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カテゴリ:アガルタ
「チベットの民話」 フレデリック&オードリー・ハイド=チェンバース編 中島健・訳 1996/6 青土社 原書1995 私はあまり小説を読まない。ましてや長編小説などは、このブログで読んでいくには、ちょっとそぐわないかな、と敬遠しつづけている。ファンタジーであろうと、SFであろうと、歴史やビジネスものであろう、魅力的な小説は次々とでてくるのであるが、どうも読みきれない。これは才能の問題もあるから仕方ないかな、と自分をなぐさめる。 この本は、民話だから「ドルジェのたび」みたいに、カラーの口絵つきで簡単なストーリーであればいいなぁ、と思って読み始めたが、ちょっと甘かった。この本はすでにチベットを離れたチベット叙事詩口伝の伝承者二人から著者達が聞き取って英語で出版されたものをさらに日本語に訳したものである。26の民話が収録されているが、そのストーリーの中にはいっていくのは、私にはなかなか難しい。地名、人名だけではなく、風習や民俗、視点そのものが、旅行者の目ではなく、インサイダーの目で語られているので、なかなかチベットの世界に入っていけないのだ。 いままでチベット本を私は旅行者の目で読んできた。「シャングリラ症候群」あるいは「アガルタ症候群」の一人としてのアウトサイダーの目でしかないのだ。建物の形や食事の内容など外面に気を奪われているうちになにか重要なことを逃し続けているようで、少しづつ悲しくなってきた。もし、民話が、民衆の中で語られ、民衆の中で自らのアイディンティを薫陶するために語られ続けてきているとしたら、私は、アウトサイダーとしてではなく、インサイダーのひとりとしてこの民話を聞いていく必要があるのではないか。 そこですこし、私は一計を案じた。私は16才のチベット少年になることにした。700年前、私はそこにいた。家や食事や風習など、ある意味、特にめずらしくはないだろう。だって、その中で生まれ、その中に暮らし、それ以外知らないのだ。いつまでも、そのことに違和感を抱き続けるはずがない。チベット少年になりきろう。そして、その中で語られた民話を聞いたなら、もっとその意味が分かるのではないだろうか。 チョギャム・トゥルンパの「シャンバラ 勇者の道」は、「リンのゲサルに捧げる」となっている。この言葉を聞いた時には、特に気にもとめていなかったのだが、この民話集の中に「リンのゲサル」があることに気がついた。約300ページの中で60ページを超える部分を占めているので、かなり中心的なお話になっている。聞いてみれば、これは、紀元前から語り継がれてきたチベットの最も長い叙事詩であるという。貴種生誕談で、チベットの救世主のようなお話だ。インドの「マハバーラタ」のようなものであろうか。日本で言ったら、桃太郎と金太郎と浦島太郎と一寸法師を組み合せたようなものかも知れない。 私は、この60ページほどのストーリーをようやく読み終えたが、実は、この叙事詩、チベットで最も愛される最も長い叙事詩であるばかりではなく、世界でも最も長いと言われているらしい。ゲサル、あるいはケサル王の物語はネットでもダイジェストが読める。ユネスコもリストの登録したとか、中国でも北京で「ケサル王伝説、千年記念大会」が開催されたということだから、ただごとではない。「リンのゲサル」は、いまだ数百人の口伝継承者がおり、ひとつひとつ話しを聞けば、数ヶ月はかかるということである。なるほど、その話をわずか60ページにまとめること自体、無理なのだ。 口伝継承といえば、ネィティブ・アメリカンの「一万年の旅路」を思い出した。この本を読んだ時も思ったのだが、これらの膨大な叙事詩を読むには、急ぎ旅のそそくさとした気持ちではなく、ゆっくりとその話の中にとけ込みながら、語られる言葉のスピードで聞いていく必要があるのだろう。 この民話集に触れることによって、私のチベットを見る目が、それこそゲシュタルトを転じるような、逆転現象を感じることになった。 「おんまにぱどめいうん」ともいい、もとはサンスクリット。チベットやモンゴルの仏教徒が常に唱える観世音菩薩のマントラ(真言=神に対する呼び掛け、祈願の呪句)、その意味は「ああ、蓮華の下にある宝珠よ、幸いあれ」。p61
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Last updated
2009.03.31 12:29:52
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