アイリッシュ・コーヒーにも使われている
アイリッシュ・ウイスキーの“ジェムソン”を紹介します。
アイルランドのウイスキーは近年、かなり多様化してきました。
ピート香のあるモルトとピート香のないモルト。
色々な穀物を混ぜて蒸留したグレーン。
これらをそのまま製品化したり、お互いをブレンドしたりしています。
1800年代に麦芽にかかる税金が加増されたことで、
一部の蒸留所はモルトしていない大麦、ライ麦、小麦などの穀物の使用量を50%以上に
増やして経費削減を図りました。
これが今日のアイリッシュ・ウイスキーのフレーバーを構成する要素の一つになり、
グレーン・ウイスキーのルーツともなっているのです。
現在、原料の麦芽と大麦の比率は銘柄によって異なりますが、
一般にはモルトされていない大麦の方が多く、
蒸留回数が多いために滑らかな味わいに仕上がり、
ピートが焚かれないために原料の穀物が持つ芳醇な香りが引き出されています。
現在稼動している蒸留所はミドルトン、ブッシュミルズ、クーリー、キルベガンの4ヶ所で、
なかでもミドルトンは近代的設備から多様な銘柄を生んでいます。
そのひとつであるジェムソンは1780年ダブリンで創業。
19世紀末には、モルトと未発芽大麦を3回蒸留し熟成
香味豊かなウイスキーを送り出すことで名声を獲得しました。
その後、ライト志向の流れにあわせ、
1974年グレーン・ウイスキーをブレンドした
“ノース・アメリカン・ブレンド”を開発、
そのソフトな味わいが人気を呼び、その商品が今のジェムソンとなっています。
写真の12年は伝統的な味を生かした酒で
単式蒸留、シェリー樽熟成の原酒を75%使用し奥深い滋味に富んでいます。
創業年の表記はその自信の表れでしょう。