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テーマ:旅の写真(3466)
カテゴリ:旅行
午前8時半のフライトで Bocas del Toro (ボカス・デル・トロ) というリゾート地へ向かうため、はりきって6時半に起床した。安ホテルのお定まりで朝食はつかず、私も相棒も、空腹のままタクシーに乗り空港へと急いだ。 パナマシティから地方各地に向かうフライトは、通常、昨日私たちが降り立ったパナマ国際空港ではなく、市内にあるもうひとつの小さいほうの空港から出る。こちらの空港は、昨夜私たちが泊まった古いパナマのダウンタウンからさほど遠くなく、タクシー代の相場もわずか2.5ドルから3ドルということで、いつもはケチな相棒も、今日はタクシーで行くことに決めたというわけだった。ほんの5キロの距離ですから歩いても2時間かかりませんが、という相棒を説得するのも、ものの5分とかからなかった。今日は良いスタートを切ることができたといえるだろう。飛行機を待つ間も、空港内のキャンティーンで朝食を取ろうとチョコレートのケーキを買ってもらえた。ますます良いスタートを切ることができたといえるだろう。 飛行機は、30人乗りのエンジン付きプロペラ機だった。チェックインの際航空会社職員から、搭乗券だよ、と言って渡された飛行機の描かれたプラスチックプレートを渡して乗り込む。自称航空専門家の相棒など、 ウヒョ~! カッコイイ! もらいたい! とひとしきり興奮していたのだが、もらう手立てはなかったようだ。おとなしくプレートを渡し、飛行機に乗り込んだ。座席は指定されておらず早い者勝ちだから、相棒は、一番景色のいい窓にへばりつくために一番前に並んで一番後ろの席を陣取った。どうでもいいがこれしきで汗を掻くな。 欲しがるほどの物か!? パナマシティからボカス・デル・トロまでは空路一時間。離陸すると、高層ビルの立ち並ぶパナマシティを旋回し、ほどなく眼下には青々としたジャングルが広がった。蛇行した泥の河のようなものも見える。例の運河だ。 貨物船がなければ単なる泥の河に見えなくもない フライト半ば、スチュワーデスがゆっくりとした手つきで飲み物を用意し始めた。ああ、ちょうど喉が渇いたとこだったのよ、とひとりごちた私だったが、そんな私を素通りして、飲み物はコックピットへと運ばれていった。乗客への飲み物のサービスは、それから遅れること20分だった。普通は乗客が毒見してからパイロットなのにな。 そんなこんなでパナマシティを出発して小一時間。飛行機は、バナナ畑に囲まれた小さな空港に到着した。さあて。ここがボカス・デル・トロか。腕まくりして飛行機のタラップを降りる私。……に、渡されたのは、一枚のプラスチックのプレート。……ン??? 帰りの便のため??? 一時混乱した私だった。が、謎はすぐに解けた。ここで飛行機を乗り換えるのである。……しかし。いったい何のために??? 給油というほどの距離ではないし、緊急着陸にしては皆のんきすぎる……。相棒の予想は、新聞配達のために寄ったのではないデスカ? というものであったが、真相は謎に包まれたままであった。 これだけのバナナ 一生かかっても食べきれないだろうな そうして飛行機を乗り換えて (いや、厳密には同じ機体だったから、いったん停止して再離陸して) 約15分。今度こそ正真正銘のボカス・デル・トロ空港に到着した。……いやあ、小さい! 空港も小さければ、ダウンタウンまでの距離も小さい! 空港を出て10分も歩くとそこはもうボカス・デル・トロのダウンタウンだった。 私たちは、まず、目星をつけておいたホテルを回ってみることにした。が、どれもまるでぱっとしない。牢獄みたいなのばかりだね、と私が言えば、いいえ、倉庫です、と相棒。私たちの予算である一泊15ドルの部屋はどれもかわいそうな物件ばかり、普通に神経に障らない程度の部屋となると軽く25ドルはする。私は、15ドルで牢屋ならちょっと奮発して25ドルでシャバのほうがお得じゃないのさ、と訴えるのだが、なんせ、相手が相棒なだけに取り合ってもらえない。これは長期戦になるな……。覚悟を決めて物件チェックに腰を据えたときだった。 次の一軒、これが、なかなかの出物だったのである。ホテル受付のおねえさんに、空室はありますか、と尋ねると、このおねえさん、いやに照れて横を向いてはにかんでしまう。な……??? 私たち、何かヘンなこと言ったか……!? と一瞬焦るも、どうやらこういう性質のおねえさんらしい。フゥ。しかし、部屋の値段を訊いてさらにびっくり。一泊10ドルですと。このあたりの安ホテルの相場は15ドルから20ドル代後半であるとすでに調査がついている。ガイドブックを見ても、このホテルの宿泊料金は一泊17ドルから27ドルとなっている。値上げというのはよくある話だが、しかし、値下げというのは……。オバケでも出るんだろうか。 なにはともあれ、無事ホテルにチェックインできた私たち。部屋の清潔度は、床を裸足で歩きたくない、というか、床には荷物も置きたくない、という程度だったが、10ドルでこの広さ、ベッドは2台、おまけにシーリングファン付きときたら文句は言えまい。さらに部屋を出て探検してみると、廊下の先に、広々とした水上テラスがあるではないか! 足元の青い水には小さな魚が何百、何千と泳いでいる。水面の向こうには小さな島が見える。完璧だ! ココデマイニチ2カイオヨグンデスヨ 上機嫌の相棒と私。それでは、ちょっと早い昼ごはんでも、とホテル近くのいかにも地元御用達といったふうの小さなレストランに入った。エビチャーハンが3ドル。サウスパークのコックさんそのものといった風格のシェフが、のそのそとした、しかしリズムに乗った腰つきで運んできた。カレー味の濃い味付けだが、味そのものは悪くない。相棒は、マンゴーシェイクを頼み、おいしいです、おいしいです、とうれしそうに飲んだ。 午後、散歩。2キロほど先に泳げるビーチがあるということで、舗装されていない道を海沿いに歩く。途中、犬が二匹ついてくるも、吠えるでもなく、威嚇するでもなく、おとなしく寄り添ってくるのみ。道をふさぐほどの大きな水溜りがあれば、道端をササッと走り、足場を整えてくれる。そんなにしてくれてもご褒美はないんだけどね、と、少し気の毒になりながら犬の後を行く私だった。 かくして二匹と二人はお目当てのビーチにたどり着いたわけだが……ビーチはゴミだらけ! 私はここでは泳ぎたくないよ、と言うと、相棒もいやだと同意した。横を見ると、犬らはいつの間にかいなくなっている。私と相棒は、単独でさらに2キロ先のビーチを目指すことにした。が、二つ目めのビーチも同じことだった。私たちは少しだけ水に浸かり、波がすごすぎて魚が確認できないことを悟ると、ホテルに引き返すことにした。 目を離した隙に水平移動していそうな植物たち 濡れた体を乾かしながら、またこのデコボコ道を逆戻りかよ~、とウンザリしながら佇んでいると、大きなトラックが通りかかった。こりゃあ好都合! 私たちは、スイマセ~ン、と大きく手を振ってトラックを停め、乗せてもらうことにした。 大型トラック (推定4トン) の荷台には先客が三名。それぞれ陽気な調子でこちらに笑顔を向ける。彼らの手前にアルミ缶の詰まった袋がいくつも積み上げられているところを見ると、資源回収車なのだろう。私はゴミ袋のそばにしゃがんだ。道の起伏が激しく、ロデオ状態なため、立っていると身が持たないからだ。トラックが大きな水溜りに差しかかるたびに、泥水が跳ね上がる。眺めは最高。私は写真を撮りたいのはやまやまだったが、オマエらそんな素敵なカメラ持ってんならタクシー代くらいケチんなよ! と思われてしまうのも悲しいので遠慮した。 夜、ダウンタウンのハンバーガースタンドで1ドルバーガーの夕食。パナマに来てまで1ドルバーガー!? などと逆上はしなかった。地元の人たちが行列するスタンドだったので。味は、マーガリンの味が強かった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Dec 24, 2004 01:00:44 PM
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