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テーマ:DVD映画鑑賞(13976)
カテゴリ:映画/ヒッチコック作品
【汚名】
![]() 「なぜもっと早く愛してると言ってくれなかったの?」 「自分の気持ちが分からなかったんだ。馬鹿な俺は君を失ってやっと気づいたんだ」 「私を愛しているのね・・・」 「出会った時からずっとだ」 やっぱりイングリッド・バーグマンとケイリー・グラントのコンビネーションは絶妙だ。 私生活でもこの二人は仲の良い友人関係だったようで、お互いを信頼し合った演技は視聴者を安心させてくれる。 また、ヒッチコック自身の晩年のインタビューにおいても、『汚名』にキャスティングしたケイリー・グラントは完璧だったと語っている。とにかくヒッチコックのケイリー・グラントへの信頼ぶりはスゴイ。 ヒッチコック映画にどれも共通しているのは、雰囲気だけで視聴者を不安がらせないということかもしれない。 とかくスリラー映画はおどろおどろしい場面で埋め尽くされていることが多い。「ほら怖いだろ?」「こーんなに不気味だぞ」「ホレホレ」と、まくし立てる効果は、ホラー作品には有効かもしれないが、ヒッチコックはそれを許さない。 「表面上のシチュエーションとその背景に隠された真相のあいだに大きなコントラストを設けること」で、ストーリーの強弱を表現するのだ。 このような演出は、もはや芸術の域にまで達しているとしか言いようのない完成度なのだ。 『汚名』のストーリーはこうだ。 アリシアの父親はドイツ人で、ナチスの一味だった。 売国奴の娘としてレッテルを貼られたアリシアは未来に希望を失くし、つまらないパーティーなど開いては酒に溺れた。 そこで知り合ったのは、デブリンというFBI捜査官だった。デブリンはアリシアを利用するために近付いたのだが、彼女の美しさ、ひたむきさに惹かれてゆく。 アリシアは、デブリンの「父親の汚名を返上するためにも、アメリカ人スパイとして国家のために働くように」という要求を呑み、ブラジルへ渡ることにした。 そして、アリシアの父親の相棒であったセバスチャンに近付き、ナチスの動きを探索するのだった。 『汚名』における最もスリリングな場面は、何と言ってもパーティーの最中、アリシアとデブリンが酒蔵に行ってぶどう酒の瓶の中身が何であるかを調べるシーンだ。 大勢の人々で盛り上がるパーティー会場で、減ってゆくワインのシーンと、酒蔵で秘かに調査する二人のシーンが交互に映し出されるのだが、パーティー会場で使用人がワインを補充しなければと、酒蔵を目指そうとする。このままだと二人が見つかってしまう、というドキドキ感がたまらない。 また、ヒッチコック作品にはついて回る設定として、母親とその一人息子の異常なほどの親子愛。これも見ものである。 セバスチャンがアリシアの真相に気づき、母親に「母さん助けてよ」と、その枕元で苦悩を告白するシーンも不気味だ。 『汚名』は、ラブ・ロマンスとしても一級で、主役二人のロマンチックなセリフにうっとりさせられる。 あまりの素晴らしさに、あれもこれもと説明したくなってしまうが、とにかく万人の方々におすすめしたい。 モノクロ映画であることなんてちっとも気にならず、徹頭徹尾、楽しめること間違いなしだ。 1946年(米)、1949年(日)公開 【監督】アルフレッド・ヒッチコック 【出演】ケイリー・グラント、イングリッド・バーグマン ![]() コチラ ![]() コチラ ![]() コチラ ![]() コチラ ![]() コチラ ![]() コチラ ![]() コチラ ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013.06.30 06:27:56
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