28550390 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

《櫻井ジャーナル》

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

サイド自由欄

バックナンバー

2015.10.07
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
 アメリカ軍は「誤爆」を繰り返してきた。住宅、病院、国連施設、大使館、メディアの支局、ジャーナリストが拠点にしているホテルなどが攻撃され、多くの人が犠牲になっている。アフガニスタンで活動してきた「国境なき医師団」の病院を空爆しても驚きではない。

 そのアメリカ軍はイギリス、フランス、ドイツ、カタール、サウジアラビア、トルコを率い、シリアでも1年以上にわたり、空爆を繰り返してきた。空からだけではなく、地上にも特殊部隊を潜入させていると言われている。イスラエルでの報道によると、シリア国内にはイギリスとカタールの特殊部隊が、またWikiLeaksが公表した民間情報会社ストラトフォーの電子メールによると、アメリカ、イギリス、フランス、ヨルダン、トルコの特殊部隊がシリア領内で活動している可能性がある。すでにイギリスの特殊部隊SASの隊員120名以上がシリアへ入り、ISの服装を身につけ、彼らの旗を掲げて活動しているとも最近、報道された。

 そうしたNATO加盟国やペルシャ湾岸産油国の攻撃にもかかわらず、勢力を拡大して破壊と殺戮を繰り返してきたのがアル・カイダ系武装集団やそこから派生したIS(イラクとレバントのイスラム首長国。ISISやダーイシュとも表記)。何しろ、ISを支える主要な兵站ラインはトルコからシリアへ延び、それをトルコの軍隊や情報機関が守っている。こうした情報は西側のメディアも伝えているほど有名で、例えば、ドイツのメディアDWは昨年11月にトルコからシリアへ武器や戦闘員だけでなく、食糧や衣類などの物資がトラックで運び込まれ、ISの手に渡っている可能性が高いと伝えている。

 昨年10月19日に「交通事故」で死亡したイランのテレビ局プレスTVの記者、セレナ・シムはその直前、トルコからシリアへISの戦闘員を運び込むためにWFP(世界食糧計画)やNGO(非政府組織)のトラックが利用されている事実をつかみ、それを裏付ける映像を入手していたと言われている。

 ISはそうした兵站に頼るだけでなく、資金調達のためにイラクで盗掘した石油を密輸している。生産は既存の施設を使っているのだろうが、それを輸送し、販売するルートがあるということだ。そうした石油を扱っているのはレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の息子が所有するBMZ社だと伝えられている。

 まずトルコのジェイハンへパイプラインで運び、そこからタンカーでイスラエルへ輸送し、そこで偽造書類を受け取ってEUで売りさばくという仕組みだというのだ。一説によると、販売を請け負っているのはARAMCO。この会社はSOCAL(スタンダード石油カリフォルニア)、テキサコ、スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージー、ソコニー・バキューム(後のモービル)が出資して創設され、1976年にサウジアラビアが国有化している。

 2011年3月にバシャール・アル・アサド体制を倒すための軍事作戦が始動して以来、西側の政府やマスコミは「シリアの民主化を目指すFSA(自由シリア軍)」を宣伝してきたのだが、その幹部であるアブデル・ジャバール・アル・オカイディによると、その約10%はアル・カイダ系のアル・ヌスラ。このFSAは弱体で、今は消滅状態のようだ。

 2012年8月にDIA(アメリカ軍の情報機関)が作成した文書によると、反シリア政府軍の主力はサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQIで、西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコの支援を受けているとしている。DIAによると、アル・ヌスラはAQIがシリアで活動するときに使う名称。AQIは2004年に組織され、06年にISIが編成された際の中核組織。ISIは現在、ISと呼ばれている。アル・ヌスラもISも実態は同じということだ。

 最近、ネオコンのデービッド・ペトレアス陸軍大将は「穏健派アル・カイダ」をISと戦わせるために使うべきだと主張しているが、それが何を意味しているか、言うまでもないだろう。以前から、アメリカが武器を提供、軍事訓練した戦闘員は武器を携えて「過激派」へ「投降」するという話は流れていたが、最近もそうしたことがあった。

 そうしたISやアル・ヌスラの拠点をロシア軍は空爆し、その後をシリア軍やイランが送り込んだ戦闘部隊で掃討作戦を行っているようだ。数日間の攻撃でISやアル・ヌスラは大きなダメージを受け、生き残った戦闘員はヨルダンなどへ逃げ込んでいるとも伝えられている。

 ロシア軍の攻撃が始まった直後、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、カタール、サウジアラビア、トルコは懸念を表明した。ジミー・カーター政権でソ連軍をアフガニスタンへ誘い込み、アメリカが訓練したイスラム武装勢力と戦わせる戦略を立て、ウクライナ制圧してロシアを攻撃すべきだと主張しているズビグネフ・ブレジンスキーもシリアの状況にショックを受けているようだ。ちなみに、バラク・オバマ米大統領はブレジンスキーの弟子。

 そのブレジンスキーはシリアにいるロシアの海軍や空軍は脆弱であり、アメリカの支配下に入らないなら「武装解除」すべきだとしている。つまり、ロシア軍と戦えと弟子に命令している。アメリカの好戦派が使っているISやアル・ヌスラは本当にシリアで厳しい状況にあるようだ。

 ところで、ロシア軍はカスピ海から巡航ミサイルでISやアル・ヌスラの部隊を攻撃したとも伝えられている。ミサイルはイラン、イラクを通過してシリアに達している。ブレジンスキーはカスピ海のロシア海軍を壊滅させられると考えているのだろうか?

 ロシアとシリアへの憎しみが強いからか、ブレジンスキーやペトレアスは2001年から「アル・カイダ」が果たしてきた役割を忘れたようだ。アメリカが世界で軍事侵略をはじめる切っ掛けになった2001年9月11日の出来事、つまりニューヨークの世界貿易センターやワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)への攻撃を実行したのは「アル・カイダ」だということにされてきたのだ。その「テロリスト」が自分たちの仲間だとアメリカ支配階級に属す人物が言っている意味は重い。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2015.10.08 02:36:38



© Rakuten Group, Inc.
X