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2007年07月01日
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カテゴリ:政治問題
 先ごろ共産党が発表して国民の知るところとなった自衛隊の情報収集活動について、軍事アナリストの小川和久氏は朝日新聞のインタビューに応えて次のように述べている;


 情報保全隊とは、自衛隊内部から何が漏れているかをチェックするだけでなく、どんな相手が「反自衛隊感情」を持っており、隊員と接触して情報を取ろうとしているのかについて、目を光らせている防諜(ぼうちよう)部隊のことだ。今回流出した資料の中身からすると、彼らがきちんと職務を遂行していたことがうかがえる。

 組織が成り立つためには、軍事組織に限らず、企業や政党でも、情報活動や情報を集める機能が必要になる。

 企業であれば、ライバル企業がどんな能力を持ち、どういうアプローチをしかけているか、社員がヘッドハンティングされていないか、常に日を光らせている。

 軍事組織が行う情報活動の範囲は、作戦情報を収集・分析することから脅威に対する防諜まで幅広い。今回の問題は、イラクのことに絞って語られているが、情報保全隊があらゆるものを調べるのは当たり前のことだ。

 ■ ■ □ □

 情報活動は、「武力を使わずに相手に勝つ営み」といえる。「血を流さず戦争を回避するための営み」でもある。我々がきちんと押さえなければいけないのは、自衛隊は国家権力で、しかも軍事組織であるという点。そんな組織がこういった活動を行う際は、逸脱行為がないよう、シビリアンコントロール(文民統制)が貫かれていることが重要だ。

 国家権力が情報活動を行うとなれば、敵も味方もなく、一般の国民を対象にせざるをえない。その際、文民統制の原則を逸脱しないためには、活動で得た情報が自衛隊内外に流出して国民のプライバシーを侵したり、国民を萎縮(いしゅく)させたりしないようにしなくてはならない。その意味で、今回の流出は最悪だった。

 防衛省幹部は「任務でイラクに派遣される隊員や家族の動揺、不安を和らげるために必要だった」と釈明したが、説明の仕方がへただ。

 ほかのテーマでも情報収集をしていたのだから、「軍事組織であればこうした活動や機能が必要になる」と、国民がきちんと納得できるような説明をすればよかった。

 □ ■ ■ □

 もう一ついえるのは、敵・味方の識別について、防衛省や自衛隊の情報組織はいまだに成熟していないということだ。敵にしなくてもいい人々まで「敵」に分類している。

 「反自衛隊」と思われている人たちの中で、「親自衛隊」となりそうな人を洗い出し、こちらに目を向けてもらうことが一番大事なのに、単に白黒をつけるだけでは、何のための情報収集なのか。

 今回の活動には、ぴったり当てはまる防衛省の根拠規定がない点も問題だ。

 情報保全隊に関する訓令では、その任務を「部隊の情報保全業務のための資料や情報の収集」と規定している。しかし、これでは幅が広すぎる。これを機会に、任務を具体的に裏付けるような自衛隊法や様々な規則の整備を行わなければいけない。

 □ □ ■ ■

一方、自衛隊内部の歯止めだけでなく、外部からの歯止めを設けることも必要だ。

 「こう活動しなさい」「こうした組織を作りなさい」と単にルールを作るのではなく、国民の目を盗んでおかしなことをすれば必ず糾弾されるし、もちろん責任者の生首が飛ぶIという緊張関係が自衛隊と国民の間になければならない。それは日本の民主主義の成熟度と関連する。

 その緊張関係を作り出すのが、国民の代表としての国会であり、ジャーナリズム、アカデミズムと言える。そのレベルが低く、今のように自衛隊の管理を防衛省の官僚たちに丸投げしているようでは、きちんとしたコントロールはできない。

 国民の目が届かないところで不正が行われれば、必ず責任を問われるという怖さを、国民の側が国家権力に対して感じさせられなければだめだと思う。

 米軍の強さは、米国民の括発な民主主義のチェックにいつも耐えている構造的な強さでもある。そこは日本も学ぶべきところがあるかもしれない。 (聞き手・谷田邦一)


2007年6月24日 朝日新聞朝刊 12版 4ページ「耕論-きちんと職務遂行した 文民統制の徹底が重要」から引用

 小川氏も認めるとおり、今回明らかになった自衛隊の国民監視、情報収集活動については、自衛隊法に明確な規定が無い。ということは、現時点では違法な活動であったということになる。わが国の民主主義が一定レベルにまで成熟していれば、今頃は防衛相のクビが飛んで当然といえる事態なのだ。ところが、残念なことに、わが国の民主主義教育は不徹底なため、近代立憲主義の意味も理解しないような有権者が大多数で、そういう中から選出された国会議員も民主主義の成熟度の点ではかなり見劣りする。こういう状況では、武装組織は容易に戦前のような軍隊になってしまう危険性が大きい。したがって、わが国は現在の憲法を守って平和を維持していく路線を選択するのがもっとも妥当な道である。








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最終更新日  2007年07月01日 16時26分53秒
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