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2008年04月25日
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カテゴリ:政治問題
 自民党議員のいやがらせがきっかけで上映中止になった映画「靖国」について、映画評論家の山根貞男氏は2日の朝日新聞に寄稿して、次のように述べている;


 映画「靖国 YASUKUNI」が上映中止に追い込まれた。12日に封切りを予定していた映画館5館が上映自粛を決めたのである。一般観客の鼻先で扉が閉められてしまったわけで、残念という以上に腹立たしい。

 このドキュメンタリー映画は、一部週刊誌などで反日イデオロギー映画のように書かれているが、そんな映画とは違う。といっても、それはわたしの見方で、別の感想を持つ人がいるかも知れない。だからこそ、広く一般に公開されるべきなのである。

 映画は二つの光景を交互に差し出す。8月15日の靖国神社のにぎわいと、90歳の刀匠が靖国刀を作る姿である。靖国神社のご神体は日本刀であり、敗戦前には神社で数多くの刀が作られ、老刀匠もその仕事に従事していた。それが靖国刀で、老人はかつてと同じように作ってみせる。

 大勢の個人や集団でごった返してお祭りのにぎわいを繰り広げる境内と、寂れた町工場のような場所で孤独に刀を打つ老人。この対比が鮮やかで、息を詰めて見守ることになる。と、老刀匠が愛用の録音テープをラジカセにセットするや、音楽ではなく、東京オリンピック開会式における昭和天皇の声が流れる。

 注目すべきことに、この映画ではナレーションがいっさい使用されない。字幕は出てくるが、名前や事実を告げるにとどまる。つまり、作り手は言葉によるメッセージをひと言も発しないのである。

 実際の話、メッセージでいえば、8・15の靖国神社のシーンには、旧日本軍の軍服を着て参拝する集団、日の丸を手に天皇陛下万歳を叫ぶ一団など、靖国神社を崇(あが)める声が大量に渦巻く。ほとんど無言の老刀匠も、珍しく意見をもらすと、小泉首相(当時)の靖国参拝に賛同する。

 この映画は、メッセージではなく、出来事や人物や資料をただ差し出す。それをどう受け取るかは、すべて観客に委ねられている。靖国刀のつながりで、軍人が刀で人を斬る写真が登場する。また、テープの声を受け、昭和天皇が白馬で靖国神社に参る戦中の映像が出てくる。そんな構成に作り手の意があることは明らかだが、どう解釈するかは丸ごと観客に任され、ひと言のコメントもない。

 そのように提示に徹したところが、この映画のユニークさで、優れたドキュメンタリー映画ならではの力を見ることができる。だからこそ、封印されず、一般公開されなければならない。そこから正当な議論が始まる。

 監督は日本在住19年の中国人、李纓(リイン)。靖国神社をかつてない角度から捉(とら)えたドキュメンタリー映画は、アジアの広い視点から生まれた。


2008年4月2日 朝日新聞朝刊 13版 22ページ「公開して議論を」から引用

 国際映画祭でも高く評価された映画「靖国」が上映できないということになると、日本が世界に恥をさらすことになる。先進国日本が、これでいいのだろうか。








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最終更新日  2008年04月25日 08時13分36秒
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