テーマ:最近観た映画。(38880)
カテゴリ:台湾映画
』でグランプリを受賞した張作驥(チャン・ツォーチ)、主演は新人の李亦捷(リー・イージェ)。 賑わう海鮮料理屋一家にいる來春(ライチュン)が主人公の物語なんだけど、家族構成がかなり複雑で途中までは今ひとつわかっていませんでした。店の女主人とその婿養子の來春の父、その弟で自閉症の叔父さん阿傑(高盟傑:ガオ・モンジェ)、父の愛人?の來春の母、そして來春と妹、それに祖父が一緒に暮らしています。 來春は高校生くらいの年頃でしょうか、でも学校に行っているそぶりはなく、店の手伝いをするわけでもありません。映画は妊娠中の來春の母が店で産気づき、そのまま出産するところから始まります。 男の子が産まれて病院へ出かけるところでは、着飾った女主人とラフな格好の旦那の対比が皮肉っぽい感じです。子供が産めない体の女主人は、着飾ることで正妻としての立場を見せつけようとしたのかな。 男の子が産まれた父親は、祝い酒で酔っ払ってドラムを叩きながら歌います。その歌は、金門島から婿養子にきたときに繰り返し歌っていた歌でした。 來春には彼氏がいるけれど、どうやら台湾一周するといいながら浮気をしている様子。女子だけで遊んだり、阿傑叔父さんの世話をしたり、何となく日々を過ごしているけど、ある日妊娠していることがわかります。妊娠相手の彼氏とは連絡がつかず、実家にいっても行方はわかりません。最初は戸惑う來春に家族も怒ったりするけれど、妊娠を受け入れてからはお腹が大きくなっていくにつれて來春の表情も穏やかになっていきます。 阿傑は絵を描くのが大好きで、色鉛筆の一色でもなくなれば大騒ぎですが、描いている絵は不思議と柔らかくて芸術的です。鳥も大好きで、絵の題材にもするし、ひよこを買ってもらって育てたりもします。鳥が飛ぶ光景は、來春の家の近くの川べりでも、金門島でも自由で伸びやかな感じで、地上にいる來春や阿傑の憧れのようです。 映画も中盤を過ぎ、來春の体調も落ち着いてきた頃でしょうか、父の故郷の金門島へ、女主人と祖父を除いた家族が揃って里帰りをするのですが、その夜、酒を飲んでいる最中に父が倒れて意識不明の重体になります。 店は臨時休業となり、來春や阿傑、妻2人がそれぞれ父親のことを思っていきます。阿傑は兄の似顔絵を描いてお見舞いにいきます。來春は病室で父親の掌で大きくなったお腹をなでます。女主人と來春の母は、お互いに背中を流しながら思い出話に耽ります。その2人の会話の中で、來春の母が若気の至りで妊娠してしまったこと、女主人が子供を産めない体で、來春の母を子供をあわせて一緒に住むことを決めたことなど、複雑な事情の一端が明らかになります。 しかし女主人の受けた衝撃は想像以上に大きく、水を出しっ放しにして水風呂を浴びたり、濡れた体のまま窓辺に佇んだり、父が元気だった頃に「家の主人は私だ」と言っていた威勢は微塵もありません。却って來春の母のほうが、背中に大きく彫り物が入っていましたが、店のみかじめ料でもめるヤクザの前で拳銃をぶっ放したりして肝っ玉母さんのようです。 妹は郵便配達の彼と付き合い始めた様子で、父親が不在のまま阿傑の絵を壁に貼ったりして店の営業も再開し、母親同様に店の中で來春が産気づきます。。。 張作驥監督の作品ははじめて観ました。最初はバラバラのように見えた家族が、実は深い愛で繋がっていたことがじわじわと浮かび上がってきます。そのきっかけは來春の妊娠であったり、父親が倒れるという不幸だったりするのですが、そうした突発的な事故がきっかけで家族の愛を再認識すること、自分にもありました。自分の父親が肺がんで入院して、一年間の闘病生活を経て亡くなったときは、家族のまとまりというか、絆を感じましたね。 上映後には、監督と出演者3人のティーチインがありました。その様子はこちら。 後からじわじわくる感じの作品でした。 11/26 有楽町朝日ホール 東京フィルメックス 最愛の夏 [DVD] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.12.10 00:17:18
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