帯に「村上春樹の『海辺のカフカ』カフカ少年も読んだ名作!」とあるからそんな場面があったんだろうか、忘れたがなるほど相通じるものがある。最近読んだ桐野夏生の『メタボラ』をも思い起こさせる不思議な作品だ。
といって当然こちらが先。あるものからのがれる逃避行の物語。逃げるってちょっと魅力的。
だけど「坊ちゃん」がぽっと世の中に家出すれば、だまされてとんでもないところに連れて行かれる。連れて行かれたところが銅銀山の飯場。
坑道に案内されて地獄を見、抗夫仲間にばかにされ、粗悪な食事がのども通らず、寝れば虫に悩まされる。しかし、そこは教養のある「坊ちゃん」人生が見えてくるからよしよし、というかなあんだ。
いやいや、この筆の冴え。道理がわかってくる道順が漱石的でただごとではない。やはり一読二読の価値あり。
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最終更新日
2007年09月02日 13時01分48秒
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