「利休道歌に学ぶ」 裏千家学園公開講座
阿部宗正 2000/11 淡交社 単行本 189p
No.934★★★☆☆
利休道歌とはいうものの、利休が直接作った道歌ではなさそうだ。利休が残した茶の道の教えを、五七五七七の語調を整えるこによって、その道の修行者たちにとってわかりやすく覚えやすくしているということだろう。その道家が約百首ほど紹介されている。
阿部宗正業躰(ぎょうてい)の著書は、お茶のおけいこシリーズを追っかけ中。シリーズは現在進行中で12冊目が刊行されたところだが、こちらの「道歌」のほうは、2000年11月、7年前に刊行されている。ネットで検索したところ、阿部業躰の本は、一般に市販されているものはなさそうだ。それだけに、この一冊の意味は重い。
その道に入らんと思う心こそ
我身ながらの師匠なりけれ p15
まさにどの道にあったとしても、マスターとその弟子の関係は、非常に微妙なアートだと言える。しかし、やはり発心してその道を歩もうとするのは、最大の道しるべであることはまさにそのとおりだと言える。
茶の湯とはただ湯をわかし茶をたてて
のむばかりなる事と知るべし p177
ほぼ最後に登場するこの道家までに至るまで、他のひとつひとつの教えがある。それらのひとつひとつが身についてこそのこの境地であろう。お茶のおけいこシリーズをすこし眺めた上で、こちらの道家を読むと、カラー写真で学んだ画像が湧き上がってきて、すこしは意味がわかる。いや決して難しいことを言っているわけではない。しかし、茶の道において、「わかる」とは、本を読んでわかるということではなく、日々のけいこの繰り返しのなかで体得することを言うのだろう。