テーマ:Jazz(1961)
カテゴリ:ジャズ
モンク最初のソロ演奏盤 セロニアス・モンク(Thelonious Monk)は、“自分色”を出すのことのできる、希有なミュージシャンだったと思う。誰と演奏しようが、気がついたら演奏全体が“彼の色”に染まっている。モンクに指揮者をつけることなどできない、という人もいるが、言いえて妙というか、どう考えても彼自身が“兼指揮者”としか思えない、自由な演奏をしばしば繰り広げる。 こうした影響はきっと多くのジャズメンに知ってか知らぬか強い影響を与えたことだろう。もしかすると、かのマイルス・デイヴィスもその影響を受けた一人なのかもしれない。というのも、セロニアス・モンクの存在感は、演奏している時だけでなく、演奏の手を止めている瞬間にも、なぜか不思議とその存在感が感じられるからである。マイルスがトランペットを吹いていなくても、その存在感を発揮している様というのは、物理的に音が埋まっていない時にもその存在感を発揮しているモンクとだぶって見えるように思えて仕方がない。 本盤『ソロ・オン・ヴォーグ(Solo on Vogue)』は、1954年の録音で、文句にとって初の独演盤である。ジャズに詳しい方はタイトルからもお分かりのように、ヨーロッパ(フランスはパリ)での録音盤である。ちょうどこの頃の彼は、いろんな事情からニューヨークでのキャバレーカードを失い、経済的にも苦しい時期を過ごしていた頃の一枚で、オリジナルで固めたソロ集という、ある種、実験的な作品に仕上がっている。 オリジナル曲が並んでいるせいか、曲名にけっこうややこしい部分がある。3.の「リフレクションズ(Reflections)」は、もともと「Portrait of an Ermite」、以下同様に、4.「ウィ・シー(We See)」は「Maganese」、6.「ハッケンサック(Hackensack)」は「Well You Needn’t, take 2」、7.「エヴィデンス(Evidence)」は「Reflections」といった具合である。ジャズ曲は、通常、歌詞を伴わないため、製作過程で曲名がよく変わったり、全く別のタイトルになったりすることもある。本盤のモンクのオリジナル作も、完成・定着までの途上にありながらの試行錯誤の具合を反映しているということなのかもしれないが、1.の「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」(歌詞がつけられた時のタイトル「ラウンド・ミッドナイト」と呼ばれることもある)をはじめジャズのスタンダードと化したオリジナルも多いというのは、作曲家としての才能も優れていたわけだ。 ところで、そもそもジャズというジャンルで独演が受け入れられるかどうかは、聴き手の考え方次第だろうと思う。筆者自身は、本盤を聴くにつけ、ソロ演奏という形態も、何が起こるかわからないスリリングさを出し得ると、少なくとも本盤を聴く限りにおいてはあり得ると感じる。 なお、本盤は長らく『ソロ・オン・ヴォーグ』のタイトルで親しまれてきたものの、近年は『ソロ1954(Solo 1954)』というタイトルの輸入盤等が増えてきているので、これから外盤を探す方は、このタイトルでもチェックいただきたい。 [収録曲] 1. Round About Midnight 2. Eronel 3 Reflections 4 We See 5 Well, You Needn't 6. Hackensack 7. Evidence 8. Smoke Gets in Your Eyes 9. Off Minor [パーソネル、録音] Thelonious Monk (p) 1954年6月7日録音。 【中古】ソロ・オン・ヴォーグ/セロニアス・モンクCDアルバム/ジャズ/フュージョン 下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013年05月07日 04時50分17秒
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