福島の原発事故が、どのような悲惨な状況を引き起こしているのか、6月27日の東京新聞は次のように報道している;
福島原発事故の影響で、放射性物質を含んだ下水汚泥が福島県の下水道処理施設にたまり続け、一部の施設で悪臭被害が深刻化している。放射能に対する不安から引受先がほとんどなく、敷地保管を続けざるを得ない。施設を管理する県は苦悩の色を深めている。
モモ畑が広がる福島県国見町熊野堂地区。枝に小さな実がつき始めた6月上旬、鼻をつまみたくなるようなにおいが漂っていた。
「毎日かがされて、嫌になるよ」。畑で枝の手入れをしていた女性(58)は顔をしかめた。においは「2キロほど離れた自宅にも届くことがある」と言う。
畑の隣に県北浄化センターがある。福島県が管理する4カ所の下水道処理施設の一つで国見町のほか、福島市と伊達市、桑折町の計四市町から出た約1万5600トンの下水汚泥が保管されている。
同センターの敷地には白いビニールで覆われた体育館ほどの大きさのテント51棟が並ぶ。汚泥を周囲から見えないように保管するための施設だ。
テントは増設が続いているが、保管容量は残り約2年、約3万トン分で限界を迎える。
汚泥処理はこれまで、セメント業者が約8割をセメントの原料、肥料業者が約1割を肥料として引き受けていたが、原発事故で全てがストップした。
県によると、同センターの汚泥の放射性物質濃度は1キログラム当たり平均300~400ベクレルで、国の基準値(200ベクレル)を超えている。セメント業者は製品段階での基準値(100ベクレル)を下回らなければ引き取らないと通知。最終処分場も地元の反対で処理できない。
国見町議会は昨年8月から今年3月にかけて4回、汚泥の搬出を求める意見書を可決した。「汚泥の速やかな搬出」がセンター開設時の約束だったとして「不履行は許されない」と要求している。
県は汚泥から水分を除去して減容化を図る乾燥炉の整備を検討しているが、地元住民は反発。県下水道課の担当者は「炉の整備にも10億円単位の費用がかかるが、国からは財政支援の対象外と言われている。東京電力に賠償請求する以外にない」と話している。
2012年6月27日 東京新聞朝刊 11版S 25ページ「たまる下水汚染 漂う悪臭」から引用
原発が事故を起こすと、このようなひどい状況になることを、メディアはもっと真剣に取り組んで報道するべきです。被害を受けている当事者でないと、臭いくらいは我慢して、などと思うかも知れませんが、それはあまりにも無責任です。やはり、原子力発電をやるというからには、
そう決めた経営者には親子三代にわたって原発を設置する場所の直近の汚水処理場の隣に居住することを義務付ける立法が必要だと思います。そういうリスクを冒してでも原発をやりたいと思う事業者にだけ、原発の営業許可を出してよいと思います。