いろいろな読み方が出来る一冊だった。
作家「森茉莉」の評伝と思いきや、作家「笙野頼子」の日常、文学案内、文学論、はたまた猫論、猫の飼い方。
作中に「病的な猫嫌い」って言葉がよく出てくるけれど気になった。「病的な猫好き」ってこともあるんじゃないかと不遜なことを(ブログでは禁句ではないかしら)思ってしまう。
わたしには犬や猫にはまっていってしまう過程がよくわからないのだ。笙野頼子氏も始めは猫がだめだったらしい。それが大変な苦労をして(後悔もするらしいが)猫のために一軒家まで購入してしまう顛末も書かれている。
「森茉莉」の小説や人柄について書いている文の地のストーリーでもあるのだが、涙ぐましい苦労が壮絶で、そこまでして猫好きになるのはどういうことかと不思議に思う。
といっても説明してもらってもどうってことないが…。念のため言うがわたしは「病的な猫嫌い」ではない。ただ、畑をトイレにされて困っていることは困っている!
それはとにかく「森茉莉」の作品を読んでみなければ、という気にさせてくたことは間違いない。
幽界森娘異聞 笙野頼子(講談社文庫)