凸と凹との報告 凸編。公文の集いとパスカルの三角形
凸は算数。凹は友達との関わり。独立なようで連動しているとも思いました。公文の進度上位者の集いがありました。昨年は登壇して表彰されるだけでしたが、今回は「解法見学」という趣向。全体を2グループに分け、解いていないときは解いている子の様子を見学するという形式でした。広い会場に学年ごとに座ります。息子の向かいは、男の子でD教材(割り算の筆算)を学習中でした。その子のお母さんが息子の教材をのぞき見て「もうHなの!○○(お姉ちゃんらしい)と同じところじゃない!」と驚いていました。見学のときに息子と同じあたりをやっている子がいないか、息子といっしょにぐるっと回ってみましたが、残念ながら、小1で算数をやっている子はDの子ばかりでした。3年生ぐらいのところでH教材がちらほら、という感じでした。息子は都道府県順位が3位なので、ひょっとしたら、息子より上かあるいは同程度の子が来ているかも、と期待したのですが、かないませんでした。一方で、息子は注目の対象だったらしく、わざわざ息子が解いているところを見に来るお母さん方も何人かいました。もっとも、みな「どの教材」をやっているか、一瞥して去っていくだけなのではありますが。そんなものかも。他の子の様子をじっくり見ることはほとんどありませんでしたが、息子の目の前の男の子が教材に取り組む姿はじっくり見ることができました。この子はあとでインタビューをうけ、お母さんが「いつもより集中していました」と答えていましたが、とにかく、集中していました。息子にはこの力がない。でも、息子は逆にいえば、軽ーく、いろいろな問題をクリアしていく感じです。余力を残して進んでいる感じかな。実力的には、もっとどんどん先までいけそうな気がします。しかし、私たち親も、そして、公文の教室の先生も、(あるいは、ときどき息子の様子を見に来る本部の人も)息子に計算の習熟をさせ、先にどんどん進ませることを目標にはしていません。公文を軸のひとつにして、数学の世界を広げている、という感じかな。新しい概念がでてくるときには、戸惑いがあります。今振り返ると引き算は大きな山の一つだったと思いますが、最近だと、今やっている「多項式の展開」の始めで大きなステップがあったようでした。今はそのステップはクリアできてしまったようですが。どういうステップだったかというと、「文字式を変形し、別の文字式にする」ということの意味が納得できなかったようです。これまで、文字が出てくる式というのは「方程式」だけで、最終的に文字がいくつであるかを求めるものが目標でした。たとえば、x+1=3とあれば、x=2を求めればいいわけです。現実の場面とも結びつけやすい。ちなみに、ぼたさんのところでコメントしましたが、中学受験程度の文章題は、方程式をつかったり、使わない別の方法(表を作る方法が結構好きなようです)で1,2か月ほど前に、連立方程式で解く文章題がたくさんでてきたときには、全部自力で解いてしまいました。今やっている多項式の展開は、因数分解や、高次方程式を解くことにつながっていくのですが、息子はまだその世界は知りません。そこで、先走って、二次方程式との関連を説明することにしました。たとえば、(x-1)(x-3)を展開してx^2-4x+3を答えればそれでいいのですが、多項式の積と展開した式が同値であることを確認させるためにxに適当な値、たとえば「1」を代入して、両辺が同じ値になることを納得してもらいました。(どんな数を代入してもいいんだよ、ということを納得してもらうために最初はいろんな値を代入させました)しばらくは、計算しやすい「1」をよくいれていたのですが、そのうち、二次方程式の導入になるかな、と思い、式の値がちょうど「0」になるような数を代入させたりたりもしました。上の式ですとx=1とx=3の代入で両辺が0になります。大人にとってはあたりまえのことですが、両辺とも0になること、特に多項式を展開した結果がきれいに0になるのが、気持ちよかったようで、しばらくこの作業にはまっていました。ずっとそれでいくのかな、と思っていたら、いつしか、「xに具体的な数値を代入してたしかめる」作業には興味がなくなったらしく、公文の教材が本来意図していた「(意味はわからなくてもいいから、とにかく)多項式を展開する」計算のみを黙々とやりはじめました。もうすぐH140ですが、公文の集いで、息子が解いたプリントは初見のものでした。(会場では、4月以後に学習したプリントであれば、一度解いたことのあるプリントをやってもいいこといなっていたのですが、教室の先生とも相談し、息子は繰り返しは嫌うであろう、ということで、そのままの流れで、やったプリントの「次の」プリントをもってきました)これまで多項式が2つ(かっこが2個)までしか出てこなかったのに、このプリントから初めてかっこが3つ登場します。(x+1)(x-1)(x^2+1)というのは、前の二つだけを展開すると(x^2-1)(x^2+1)になるので、混乱することなく、さらさらと解いていました。次の問題は(x+2)^3でした。(x+2)(x+2)(x+2)と印刷されているのですが、最初「全部かけたら、24個出てくる」という謎の発言をしていた息子、私のアドバイスもあり、「全部で8個出てくるんだね」、ということに自分で気がついてくれました。で、10分間の時間内で両面6問、プリント1枚をやり遂げることができたのでした。ちょうど、「数の悪魔」という本を最近買って、パスカルの三角形の存在を知ったばかりなので、家に帰ってから、さっそく(a+b)^nを展開したときの係数がパスカルの三角形で表せることを、夫が息子に教えました。パソコンソフトの助けも借りて、ソフトで、次々に多項式を展開してもらい、息子が求めた係数と比較しました。10乗までやりました。以前買った「算数おもしろ大事典」の代数的部分はあらかたやりつくしたので、今後は「数の悪魔」が愛読書になりそうな気配です。ちなみに、この本の想定読者は10歳から。親はもちろん息子と話題を共有できますが、本当は同じ年頃の子で、こういう世界を共有できる子がいればいいのにな、と思います。もうひとつの凹の話と連動して、息子は同年代の友人を求める精神年齢になってきているのかな、と思います。大人は息子の才能に気付き「注目」してくれますし、その世界を共有してくれますが、同年代の子供とはそれができない。公文にならいるのかな、と思いましたが、公文においても相当変わり種だな、と今回新たそう思いました。