なのか 5つの理由 サウジアラビアの著名ジャーナリスト、ジャマル・カショジ記者が2日、在イスタンブールのサウジアラビア総領事館に入って以来、行方が分からなくなっている。ドナルド・トランプ米大統領は、もしカショジ記者が総領事館内で殺害されていた場合、サウジアラビアに「厳罰」を与えると警告した。 トルコ当局はカショジ記者がサウジアラビアの工作員に殺されたと断定しているが、サウジアラビアは否定している。サウジ当局は、西洋列強のいかなる懲罰的行動にも「より大きい行動で」応えると強く反発した。 だが、実際にはどのような影響があり得るのか。 <関連記事> ・サウジ皇太子、失踪記者の消息知らずと主張 トルコは追加証拠入手と ・サウジ記者「殺害」、アップルウォッチ関連のうわさはあり得るのか ・【解説】サウジ皇太子と米国の蜜月はこれで終わるのか 1. 石油供給と原油価格 石油輸出国機構(OPEC)によると、サウジアラビアは世界の推計総石油埋蔵量の約18%を保有しており、世界最大の石油輸出国となっている。 サウジアラビアはこのため、国際社会における強大な権力と影響力を持つ。 たとえばもし、米国や他の国が制裁を科した場合、サウジアラビア政府は報復として石油生産を削減する可能性がある。この場合、他の石油輸出国が不足分を補ったとしても、国際原油価格は上昇する。 サウジアラビアの国営テレビ局アル・アラビヤのゼネラルマネージャー、トゥルキ・アルダキル氏は14日付社説で、サウジアラビアへの制裁実施は、「全世界を揺るがす経済的大惨事」をもたらす結果になるだろうと述べた。 アルダキル氏は社説に、「もし原油価格が80ドルに達してトランプ大統領を怒らせるとしても、さらに100ドルもしくは200ドル、あるいはさらにその倍になる可能性を排除してはならない」と記した。 原油価格の上昇は、どの程度のものでも、ガソリン代の上昇という形で消費者に影響するだろう。 2. 武器契約 ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、サウジアラビアは2017年、防衛費ランキングで世界第3位だった。 サウジアラビアはこの年、米国と1100億ドルの武器売買契約を締結。契約には、今後10年で最大3500億ドル分の武器を購入する選択権も付帯した。ホワイトハウスはこの取引を、単一取引では米国史上最大と説明した。 サウジアラビアへの武器供給国には他に、英国やフランス、ドイツなどがある。 アルダキル氏は社説で、あらゆる制裁の対抗策として、サウジ政府は軍需取引相手として、西側諸国でなく中国とロシアの割合を増やす可能性があると指摘した。 3. 安全保障とテロリズム 中東における安全保障や過激派やテロとの戦いに、サウジアラビアが重要な役割を担っていると、西洋列強は強調してきた。 たとえば、イエメン紛争における戦争犯罪でサウジアラビア軍が非難されているが、英国とサウジアラビアが緊密な関係を保っている。このことについて、テリーザ・メイ英首相は「サウジアラビアとの関係は、英国民の安全を守るのに役立つ」と主張し弁明している。 イスラム教発祥の地でもあるサウジアラビアは、過激派組織「イスラム国(IS)」に対抗する米国主導の連合に加わっている。また昨年には、他の40のイスラム教国と共に、「イスラム軍事反テロ連合」を設立した。 アルダキル氏は、カショジ記者失踪への報復策が取られた場合、「サウジ政府と米国、西洋諸国の間で、信頼の下に行われてきた情報交換が過去のものになる」との予測を述べた。 4. 地域同盟 サウジアラビアは、イランの影響力に対抗するため、米国と緊密に連携してきた。 イスラム教スンニ派のサウジアラビアとシーア派のイランはここ数十年、中東全土で代理紛争を繰り広げている。 総領事館に入ったまま行方不明に サウジ記者失踪のこれまで シリアでは、バッシャール・アル・アサド大統領の打倒を目指す反体制派がサウジアラビアの支援を受けている。一方のイランはロシアと共にアサド大統領側に立ち、紛争の情勢が決定的に政府側有利となるよう支援してきた。 社説でアルダキル氏は、米国の制裁はサウジアラビアとロシアの関係強化という結果を生み、新たな武器契約が「イランとの接近、もしかすると和解までもを導く」可能性があると警告した。 <関連記事> イランが核兵器作ればサウジアラビアも「すぐそうする」=サウジ皇太子 サウジ有志連合、イエメンの港に進攻を開始 イスラエルとサウジアラビア 表に出てきた両国の結び付き 5. 貿易と投資 アルダキル氏はまた、米国企業がサウジ市場への参加権を「剥奪」される可能性があると指摘した。 米国製品やサービスのサウジアラビアとの取引総額は2017年、460億ドルに上った。米国はサウジアラビアから50億ドルの貿易黒字を得ている。米商務省は米国とサウジアラビアの2国間貿易が、2015年に約16万5000件の雇用創出に寄与したと推計した。 Image caption サウジアラビアの主な製品輸入相手国。中国と米国が合わせて全体の30%近くを占めるが、ドイツやイタリア、フランスなど欧州からの輸入も多い。日本が輸入量4位、韓国も6位に入っている サウジアラビアは8月、内政に「干渉」したとしてカナダとの新規取引を全て凍結した。市民社会と女性の権利を訴える活動家をサウジ当局が拘束したのに対し、カナダ政府がこの活動家の釈放を求めたことが、主権侵害に当たるとサウジ政府は説明する。 サウジアラビアはまた、カナダ産穀物の輸入も中止。さらに、サウジ政府が拠出した奨学金でカナダの大学に留学していたサウジアラビア人学生数千人に帰国を命じると決定した。 (英語記事 Saudi Arabia: Five reasons why Gulf kingdom matters to the West)
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最終更新日
2018.10.18 00:11:22
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