ちょっと止めているけど、水彩画を描く趣味が私にある。それも淡彩が好きだ。
さらさらと描かないとならないが、短時間で出来るので手軽だ。
それにくらべて油絵はじっくりと書き込まねばならない。
よく、油は塗り重ねられるから、直しがきくし、微妙な表現が出来るといわれている。
でも塗り重ねて、下の絵とまるで違う絵を描いてしまえるって、あなおそろしや。
有名な古典画にエックス線をかけ下絵がまるで違うものだったり、構図がちがっていたりが話題になる。だから、油絵は鑑賞しているだけでも、怖い気が前からしていた。
その怖いお話。
題は「贋作師」だけれど、美大出の油絵専門の「修復家」になった職人「栗本成美」に高名な画家「高岡荘三郎画伯」の遺作の数々の修復依頼が舞い込んだ。
さっそく画伯の豪壮な屋敷の保管庫に出かけた、成美を待っていたのは秘密の数々。
ちょうど、オイルやアルコールで絵を洗い、補修していくように次々と現れる謎。成美の初恋の相手とも思える「阿佐村慧」が絡んできて、成美はその謎に引き込まれていく。
やっぱり怖いわ、絵の下に絵なんて。テレピンオイルの臭いが充満している部屋に入っているような気分で読み終わったのだった。
篠田さんの2作目だそう。すごいね。
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