NHK経営委員会で次期会長を選考する会議が古森委員長の独裁的な運営でものごとが非民主的に決められようとしていることに2人の委員が抗議している事態を、20日の読売新聞は次のように報道している;
NHK経営委員会(委員長=高森重隆・富士フイルムホールディングス社長)の菅原明子、保(たもつ)ゆかりの両委員は19日、NHKの次期会長選考の議事運営が「独断的にすぎる」として、会長候補を選ぶ指名委員会の議事録の作成・公開や民主的な議事運営などを求める申し入れ書を、古森委員長に提出した。会長人事をめぐって、経営委内部の対立が表面化したのは初めて。高森委員長は、25日の経営委で次期会長を決定したい意向だが、両委員の反旗により、混乱は避けられない情勢となった。
両委員が要望したのは、
(1)指名委員会の議論を録音した上で、議事録を作成・公開する
(2)威圧的ともとれる言葉で議論を封殺せず、民主的な議事運営を行う
(3)会長候補について、委員長の推薦する人物を一方的に押しつけず、各委員からの推薦を平等に扱い、投票で決定する
-の3点。両委員は今週内の回答を求め、要望が受け入れられない場合は、委員を辞任する意向を明らかにした。
記者会見で両委員は、古森委員長が13日の指名委員会で「自分がノミネート(推薦)する人物は追って直接紹介する。ただし、そこで否定されると本人のメンツがつぶれるから困る」と発言したとの議事メモを公表し、議事運営が威圧的だと批判。また、その推薦人物を25日午前中に他の委員に紹介し、同日午後、正式決定するという手続きが強引すぎる、と強く反発した。
菅原委員は、NHKのOB起用を主張していたが、難しくなったとして独自に外部から候補者を推薦する意向を示した。今月から委員になった井原理代(みちよ)、大滝精一の両氏は「就任したばかり」だとして、態度を保留している。
これに対し、古森委員長は19日、「(公表された)資料にも多々不正確な、意図的ともとれる誤った記述もみられ、恣意(しい)的で無責任との印象を受けている。指名委員会の議事について、一方的な運営をしたという事実はない」などとするコメントを発表し、菅原・保両委員を批判した。
放送法によると、会長任命は12人の経営委員のうち9人以上の賛成が必要。現執行部が十分な改革を盛り込んだ次期経営計画案を打ち出せなかったため、13日の経営委では、橋本元一会長の続投を認めず、現執行部から次期会長を選出しないことを決めた。
2007年12月20日 読売新聞朝刊 14版 2ページ「NHK経営委 内紛」から引用
高森重隆氏は企業経営者として金儲けの才能には長けているかもしれないが、先日も「選挙期間中は歴史ものなどの番組は避けるべきだ」などと、番組内容に介入するような発言をして物議をかもしたばかりで、報道機関の要職に就つ人物としては見識が疑われる。この際、委員会内紛の責任を取って辞任するべきだ。