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テーマ:DVD映画鑑賞(13630)
カテゴリ:映画/サスペンス&スリラー
【チャイナ・シンドローム】
「電燈をつける時は、10%だけ原子力発電所のことを思い出してくれないか」 「なんで?」 「我が社の供給電力だからだ」 東日本大震災の影響を大きく受けた被災地の現状は、まだまだ十分な復興とは言えないものであろう。特に原発事故の修復は、半年とか1年と言った短期間に決着のつくものではない。私たち素人には見当もつかないような、遺伝子レベルでの危機を感じさせるし、どうしようもない不安に襲われる。 そもそも原子力発電とは、自然エネルギーではない。他の火力、水力、風力、太陽光から得る自然エネルギーとは大きく異なり、作り出した人間でさえもろくに理解出来ていない、未知の魔物なのだ。 ではなぜ原発に依存しようとするのか? それはもう皆さんご存知のとおり、利益追求に他ならない。“クリーンで安全”なんて建前で、本音は“金(カネ)”だ。 昨年1月24日付、信濃毎日新聞の「今日の視角」に興味深い記事が掲載されている。それによれば、福井県敦賀市の「もんじゅ」は、日本人が独自に設計・開発した原子炉とのこと。だが核分裂が制御できないのでずっと停止状態というではないか。もし爆発したら、福島の比じゃない。関西圏は壊滅状態になると。 それからもう一つ、「ふげん」という原子炉があるのだが、これなど着工から40年たっても実用化からは程遠く、実質的には廃炉とのこと。これらの開発にどれほどばく大な予算がついたのか、そこまでの記述はされていなかったが、思わず呆然としてしまう。 前置きが長くなってしまい恐縮だが、1979年に公開された『チャイナ・シンドローム』は、原発事故の恐ろしさを描いたサスペンス映画だ。 この作品は、爆発後の惨状を連想させるシーンなど一切なく、では何が恐ろしいのかと言えば、原発管理者サイドのあくまで利益追求の姿勢を崩さない態度だ。金儲けのためなら手段を選ばず、暴力すら辞さないという悪質さなのだ。 ストーリーはこうだ。 ロサンゼルスのテレビ局の人気キャスターであるキンバリーは、カメラマンのリチャードと、録音係のヘクターと共に、ベンタナ原子力発電所の取材に出かけた。 3人がコントロール・センターで見学していると、何やら地震のような震動が起きる。 一体何が起きたのかは分からないが、コントロール・センター内の職員は皆が大騒ぎしている。 カメラマンのリチャードは、コントロール・センターは撮影禁止区域にもかかわらず、こっそり撮影し始めるのだった。 コントロール・センター内では、技術者のジャックが計器の異常に気づき、原子炉の緊急停止命令を出した。 こうしてジャックの機転により、危ういところで大惨事は免れたのだったが、原発管理者サイドはろくに検査もせず、すぐにも再稼動させようと目論むのだった。 この作品から分かるのは、何が怖いかってやはり人間が一番怖いのだ。 どんなトラブルに見舞われようと、まずは金儲け。儲けるためには人の命など惜しくはない。なるべくコストを抑えて暴利を貪るという手法だ。 内容が極端だという意見もあるかもしれないが、今後の原発問題も踏まえて鑑賞してみてはいかがだろうか? 一見の価値あり。 1979年公開 【監督】ジェームズ・ブリッジス 【出演】ジェーン・フォンダ、ジャック・レモン また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。 See you next time !(^^) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013.01.14 06:17:14
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