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アルタクセルクセスの王宮址遺跡

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2008年04月14日
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カテゴリ:映画
 映画「モンゴル」を見る。「世界の半分を支配した」モンゴルの覇王チンギス・カンの半生を描いた歴史映画。

 監督はロシア人(セルゲイ・ボドロフ)、主演は日本人(浅野忠信)、出演俳優の多くはモンゴル人や中国人、制作はドイツ、撮影地はカザフスタンや中国(タイトルと違ってモンゴル=外蒙古はないのか?)という多国籍映画である。
 監督のセルゲイ・ボドロフってどんな人かと思ったら、「コーカサスの虜」の監督ぢゃないか。あれはいい映画だった。


 「チンギス・カン」(本名テムジン)というと、何か畏怖というか妙に惹かれるものがあるのは、その故地であるモンゴルは言うに及ばず、「成吉思汗は源義経也」という珍書が生まれた日本でも、かつてモンゴルに蹂躙され「青い目のモンゴル人」といわれるロシア人にも、これまた「Dschinghis khan」という名(迷)曲を生んだドイツでも、特別なものらしい。そういやボンにモンゴル帝国に関する展覧会を見に行ったが、チンギスの息子オゴデイが建設したモンゴル帝国の都カラコルムを発掘調査したのもドイツ隊だった。
 チンギス・カンには世界でもっともたくさん子孫を残した男とか、血塗られた殺戮者といった妙なイメージがつきまとってはいるが。

 さて映画のほうであるが・・・・。最初はわくわくしながら見てたんですよ、ええ。佳作「天空の草原のナンサ」を思わせる(ストーリーはまったく正反対だが)、モンゴル(実際はカザフスタン?)の雄大な風景とか、リアルなモンゴル人の姿とか。なんか去年角川映画で大作のチンギス・カンものの映画があったそうですが、そっちは全然見てないのでなんとも言えないのだが、断然こっちのほうがいいのだろうとは同じ角川の歴史的歴史大駄作「天と地と」を見た僕には想像がついた。
 物語はテムジンの生涯を伝える数少ない記録である「元朝秘史」の物語に概ね沿っている。詳しくは井上靖の「蒼き狼」でも読んでもらえば宜しいでしょう。

(ちなみに「蒼き」というのは誤訳で、「灰色の狼」が正しいみたいですね。トルコの初代大統領ムスタファ・ケマル・アタテュルクもモンゴル・トルコ民族らしく、「灰色の狼」とあだ名されていた)
 ところが、である。なんか中のほうで「なんか長えな」と思えてきた。テムジンの妻ボルテが大活躍してテムジンを救出するくだりなどは「うっそー」とか思えたこともあって、完全に集中力が切れてしまった。いまどき長い映画は普通なので珍しくもないのだが。その後スペクタクルな決戦場面があるのだが、こちらも「ウッソー」というような顛末で勝負がつく。この辺は「元朝秘史」ではなくオリジナルな話であろうか。

 浅野忠信は顔だけ取ると目つきとかが結構モンゴル人っぽくて実にいいですな。ただスタイルが良すぎというか、僕のイメージするチンギス・カンはもっと丸顔でずんぐりむっくりとして頑丈そうな人、そうだな、自身もチンギス・カンを尊敬しているという朝青龍なんかのイメージだろうか。手足がぶっとくて短めのほうが僕のイメージにはあう。
 モンゴル語は分からないが、実に自然にモンゴル語で演技していて(割合口数の少ない役だから出来たともいえるが)、見事だったと思う。あと中井貴一にちょっと似ているジャムカ(テムジンの盟友でありのちにライバルとなる)役の中国人?の俳優も、ケレン味たっぷりの演技でよかったと思う。なんか歴史映画というより香港マフィアとか松竹?のヤクザ映画を見ている気分にはなったけど。
 なんというか、最後はかなり端折った感じだな。「戦いの日は来た・・・・そしてテムジンは勝った」みたいな。好敵手ジャムカのその後の運命が描かれていないのがいかにも惜しい。あと史実ではチンギス・カンの人生にもっとも影響を与えたのは一時期実質的に主君として仕えたトオリル・カン(オン・カン)なのだが、こちらは全く出てこない。
 血がバシャバシャ飛び散る場面もあるが、最近のアメリカ映画よりは「これは作り物だから」と安心して見られた。あとエンディングのロック?音楽がなんとなくロシア・旧共産圏チックで味があった。
 総じて言えば、「エリザベス・ゴールデンエイジ」のときと同じで、「歴史もの好き、風景好き、あるいは浅野忠信好きな人にはお勧め」といえるかもしれない。

・・・・・・・・
 「蒼き狼」にも描かれているけど、モンゴル人の人生ってのも大変そうだな。女や馬を奪い合ったり、腕力(相撲、弓術、チャンバラ)がモノを言ったり、危ないと分かっていても習慣だからと危地に身を晒したり。つくづく僕はこの時代のモンゴルに生まれなくて良かったと思うことしきりである。なんというか女とか羊とか馬とか財物とかをめぐって実に殺伐としている。
 最近の研究ではこうした「中世モンゴル人の好きなモノ」に、貴重な戦略物資だった鉄が加わっていたことが分かってきていて、チンギス・カンの本名「テムジン」が鍛冶屋を意味するテムルチ(トルコ語だとデミルヂDemirci)の転訛というのはなんとなく象徴的ではある。詳しくはこの本が手軽でお勧めです↓


 ベルリン行きの列車の中でモンゴルからの留学生とひとしきり話したことがあるのが僕の少ないモンゴル体験の一つだが、その人はまた10代でドイツに来ていてドイツ語もまだしどろもどろだった。しかしこっちが日本人と知るとしきりと大相撲の話をしてきたものだった。
 モンゴルの故郷では母親が馬だか羊だかを40頭くらい飼っているとのことだったが、仕送りは少ないので(為替レートの問題もあるだろうけど)かなり生活は苦しそうだった。「ベルリンではどこに泊まるんだ?」と聞いてくるので、まさか付いて来る気じゃないだろなと気が気ではなかったので「お金がないから安ホテルに泊まるよ」と言うと、駅ならタダで泊まれるところがある、と教えてくれた。逞しさでは向こうが上だった。
 ドイツ語が覚束ないのでなかなか言いたいことが分からなかったのだが、「モンゴルの女はドイツに来るとお金持ちのドイツ人の彼氏ばかり作るのでシャイセ(糞)だ」とか言っていた。恋人がどこの国の人でもいいじゃないかとは思ったが、「蒼き狼」なんかでは財産扱いされている女性のほうが、実はたくましいのだろうとか思った。今日見た「モンゴル」でもその辺は出てくる。

 モンゴルにはいろいろ憧れはあるのだが、食べ物だけはどうも駄目そうだな。
 あとこの映画で結構印象に残ったのは、未来の嫁を選ぶ幼いテムジン(レッドソックスの松坂大輔みたいな顔)に、父イェスゲイが諭して言う台詞で、「いい妻は塩湖のように平らな顔をしている。いい妻は細い目をしている。目が大きいと悪霊が入ってきて狂ったようになるからだ(ヒステリーのこと??)。いい妻は頑丈な足をしている」というものだった。「所違えば」と言うが、さてどうだろうか。





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最終更新日  2009年05月26日 17時42分09秒
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