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《櫻井ジャーナル》

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2013.02.02
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 株式相場が上昇し、企業の業績に「急回復の兆し」が出てきたと浮かれている新聞を見かけた。株式相場が上昇し、大企業の業績が急回復しても庶民の収入は減少し、労働環境は悪化してきたのが日本。大企業や富裕層を儲けさせるための経費は、これから庶民が支払わされる。

 日銀から市中銀行へ資金が供給されれば投機市場へ流れて相場は値上がりし、ドル相場が上昇(円安)すれば輸出産業が楽になるのは当然。それを見越して買いに入る投資家/投機家もいるであろうし、短期的には証券会社や銀行が株高を演出することもありえる。が、浮かれるような状況とは言えない。

 日本を含む「西側」の経済が破綻の瀬戸際に追い詰められている最大の理由は資金が地下に潜り、課税を回避して投機市場/金融の世界へ流れていることにある。その結果、金融の世界は賑わうが、経済は疲弊し、庶民は貧困化していく。

 富の集中と庶民の貧困化はコインの表と裏の関係。庶民の立場から見ると、相場の上昇を「慶兆」と見ることはできない。国内の産業構造が崩れている現在、円安で輸入品の値段が上がることも庶民には痛手だ。しかも、この先には消費税率の引き上げがある。引き上げの環境作りに「景気回復」を宣伝している可能性もある。

 富の集中を加速させている原因だと指摘されているのがオフショア市場/タックス・ヘイブン。昔からスイス、ルクセンブルグ、オランダ、オーストリア、ベルギー、モナコなどがタックス・ヘイブンとして知られていたが、1970年代にロンドン(シティ)を中心としたオフショア市場が整備され、状況は一変した。資産を隠し、課税を回避、マネーロンダリングすることが容易になったのだ。

 この問題にメスを入れなければ経済を再生することは不可能。当然、欧米では大きな問題になっている。問題になっていない日本が異常なのである。日本の「エリート」に経済を再生させたいという意志は感じられない。

 ロンドンを中心とするオフショア市場ネットワークに多国籍企業や富裕層は引き寄せられるのは当たり前のことで、対抗上、アメリカは1981年にIBFを、また日本は1986年にJOMをオープンさせた。富はごく一部が独占し、負担は庶民がおわされるという仕組みが世界的に広がったということである。

 19世紀のアメリカにも不公正な手段で巨万の富を築いた人たちがいて、「泥棒男爵」と呼ばれていたが、彼らは現在のような資金を隠すシステムを持っていなかった。そこで生産活動に投資、結果として産業を育成することになる。

 しかし、今は違う。生産活動などに投資する必要はない。ビジネスを起こすリスクよりも、投機市場でカネを回していた方が儲けは大きく、リスクは小さい。何しろ、損をしても不正が発覚しても政府が守ってくれる。詐欺的な取り引きをしても事実上、責任は問われない。巨大金融機関は「大きすぎて処罰できない」そうだ。そして、政府はツケを庶民に回す。ツケを払わないと厳罰に処す。これで実体経済が良くなるはずがない。

 新自由主義経済の世界における「新泥棒男爵」の典型がボリス・エリツィン時代のロシアで不公正な手段で大儲けした「オルガルヒ」。その代表的な人物がボリス・ベレゾフスキー(後にプラトン・エレーニンに改名)である。エリツィン失脚後にロンドンへ亡命、別のオルガルヒはイスラエルへ逃げ込んだ。

 言うまでもなく、ベレゾフスキーたちがロシアを逃げ出した理由は、ロシアが自分たちのカネ儲けにとって好ましくない、つまり「やらずぶったっくり」をしにくい状況になったから。そこで強者総取りの新自由主義経済を広める工作を始める。その結果がグルジアの「バラ革命」やウクライナの「オレンジ革命」。ロシアや中国に対する工作も進んでいるが、まだ成功していない。

 投機経済の繁栄/金融の肥大化は、実体経済の衰退/庶民の貧困化と表裏一体の関係にある。アメリカやイギリスをはじめとする「西側」の経済力が低下するのと反比例する形で台頭してきたのがBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)やSCO(中国、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン)などだ。中央アジア、中東、アフリカで「西側」はBRICSやSCOに押されていた。

 「西側」が優位に立っているのは軍事力ぐらいであり、「覇権」は軍事力で勝負するしかないと考えているのがネオコン(親イスラエル派)。中国と日本の資金にアメリカの財政は支えられている。その資金を使って中国と戦おうという倒錯したプランだ。そのプランを日本が後押しする。

 2008年にアメリカがAFRICOM(アフリカ統合軍)を始動させた目的は、アフリカの利権争いで中国と戦うためだと言われているが、現在、軍事作戦はNATOを核にして動いている。日本も中国との戦いに取り込まれつつある。

 現在、沖縄ではV-22オスプレイの配備に対する抗議活動が続いているが、この航空機の導入をネオコンは強く求めていた。ネオコン系のシンクタンク、PNACが2000年に公表した『アメリカ国防の再構築』でV-22を海兵隊へ配備する必要性を訴えている。海兵隊の活動範囲、「殴り込み」の対象エリアを広げることが目的だという。その活動のための訓練場所が日本。勿論、オスプレイの配備と日本の防衛との間に直接的な関係はない。

 すでに「暴走の兆し」が見えている安倍晋三政権だが、参議院選挙で勝利しなければ、消費税率の引き上げにしろ、TPPへの参加にしろ、原子力発電所の再稼働にしろ、憲法改定にしろ、「本格的な暴走」は難しい。マスコミは何とか現政権を守り立て、暴走を実現させようとしているようだ。





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最終更新日  2013.02.02 23:40:59



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