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カテゴリ:映画
あらすじ
1823年、アメリカは西部開拓時代。 北西部での荒野で狩猟の旅を続ける ヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)ら一行は ネイティブアメリカンの襲撃に遭うも川に脱出。 その後母熊に襲われ瀕死の重傷を負ったヒューを残し 一行は旅路を急ぐことに。 ヒューの元には息子と 一行の隊長から万が一の際の埋葬を依頼されていた ジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)と まだ若いジム・ブリッジャー(ウィル・ポールター)が残された... ドーナル・グリーソン、フォレスト・グッドラック ポール・アンダーソン、ブレンダン・フレッチャーら共演 アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ Alejandro González Iñárritu監督 『レヴェナント: 蘇えりし者 The Revenant』(2015年) 原作はマイケル・パンク Michael Punke 「蘇った亡霊:ある復讐の物語 The Revenant: A Novel of Revenge」。 (以下、映画の核心に触れる部分もございます) 境界にいる者、 生死の境界にいる者、 旧世界・旧大陸(ヨーロッパ)から新世界・新大陸(開拓中のアメリカ西部)のあわい、 文明と自然、法治と宿命の境界 ネイティブ・アメリカンの妻を持ち 土着的な宗教、神に親しみ傾き親炙もしつつ、 旧世界の宗教や倫理観、世界観も鬩ぎ合う... あらゆる境界が現れてもいるかのような映画。 手塚治虫「火の鳥」シリーズの 正しさ鬩ぎ合う世界観も少々想起。 神の意思と嘯き 旧大陸の神に憑依しては 自分が生き延びるために見捨て殺したのだと 利己的な選択を正当化する過程は 新世界の過酷な自然と生存競争に持ち込んだ 旧世界の善や倫理観、正義が 変質し歪んでしまったことも表しているよう。 ヒューの世界観価値観の揺らぎや迷いはもちろんだが、 ジョンやジムなども多かれ少なかれ 新しい土地で生き延びようとして追い詰められた人間の 葛藤として普遍的に響き渡りもする。 一方、 (ネイティブアメリカンの妻や、彼女との間に生まれた息子を通しても) 新世界に精神的にも片足を踏み入れているヒューは 復讐のため自ら手を下すことは選択せず 最後は「新しい神」に委ねた。 No... Revenge is in God's hands. Not mine. 旧い神と新しい神が両立するようで 神を自分に都合良く使うことも 神に成り代わり神に憑依することもせず、 あるいは旧世界でも新世界でも可能な 復讐を完遂もせず 断罪や罰、復讐については意志や権利を手離し浮遊しているかのような 境界の大悟、達観が印象的。 まさにこの瞬間 エゴや旧来の価値観が手放される (精神的)プロセス、旅も描かれているようで興味深かった。 モラルに反する行為を (旧世界の)神の意思によるものと換言し 自身の責任を回避する... 混沌とし、モラルや旧世界の倫理観がリセットされ崩壊したかのような世界の描出と モラルを超えて受け止めなくてはならない 不可避な生死の境、生存競争の境界が描かれる。 その過程や葛藤は 未開の新世界で喉に穴が開き口のきけないヒューゆえ 胸の裡は葛藤は明確には言語化されていない。 亡き妻の姿を追憶する中で こちら側の世界とあちら側、もう一つの世界との 境界をたゆたう、彷徨する姿が感知される。 「透明に生んだ」 「白人は肌の色だけ見る」等、 『ヘイトフル・エイト』にもリンクする...反ヘイトもしのばせ、 共存や共生、両立を考えさせもする。 旧世界/大陸と新世界/大陸がぶつかる時代とはいえ、 ふたつの世界、ふたつの自然や神を知りながら 新世界の自然観に寄り添い 復讐という権利を手放す、自然に埋没する選択と意志には 苦悩と生きづらさの果ての一筋の光明、人間らしさも 余韻に響かせる。 近現代において 新旧世界の衝突する場所において 復讐の意志を手放す、リリースする生き方が人間性を滲ませる。 ちっぽけな復讐心を乗り越え 敵とみなされていたネイティブアメリカンの世界観と 呼吸を合わせるような共存や共生、両立はアメリカの現在地や、 不寛容な現代社会への問題提起としても響く趣。 しかし、実話であるにも関わらず 神話のように「帰還」する構造に驚かされもする。 古代に、神話的世界に巻き戻されたかのように 新大陸・新世界の生がそのように熾烈なものだったのか...と。 馬の腹を裂いてその中で暖をとる 「胎内回帰」にも思えるシーンなど、 神話的英雄譚を踏襲しているかのように演出した中での 実話、現実のエッセンス、力強さも印象的だった。 ジョセフ・キャンベルJoseph Campbell 「千の顔をもつ英雄 The Hero with a Thousand Faces」について アメリカ人、ハリウッドは 手に汗握る、帰還するストーリーが好き!? 外連味ある作為的ワンショット長回しの 前作『バードマン Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance』より思索的で楽しめた... エマニュエル・ルベツキ Emmanuel Lubezkiは3度目の撮影賞受賞、おめでとうございます! to be continued...!? buzz KOREA Click... にほんブログ村 韓国映画 にほんブログ村 映画 にほんブログ村 映画評論・レビュー にほんブログ村 韓国情報 にほんブログ村 K-POP にほんブログ村 Copyright 2003-2024 Dalnara, confuoco. All rights reserved. 本ブログ、サイトの全部或いは一部を引用、言及する際は 著作権法に基づき出典(ブログ名とURL)を明記してください。 無断で本ブログ、サイトの全部あるいは一部、 表現や 情報、意見、 解釈、考察 ロジックや発想(アイデア)・ 視点(着眼点)、 写真・画像等も コピー・利用・流用することは禁止します。 剽窃厳禁。 悪質なキュレーション Curation 型剽窃、 つまみ食い剽窃もお断り。 複製のみならず、 切り刻んで翻案等も著作権侵害です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Apr 5, 2023 02:34:33 AM
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