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テーマ:障害児と生きる日常(4430)
カテゴリ:my boys
夢美さんからお礼のオハガキをいただきました。
「私の作文も気に入ってくれたそうでとても嬉しいです」とのこと。 お礼を言わねばならないのはこちらのほうです。 素晴しい作文を読ませていただいてありがとうございます。 長男の周平さんの作文と合わせお読みください。 二つの作文ともに素晴しいです。 中学生の作文「僕と弟」 2006/10/26 平成17年度 人権問題文芸作品「のじぎく文芸賞」随想部門 最優秀賞 「私の兄」 石田 夢美さん 私は「障害者」という言葉が好きではありません。何となく、「社会のじゃまもの」と言われているような気がするからです。本当は、「その人が生きていく上で何か不都合なところがある人」という意味なのだと思うのですが、もしそうだとすると、私のひとつ年上の兄は「障害者」ではありません。兄は自閉症なのですが・・・・ 私の兄は、いつもとても幸せそうです。大きな声で独り言をしゃべり、いきなりゲラゲラ笑い、歌います。小学校に入学した時、兄のいる教室に、たくさんのおもしろそうなおもちゃが並んでいるのを見て、「私もこのクラスがいい」とだだをこねたそうです。学校では、時々友達と一緒に兄を訪ねていきました。でも、兄のことが気になるためではなく、おもちゃで遊びたいからでした。 私は兄をうらやましく思っていました。先生たちやみんなから”ちやほや”され、できてあたりまえと思えることができたからといって、すごくほめられ、掃除当番もないし、給食を残しても叱られない。ちょっとでもいやなことを強制されたらパニックを起こし、それで許してもらえると思っている。私といえば、難しい勉強ができて当然、できなければ居残り、友達とトラブルがあっても我慢しなければいけないし・・・・兄のように自分の好きなことだけやっていればよいという生活がしてみたい、とずっと思っていました。 私は家の事情で二年間、兄や母と離れて住んでいました。この三月に久しぶりに再会した兄は、二年前とほとんど変わっていませんでした。外見がおじさんっぽくなったのと、パニックがおさまったことぐらいで、あとは変わったといえば、独り言の内容だけでした。それなのに、いつのまにか、「兄」という気がまったくしなくなっていました。まるで弟です。兄の方は私を覚えていたようですが、多分、「おねえちゃん」ぐらいに思っているでしょう。自分のことも幼稚園児くらいにしか思ってないかのようです。笑ったり、甘えたり、あいかわらず幸せそうです。でも、私の方の意識が変わっていて、もう今はうらやましいとは思わなくなりました。 私は、前の学校の友達と文通をし、新しい友達もできて、吹奏楽の部活に燃えています。兄の場合は、そういう種類の、今私が楽しいと感じていることができないのです。辛いことに立ち向かい、乗り越えていく必要もないかわりに、達成感も、喜びも、感動もないように思えるのです。そして、多分十年たっても、兄は今のままの意識でいるのでしょう。とりあえず一人で着替えもできるし、ごはんも。食べられるそのうち根気よく練習すれば、いつか洗濯も買い物も、もしかしたら簡単な料理だってできるようになるかもしれません。でも、テレビで漫才を見て笑ったり、ドラマで感動したり、友達とうわさ話をしたり、そんな楽しみは味わいたくても味わえないのです。 つまり、兄の場合は、生きていく上での障害になることはなくても、自分で悩み苦しみ、喜びや幸せを感じることができないという「障害」があるのです。もしかしたら、身体に「障害」のある人の方が、苦しみを乗り越えるという意味で、障害のない人の”二倍も”生きることができるのかもしれません。そういう意味では、兄は人の”半分しか”生きている実感がないのかもしれません。このごろ、そんなことを、兄を見ていて考えてしまいます。 残念ながら、兄は周りの人に迷惑をかけている存在であると言わざるをえません。運動会でも、兄のクラスはいつも勝てません。音楽会でも、子どもだけでなく大人の人も、兄の大きな歌声にクスクス笑っていました。中学校では、音楽室などに移動するときには必ず誰かに手をつないでもらっています。朝礼でも大声で独り言を言うので、周りの人は、とてもいやそうにしているのを目にします。正直言って、私も妹でいるのが嫌になることが、時々あります。兄には悪気が全然なく、むしろ他の誰よりも純粋なのですが、どうしてもはみ出したり、ふみはずしたりしてしまうのです。兄だけの世界や意識があって、それがどんなものなのか、誰にも理解できません。 兄は、もっと他の国や地域に生まれていたら、今ほどはみ出さなかったのかもしれません。でも、それよりも、もっと優しい人ばかりで、兄のことを理解し、受け入れてくれる社会になってくれたなら、兄が本当の意味で「障害者」でなくなるのではないでしょうか。 アラビア ソープ 熟成度がとても高い手作り石鹸です。 アトピー、乾癬、敏感肌、ニキビ肌、老人性の乾燥肌の方にも好評です。 無添加・手作りのパンとクッキーの店 こさり アトピッ子のためのパン等オーダーできます。 進物用の詰め合わせも承ります。 第25回 チャリティー・ジャズ・メッセ 2006 11月12日(日)午後3:00開演/会場:エル・シアター(天満橋のすぐ近く) 障害を持つ人たちと共存するオペラ 11月18日(土)午後5:30開演/会場:吹田市文化会館 メイシアター大ホール お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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