テーマ:Jazz(1961)
カテゴリ:ジャズ
ミニ・バンド風の四管共演盤 本盤『ストレッチング・アウト(Stretching Out)』は、名義としては、テナー奏者のズート・シムズとトロンボーン奏者のボブ・ブルックマイヤーの双頭盤だが、実態としては、四管がフロントになったオクテット(8人組)での演奏。なかなか豪華メンバーが揃った盤で、女性が横たわった写真のジャケットには、6名の奏者の名前が記されているが、“NAT PIERCE”とあるのは“HANK JONES”の間違いという、何とも言えない適当さ加減だったりする。 この盤の売りは何といっても音の厚みである。上記の人数での演奏だからこそなせる業と言えるだろう。とはいえ、ビッグ・バンドというわけではなく、8人組編成なので、ビッグ・バンドが苦手であってもそう違和感はないかもしれない。ただし、雰囲気そのものは、ビッグ・バンドもどきの“ミニ・バンド”といった感じ(実際、カウント・ベイシー楽団のようなノリが随所に現れる)。演奏そのものは、スウィンギーにノリで聴かせるといった調子がメインだが、トランペット、サックス、トロンボーンがバランスよくソロを聴かせながら、楽しく聴かせてくれる。 フロントの4人のうち、双頭のズート・シムズとボブ・ブルックマイヤーの演奏が特に印象的。ズートは、この人お得意の、思わず体が揺れるスウィンギーな演奏が全体の雰囲気に欠かせない役割を担っている。バルブ・トロンボーンの名手、ブルックマイヤーの方は、この楽器の特性を出しながら、うまく全体に音の厚みを与えている。 もちろん、その他も豪華なメンバーなので、それぞれの活躍を楽しめるのだけれど、聴きどころろとなるポイントは二つあるように思う。一つは、フロント4人のアンサンブル。上記の2人にハリー・エディソン(トランペット)、さらにはズートとの名コンビでも有名なアル・コーン(テナー/バリトン・サックス)が加わった厚みのある音がびしっと決まった瞬間は何とも言えない爽快感がある。その一方で、もう一つ、合間に入るソロフレーズの魅力というのもあるように感じる。今まで聴いているところでは、フレディ・グリーンのギターやエディソンのトランペットにそれが目立つ。 余談かつ体験的な話になってしまうが、本盤はあまり夜に聴かない方がよい。自然と体が動く、というのはよく言われるセリフだが、本盤はなぜか“自然と心躍る”という言い方の方がぴったりくるように思う。そう、心が盛り上がってしまうと容易に寝つけなくなってしまうのでご注意を(笑)。 [収録曲] 1. Stretching Out 2. Now Will You Be Good 3. Pennies from Heaven 4. King Porter Stomp 5. Ain't Misbehavin' 6. Bee Kay [パーソネル、録音] Harry Edison (tp) Zoot Sims (ts) Al Cohn (ts, bs) Bob Brookmeyer (vtb) Freddie Green (g) Hank Jones (p) Eddie Jones (b) Charlie Persip (ds) 1958年12月27日録音。 ストレッチング・アウト/ズート・シムズ[CD]【返品種別A】 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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